思惟石

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『日本海ものがたり 世界地図からの旅』

2022-07-11 18:47:47 | 日記
『日本海ものがたり 世界地図からの旅』
中野美代子

中国文学が専門の先生による、なぜか地図にまつわるお話しです。

というわけで冒頭は西遊記のエピソードでもある
「女だけの国」の話から始まる。
この国に漂着した人は、果たしてどこに流れ着いたのか、的な導入で
中国古典から地理学的なアプローチへ。
いきなりおもしろいじゃないですか〜。

日本海の潮流を踏まえて、大陸側から漂着するとしたら?
秋田のナマハゲも漂着した異人だったのでは?
朝鮮半島からは潮流的に無理がある?
等々。

徒然なるままに書かれている雰囲気もあって、
読んでいて飽きません。
うんちくもたっぷりである。

日本人で初めての世界一周航海は、漂流船の乗組員で、
1793年に石巻から江戸を目指した若宮丸とか。

大航海時代に海図が発達したことで、
「ロビンソン・クルーソー」「ガリバー旅行記」などの
世界地図に基づいた冒険物語が生まれたという話しも
おもしろかったです。なるほど!

ついでに、「ロビンソン・クルーソー」のフルタイトルは
「ヨークの船乗りたるロビンソン・クルーソーの生涯と、奇怪にして驚嘆すべき冒険―かれは、大河オリノコの河口近くのアメリカ海岸にある無人島にて、28年ものあいだひとりぼっちで暮らした。座礁により遭難、かれを除く全員が死亡。また海賊によって救出された経緯をも付す。かれみずからによる執筆」
めっぽう長いというトリビア笑
おもしろい。

18世紀のヨーロッパの地図で、日本海、朝鮮海が混在し始める。
欧米では宗谷海峡がラペルーズ海峡と記されていたとか。

さらに、ロシアの航海事情。
黒海からボスポラス海峡を越えダーダネルス海峡を越えて
ようやくエーゲ海で、さらに地中海を抜けて
ジブラルタル海峡を通らないと外洋に出られないって、
地図を紐解きながら丁寧に書かれていて、なるほどなあ〜と思った。
大戦の歴史で東方で不凍港に執着していたのは勉強していたけど、
西方も閉じてるんだなあ。と。
勉強になった。

ラ・ペルーズの冒険もおもしろかった。

多方面での学びがありました。
良書!
コメント
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