思惟石

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『クロコダイル路地Ⅰ』フランス革命の生々しさが

2022-08-25 11:15:17 | 日記
『クロコダイル路地Ⅰ』
皆川博子

前半はフランス編。
フランス革命真っ只中の港湾都市ナントが舞台です。

「Ⅰ」とあるので、そこそこの長編シリーズなのかなと思ったけれど、
上下巻構成らしいです。

革命前夜の不穏な国情、革命派と半革命派の戦い、
共和制支配の息苦しさ。
なんとも生々しい、個人レベルで感じる「革命」が
様々な立場の登場人物視点で描かれています。
ブルジョワジーの視点、貧しい平民の視点、
どちらも細やかでわかりやすいし、ハラハラする。

一応、主人公は豪商の息子で、現状、最も魅力に欠ける
ブルジョワジー少年ロレンスです。
弱音と妄想ばっか吐いてんじゃねえ!
後半がんばれよ!

他に、貧しい出身の少年ジャン=マリ(応援したい)
貴族の従者ピエール(フランソワが生きてると良いね)、
そして後半、第四の視点となる、現状、嫌われ度ナンバーワンの
少女コレット。

御大の筆が冴え渡って、良い感じである。
不穏な時代の物語ですが、読んでいて気持ちが暗くなるわけではない。

あと、歴史の勉強をちょっとしたので、
ルイ16世がヴェルサイユからパリ市内に連行された
「ヴェルサイユ行進」は女性たちが中心だったという描写も
「勉強したところが出た〜!(コテンラジオで)」となって
嬉しかったです。
学生時代もこれくらい勉強しておれば(以下略)。

後半はイギリス篇だそうです。
がんばれロレンス(期待はしてない)。
コメント
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