朝日新聞の電子版に「
経済危機の渦中に狩猟旅行 批判浴びスペイン国王謝罪」というタイトルの記事が掲載されていた。(http://digital.asahi.com/articles/TKY201204190435.html)
丁度朝刊に、スペイン、イタリア再建難航という記事が出ていたので、先ほど改めて読み直した。
スペインの2月の失業率は、23.6%と約4人に一人が失業している状態である。
しかも25歳以下では、2人に一人が失業状態という。
国民の経済に対する、危機意識は相当なものであろうと察しがつく。
いまスペインは2012年度予算で増税、賃下げ、公的サービス縮小、で350億ユーロの歳出削減をしようという。
そして2013年の財政赤字をGDPの3%以内にする目標だ。
住宅価格も大きく下落しているという。
主力産業の一つの観光業も不振という。
金融機関には、政府から500億ユーロの資本強化を求められているという。
このような事態は、日本がバブル崩壊時に経験したことであり、当然銀行融資は抑制されるし不良債権処理や、貸し剥がしのようなことが起きる可能性があるのではないだろうか。
現にスペインでは、優良企業にすら、銀行がカネを貸さないといった話がニュースの話題になっている。
ロイターの記事では、スペイン経済がバブル崩壊後の1990年代の状況に似ていて、日本と同じ経過を辿る可能性があるという経済専門家の意見を掲載している。
それでも、日本の失業率は今のスペインほど、ひどくはなかったと思う。
今スペインは、景気悪化のため、財政赤字を減らす額を少なくし、景気を下げないようにしようとしているという。
そうすると、財政再建の期間が長くなるため、信用力が低下し、国債の金利が上昇する可能性がある。
現に、そのあたりが問題にされている為、財政再建がもたつくと再び国債金利が上昇する可能性が寄り強くなる。
もし、国債金利が上昇すれば上昇した金利分更に借金となるので、財政再建が困難になり、財政破綻の方向に近づくことになる。
多分スペイン国民は、財政赤字を削減すること、即ち借金を返済するとはどういうことか、身にしみて分り始めたに違いない。
これは個人でも同じことなのだ。
当然、財政破綻すれば、はるかに惨めな事態が襲ってくることが予想される。
極端な話、財政破綻すれば、生活保護や年金はなくなったり、大幅に減少するかもしれない。
その他、もろもろの住民サービスがなくなり、税金は増える。
収入がなくなっても、行政は支援してくれない。
一番困るのは、お年寄りや子どもやシングルマザーや障害者だろう。
このようなことが、目の前に想像されるので、多分スペイン国民は、今まで政治経済に無関心だった人も含め、経済危機に非常に敏感になっているのだろう。
このようなことを考えると、国民が王室の振る舞いに、クレームをつけることは理解できる。
王室なり、皇室は、国民の尊敬を受けて存立しているのであって、主権者は国民なのだ。
このような財政赤字削減の話は、今の日本の増税論議にも当てはまる。
経済成長をして税収を増やし、歳出をカットし、同時に増税して税収を増やし、地道に借金を返済する以外方法は無いのだろう。
参考
財政再建は経済成長させて税収を増やすことで可能だという議論もあるし、ある一面は正解であると思う。
いかなる時も、経済成長をさせることにより税収は、増える。
一時期アメリカが、景気を回復させることで、財政赤字を減らしたことがある。
しかしその後の到達点が、リーマンショックだ。
もし、簡単に景気をよくして、継続して財政赤字を減らせる方法があるなら、財政赤字問題はどこの国でも起きない。
ほとんどの国は、景気を良くすることに成功していない。
国内経済だけであれば、ケインズ理論等に示されるように、投資を増やすことで経済成長できる。
日本も池田内閣の所得倍増計画以来、その手法を駆使し、更に技術革新・イノベーションを進め、奇跡の経済発展を実現した。
しかし、経済がグローバル化したことで、外部要因が加わり、製品の機能・品質のみでなく通貨レートを含む輸出の国際競争力や、人件費上昇と産業の空洞化の問題及び、バブルの問題=不良債権による貸し出し規制等が発生し、様々な要因が複合的に複雑に絡み合い、財政出動することだけでは、経済成長を達成することが困難となった。
(毎年高度成長していれば、その国はいずれ超大国になるだろう。そのような国は過去どこにも無い。<帝国主義は、搾取で別問題>アメリカも例外ではない。)