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ストだって!どうしてくれるのよ ― ピサ - 1996.05.01
昨夕、ヴェネチアから中世ルネサンス発祥の地、ここフィレンツェに到着。アルノ川沿いのグランドホテルにチェック・インする。以前に泊まったエクセルシオールの前に位置する5つ星ホテルである。
(左)フィレンツェの駅 (右)川沿いのホテルの部屋からの眺め
グランドホテル・フィレンツェ
当地では何と言ってもウフィッツィ美術館での数々のルネサンス名画との再会が楽しみである。
が、が、が、である。朝早く起きて美術館の列に並ぼうと前まで行くと、何とストライキで休館とのこと。
世界中から沢山の観光客が来ていて、お目当ての名画が待っているというのに。日本から来たツアー客のおばさん達は、「このためにはるばる来たのに!!」、「スケジュールが決まっているので、入れないじゃない!」と大いなる怒りがあちこちに渦巻いている。まことにお気の毒である。
ヴェッキオ宮殿前のシニョリーア広場 (フィレンツェ)
しからば、我々はとりあえず今日はピサに行き、明日美術鑑賞することに急遽予定を変更する。中央駅でピサ行き往復チケットを購入。14400リラ、約1000円。およそ1時間で着くそうだ。
ピサへの切符、フィレンツェから約千円
ピサのドゥオーモ広場へは2km30分ほどのウォーキング、駅前広場からクリスピ通りを北へ、アルノ川を渡り更にローマ通りを1kmほど歩けばよろしいと説明を受けたが、下車した人たちが同じ方向に進むので歩調を合わせる。
(左)駅からドゥオーモまでは2km、もうすぐ! (右)奇跡の広場に建つ斜塔、大聖堂、洗礼堂
斜塔で有名なピサだが、13世紀フィレンツェの支配下に置かれるまではジェノヴァ、ヴェネチアらと大海運国の覇権を争った町である。町の中心の11世紀に建てられたドゥオーモはピサ・ロマネスク様式の傑作で、何本もの柱列が並ぶ白い大理石の大伽藍は実に美しい。
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(上)イタリア唯一の円形洗礼堂内部 ピガレッティ彫刻の8角形の洗礼盤(1264年)
大聖堂の中央ブロンズ門扉には聖母マリアの生涯がピサーノの手により制作(焼失・再建)され、「キリスト降誕」の場面は多くの人の手で撫でられたキリストが輝いている。
大聖堂中央門扉の「キリスト降誕」の場面
斜塔はその付属鐘塔として12世紀に着工された。残念ながら高さ55mの斜塔(南北で70cmほど差があるが)は倒壊防止のため上がることはできない。地盤沈下のためこの当時建てられたほとんどのピサの建物が傾いていると言われている。
ガリレオがドゥオーモの吊下されたランプから「等時性」を、斜塔で「落下の法則」を見出した話はあまりにも有名である。
天才建築家ボナンノ・ピサーノ作。4.31mの傾斜。お決まりポーズ
広大な緑のドゥオーモ広場には、カップル達が春の日を浴びながら寄り添ってひと時を過ごしている。中には寝転がってきわどい行為の熱々のカップルもいる。さすがにここはイタリアである。
全体のロマネスク様式にイタリアン・ゴシック様式が調和している
夕刻にフィレンツェに戻り、多くの人で賑わうドゥオーモ広場周辺を散策する。以前、建設業界の人達と訪れた際、サンタ・マリア・デル・フィオーレを見て「あっ!東京都庁そのものだ!」と叫んだ人がいた。また、前回夕食後、ワインで良い気持ちになって広場の絵描きに似顔絵を書いて貰っている最中に寝てしまったりと、この広場にはいろいろ思い出がある。
夕刻、花の聖母教会をバックに (フィレンツェ)
白、ピンク、緑色の幾何学模様が特色の花の聖母教会、ブルネッレスキーの設計による大クーポラが中世ルネサンス期に増築され巨大な教会となった。464段のクーポラの階段を上ると、疲れを感じさせないフィレンツェの素晴らしい360度の街並みが待っている。
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(左)これは東京都庁そのもの!と叫んだ建築業界の人も (右)以前広場で描いて貰った似顔絵
洗礼堂の「天国の扉」とミケランジェロが命名した東の扉は、ある日本人の寄贈によるレプリカだそうな。ルネサンス最大の功労者とも言われるジォットの設計による鐘楼と共に、このドゥオーモ広場は正にルネサンスの濃厚な匂いがする場所である。
さあ、いよいよ明日は名画とのご対面である。
ストだって!どうしてくれるのよ ― ピサ - 1996.05.01
昨夕、ヴェネチアから中世ルネサンス発祥の地、ここフィレンツェに到着。アルノ川沿いのグランドホテルにチェック・インする。以前に泊まったエクセルシオールの前に位置する5つ星ホテルである。
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(左)フィレンツェの駅 (右)川沿いのホテルの部屋からの眺め
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当地では何と言ってもウフィッツィ美術館での数々のルネサンス名画との再会が楽しみである。
が、が、が、である。朝早く起きて美術館の列に並ぼうと前まで行くと、何とストライキで休館とのこと。
世界中から沢山の観光客が来ていて、お目当ての名画が待っているというのに。日本から来たツアー客のおばさん達は、「このためにはるばる来たのに!!」、「スケジュールが決まっているので、入れないじゃない!」と大いなる怒りがあちこちに渦巻いている。まことにお気の毒である。
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しからば、我々はとりあえず今日はピサに行き、明日美術鑑賞することに急遽予定を変更する。中央駅でピサ行き往復チケットを購入。14400リラ、約1000円。およそ1時間で着くそうだ。
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ピサのドゥオーモ広場へは2km30分ほどのウォーキング、駅前広場からクリスピ通りを北へ、アルノ川を渡り更にローマ通りを1kmほど歩けばよろしいと説明を受けたが、下車した人たちが同じ方向に進むので歩調を合わせる。
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(左)駅からドゥオーモまでは2km、もうすぐ! (右)奇跡の広場に建つ斜塔、大聖堂、洗礼堂
斜塔で有名なピサだが、13世紀フィレンツェの支配下に置かれるまではジェノヴァ、ヴェネチアらと大海運国の覇権を争った町である。町の中心の11世紀に建てられたドゥオーモはピサ・ロマネスク様式の傑作で、何本もの柱列が並ぶ白い大理石の大伽藍は実に美しい。
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(上)イタリア唯一の円形洗礼堂内部 ピガレッティ彫刻の8角形の洗礼盤(1264年)
大聖堂の中央ブロンズ門扉には聖母マリアの生涯がピサーノの手により制作(焼失・再建)され、「キリスト降誕」の場面は多くの人の手で撫でられたキリストが輝いている。
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斜塔はその付属鐘塔として12世紀に着工された。残念ながら高さ55mの斜塔(南北で70cmほど差があるが)は倒壊防止のため上がることはできない。地盤沈下のためこの当時建てられたほとんどのピサの建物が傾いていると言われている。
ガリレオがドゥオーモの吊下されたランプから「等時性」を、斜塔で「落下の法則」を見出した話はあまりにも有名である。
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広大な緑のドゥオーモ広場には、カップル達が春の日を浴びながら寄り添ってひと時を過ごしている。中には寝転がってきわどい行為の熱々のカップルもいる。さすがにここはイタリアである。
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夕刻にフィレンツェに戻り、多くの人で賑わうドゥオーモ広場周辺を散策する。以前、建設業界の人達と訪れた際、サンタ・マリア・デル・フィオーレを見て「あっ!東京都庁そのものだ!」と叫んだ人がいた。また、前回夕食後、ワインで良い気持ちになって広場の絵描きに似顔絵を書いて貰っている最中に寝てしまったりと、この広場にはいろいろ思い出がある。
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白、ピンク、緑色の幾何学模様が特色の花の聖母教会、ブルネッレスキーの設計による大クーポラが中世ルネサンス期に増築され巨大な教会となった。464段のクーポラの階段を上ると、疲れを感じさせないフィレンツェの素晴らしい360度の街並みが待っている。
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(左)これは東京都庁そのもの!と叫んだ建築業界の人も (右)以前広場で描いて貰った似顔絵
洗礼堂の「天国の扉」とミケランジェロが命名した東の扉は、ある日本人の寄贈によるレプリカだそうな。ルネサンス最大の功労者とも言われるジォットの設計による鐘楼と共に、このドゥオーモ広場は正にルネサンスの濃厚な匂いがする場所である。
さあ、いよいよ明日は名画とのご対面である。