『砂糖の世界史』川北稔
近代世界史の流れを
「世界商品」である砂糖を中心に、わかりやすく語る。
超絶良書!!
岩波ジュニア新書がすばらしいのか、
作者がすばらしいのか、その両方なのか。
コロンブスに始まる大航海時代に、
探検船が様々な「苗」を輸送していたとは、知らなかった。
各地で植民地植物園をつくったり。
確かに、植民地で何を栽培するか、というのは
各国の輸出入での大きなポイントだよな。
そんなヨーロパ人の手(船)で、
サトウキビはカナリア諸島から西インド諸島(カリブ海)へ。
じゃがいも・トマト・とうもろこし・タバコは
アメリカからヨーロッパ。
キャッサバはブラジルからアフリカ・コンゴ。
苗が世界を駆け巡っている。
そして、何よりも
「砂糖のあるところに奴隷あり」(エリック・ウィリアムズ)
という言葉が、この本の骨子でもある。
植民地をプランテーション化して生活必需品すら輸入する
「モノカルチャー」という概念も知らなかった。
不勉強である。反省&学習。
モノカルチャーの事例としては、
アメリカ南部の綿花、南アメリカのコーヒー豆、
セイロン(スリランカ)の茶葉、等。
言われてみれば、お茶の木も、どこでも栽培できる植物では
ないのでした。忘れてた。
イギリスではお茶も砂糖キビも育たないんだよね。
イギリスで紅茶が劇的に流行った際、
まだまだ庶民には手に入りにくい状況下で
「イギリス産の紅茶(お買い得だよ〜)」
という謎商品が出回ったのは、なかなかである。
令和では
「これ、仮想通過の実物なんですよ〜」
と言ってコインを売りつける詐欺があるらしいんですが、
それと似た味わい深さがあるな…。
以下、おもしろティップス
トマス・アクィナス『神学大全』で砂糖は薬と書かれているので、
17世期ヨーロッパでコーヒーやタバコ、チョコレートが
宗教的「堕落」と言われても砂糖はOK!だった。
ボイコットはアイルランドのイギリス人地主ボイコット大佐
(小作人に排斥される)のエポニム。
夏目漱石がイギリスのポリッジ(まずい)のことを
ジョンソン博士の『英語辞典』(ポリッジの項に
「イングランドでは馬が食べ、スコットランドでは人が食べる」と
書いてある)を引き合いに出して
「イギリス人がすべて馬になったらしい」と手紙に書いたとか。
細部も含めて、ぜんぶおもしろい良書!
近代世界史の流れを
「世界商品」である砂糖を中心に、わかりやすく語る。
超絶良書!!
岩波ジュニア新書がすばらしいのか、
作者がすばらしいのか、その両方なのか。
コロンブスに始まる大航海時代に、
探検船が様々な「苗」を輸送していたとは、知らなかった。
各地で植民地植物園をつくったり。
確かに、植民地で何を栽培するか、というのは
各国の輸出入での大きなポイントだよな。
そんなヨーロパ人の手(船)で、
サトウキビはカナリア諸島から西インド諸島(カリブ海)へ。
じゃがいも・トマト・とうもろこし・タバコは
アメリカからヨーロッパ。
キャッサバはブラジルからアフリカ・コンゴ。
苗が世界を駆け巡っている。
そして、何よりも
「砂糖のあるところに奴隷あり」(エリック・ウィリアムズ)
という言葉が、この本の骨子でもある。
植民地をプランテーション化して生活必需品すら輸入する
「モノカルチャー」という概念も知らなかった。
不勉強である。反省&学習。
モノカルチャーの事例としては、
アメリカ南部の綿花、南アメリカのコーヒー豆、
セイロン(スリランカ)の茶葉、等。
言われてみれば、お茶の木も、どこでも栽培できる植物では
ないのでした。忘れてた。
イギリスではお茶も砂糖キビも育たないんだよね。
イギリスで紅茶が劇的に流行った際、
まだまだ庶民には手に入りにくい状況下で
「イギリス産の紅茶(お買い得だよ〜)」
という謎商品が出回ったのは、なかなかである。
令和では
「これ、仮想通過の実物なんですよ〜」
と言ってコインを売りつける詐欺があるらしいんですが、
それと似た味わい深さがあるな…。
以下、おもしろティップス
トマス・アクィナス『神学大全』で砂糖は薬と書かれているので、
17世期ヨーロッパでコーヒーやタバコ、チョコレートが
宗教的「堕落」と言われても砂糖はOK!だった。
ボイコットはアイルランドのイギリス人地主ボイコット大佐
(小作人に排斥される)のエポニム。
夏目漱石がイギリスのポリッジ(まずい)のことを
ジョンソン博士の『英語辞典』(ポリッジの項に
「イングランドでは馬が食べ、スコットランドでは人が食べる」と
書いてある)を引き合いに出して
「イギリス人がすべて馬になったらしい」と手紙に書いたとか。
細部も含めて、ぜんぶおもしろい良書!