私がギャラリーをやっていた1990年代、劇団態変の関係者が私のギャラリーに何度か来ていて、顔見知りになった。
その人たちがギャラリーに来たのは、亡くなった金昌樹氏の紹介だった。
当時、劇団態変の関係者の人や金昌樹氏から、劇団の話を聴いていたが、どんな演技か想像もつかなかった。
そしてその考え方も知らなかったし、彼らも詳細な説明はしなかった。
とにかく、私は身体障碍者の劇団ということで、近親感を持った。
その後、ギャラリーは廃業し、彼らとの接点も無くなった。
障がい者ということに関して言えば、普段私は障碍者とは思っていないし、実際に身体障がい者でもない。
あえて言えば、幼いころから20代後半まで右耳の慢性中耳炎にかかっていて、30歳前に府立病院で鼓室成型手術を受け1か月入院したが失敗し、右耳の聴力はほとんどなくなっていた。
その時、主治医の話では3つの骨はすべて菌に侵され溶けてなくなっていたという話だった。
その後、40代のころ日赤で聴力検査を受ける機会があったが、骨伝導聴力も無くなっているとのことだった。
そういう意味では、聴覚障害の一種かもしれないが、自分では障碍者にはあたらないと思っている。
しかし、公立中学に入って1学期の末に担任から聴覚障碍者学校に転校しないかと強く勧められたことがあった。
その時は、大きなショックで、母からもその話を聴かされたが、左耳は全く正常だし小さな音も問題なく聞こえるので断わった。(その当時からクッラシック音楽に興味を持ち出しラジオの番組をよく聴いたが、家族からやかましいと苦情がでた。)
多分、私が中学に入ったときは、好成績で学級委員長に学校から指名されたのに、入学後中間考査、期末テストも悪く、90番から100番台になり、特に担任教諭の英語が30―40点以台で、文頭の大文字化やピリオッドの忘れといった注意ミスが多く、クラスの平均点を大きく下回っていたので、みんなの前で激しく怒られた事があった。
いまから思えば、当時の中学一年生の1学期の英語でそんな点数では、私でも怒っていただろうと思う。
その担任は、2学期には学校からいなくなり、別の先生が担任となった。
余談が長くなったが、私が障碍者に関心を持つようになったのにはもっと大きな理由がある。
実は私が2歳のころ、ポリオに感染し全身麻痺となり、自身身体障碍者になっていた可能性も有り、とても他人事とは思えないのだ。(同時に、どれだけ亡くなった両親に苦労を掛けたかと思うと、いつも涙が出る。)
幸い、ポリオは完治したが、物心つく頃の記憶(多分4―5歳)は、いつも家で寝かされている記憶しかない。(両親から、近くにあった大阪市立小児医療センターに通院したり、近所で評判の鍼灸医にかかったというが全く記憶にない。近所のおばちゃんからは、偶然小児センターに行ったときに、私が背中に大きな注射をされて泣き叫んでいるところを見たと良く聞かされていた。)
その後、近所の同年配の子供が遊ぼうと誘いに来ても、家の前にある幅20センチほどの下水の溝を渡れず、這って渡ったことを憶えている。(同年配の子供はふつうに歩いて渡っていた。)
私だけが、リンゴ箱に鉄の車をつけた物に乗せられ、子供たち(5歳から8歳ぐらい)だけで近くの田圃(当時数十メートル先には農地が広がっていた。)まで行き、ニワトリの餌のハコベを摘んだりした記憶もある。
母は、見守っていたのだろう。(なんでも極力手助けしてなかったように思う。)
幸い、いまは全くポリオの影響もないが、小学校の体育の通知簿は1か2で3になることは無かった。
小学校高学年の合同体操では、グループ(5―6人)に別れ鉄棒や跳び箱に取り組んだが、私の班はいつも学年で最後まで私ができないので残されたが、みんながんばれと言いながら付き合ってくれた。
おかげで、みんなに迷惑をかけたが運動能力はずいぶん向上した。
中学校以降も、必死にみんなに追いつこうと頑張り、運動神経は良くないが、筋力体力は遜色なくなった。
それでも、たまに歩き方がおかしいといわれることがあり、最近も久しぶりに会った方から足が悪いのかと指摘を受けた。
そうした記憶や現実に起きていることからの影響から、障害には関心を持っている。
先ほど、偶然Eテレのハートネット「TVの再放送で劇団態変のドキュメントを見た。
劇団態変の主宰者の金満里氏の生い立ちや境遇や差別や怒りを知り、障がい者の体や動きをそのまま表現として演じる意味を知った。
金満里氏の言う「未踏の美」は、いわゆる「美」ではない。
障がい者の体を通じた独特の容姿や動きを目を背けることなく直視してもらい、そこから湧き出る怒りや苦悩や様々な意味の表現を感じてもらい、既存の価値観を揺さぶろうとしているのだ。
彼女の話や、態変のパフォーマンスを見て深い意味の一端を知ることができて良かった。
今回のTVを見て、金昌樹氏が私に紹介した気持ちも理解出来た気がする。
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