Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

花の都

2010-09-27 | Blues
 昔の人なので正確かどうか判りませんがBlues Boyも今月誕生日を迎え、85歳くらいになっています。
年齢か太り過ぎかあるいはその両方で、何年も前からステージでも座って歌っていますが、今日の盤は女性客から悲鳴に近いような声を浴びていた頃のB・B・キング。
とらえられた音にも、その場にいた人だけに歌っている以上の勢いが克明に刻まれています。



須賀敦子さんと並んで頻繁に登場していただく辻静雄さんの書いた「舌の世界史」(1969年)という本に、今は無くなってしまったパリの名店がいくつか登場します。
それらを80年代前半に紹介した米国のアラン・フラッサーが、三冊目の本を書いた頃までは存在したのですが四冊目が出るまでの間に、後継者がいない等の理由で幾つもの店が惜しまれつつ閉店してしまいました。

少し引用させていただきましょう。
「私は、ワイシャツの糊のきいたのが嫌いなので、どちらかというとソフトな仕上げにしてもらって着ることが多い。このワイシャツにもピンからキリまであって、割あいといろいろな生地をためしてみた。とどのつまり、今ではパリのシュルカか、ロード・エ・ブルース(両方ともカスティリヨーネ通りにある)のどちらかで作らせることにしている。

 食事をするときのワイシャツは、悪いのを着ているとアゴのところが苦しくなって、せっかくの料理も台なしになる。私の好みからいうと、やはりアゴの下、つまりちょうどネクタイの結び目になるところがいくらか下よりの方が食べやすい。」
と書いています。

残念ながら「パリで大枚の金を投じて、あつらえたタキシード」については店の名を記していませんが、裁断においてストライプ・スーツや今日のグレナカートのような柄合わせが比類ないとゲイ・タリーズも書いていたA. CRISTIANIだったら文句なしだったでしょう。
ゲーリー・クーパー、モーリス・シュバリエ、マストロヤンニが顧客名簿に名を連ねたA. CRISTIANIは、仕立て屋の佐藤さんも紹介されて行ったことがあると話してくれた事がありました。

価格は辻さんが行かれていた時代、花の都だからか例えば同じイタリア人経営ならミラノの著名な仕立て屋の倍くらいしたそうです。



今回のスーツは左の生地で、当ブログのプロフィール欄に使っているのが右です。



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