テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

コロナウイルスの事⑤:絶対に避けたい「医療現場の崩壊」日本の医療体制体力はどのくらいあるのか?

2020年03月30日 | コロナウイルス2020

コロナウイルスの事⑤ 感染爆発が起こったら、、、最も避けたいのは「医療現場の崩壊」

まず、今日3月30日に志村けんさんがコロナウイルス感染による肺炎で亡くなられました、たいへん残念です、哀悼、

これまでの記事、

その①:『致死率1%を前向きに』『医療現場の崩壊だけは避けたい』はこちら ⇒

その②:『長期化は避けられない』『マクロ戦略は封じ込め』『ミクロではきめ細かい対応を』 ⇒

その③:正念場です!!日本でなぜオーバーシュートが発生していないのか?理由は分からないそうです!

その④:コロナウイルスの事④:日本のPCR検査数が少ないのはなぜか?そして、日本の感染者数増加が緩やかなのはなぜか?

東京都の感染者数、それまで10人台で推移していたのが3月25日(水)に40人台に急増、以降40人台で推移して、28日(土)には63人、29日(日)は68人になりました、

ラッキーだったのか?
日本人の衛生習慣も勝てなかったか!?
日本式『クラスター封じ込め戦略』もここまでか、、、

いや、まだまだ諦めずにクラスター周辺を徹底的にPCR検査、濃厚感染者を追い続けて欲しいのですが、、、それでも、感染爆発が起きたら、、、

今日のテーマは、仮に、仮に感染爆発が起こった時のお話です、

もっとも避けなければいけないのは「医療現場の崩壊」です、

「医療現場の崩壊」とは何か?

重篤な患者が一気に増えた時に、医療従事者やベッド(病床)数、人工呼吸器などの医療機器が足らなくなり、『救える命も救えなくなる』事態の事です、

イタリアやスペインではすでに医療崩壊が起こっていると思われます、

それに比べて同じような感染爆発を起こしているドイツでは死亡率が低く抑えられています、

これはドイツ国内の医療体制と保険制度の成熟具合が影響していると考えられています、やはり医療体制の充実が医療体制維持に影響するようです、

日経新聞電子版3月28日から転載

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、欧州の主要国で死亡率に大きな差が出ている。特にドイツは0.7%と突出して低い。

早期検査で重症化しやすい高齢者の感染者増が抑えられている面がある。人工呼吸器の多さなども一定の効果を発揮している。感染者の把握が遅れたイタリアやスペインは死亡率がそれぞれ10%、7%に達し、医療崩壊の危機にある。

(転載ここまで)

人工呼吸器の多さと共に、やはり早期多量のPCR検査にも言及されています、これは韓国方式ですね、やはり日本方式ではダメなのか?

さらに有効性が報道されているのが、ドイツの“ホームドクター”という制度、これは日本の“かかりつけ医”と同じ制度です、

患者はまずホームドクターに診察を受けます、そこでトリアージ(医療方法の選択)を実施、投薬、大病院への紹介、検査などの判断をホームドクターが行う仕組みだそうです、

初診の段階で適切な振り分けをすることで、大病院への患者の殺到を緩和、適切な医療と医療体制の維持に役立っているようです、、、

なるほど、

日本も高度な医療体制を保持していると思いますし、保険も国民皆保険ですから治療費の心配も少ないです、

それでも、日本でも「医療現場の崩壊」が発生する可能性はあるのか?

ここでまず「封じ込めは出来ない」ことと「集団免疫」のことを書きます、

特効薬やワクチンが無い現在、コロナウイルス感染が終息するには「完全に封じ込める」か「集団免疫」しかありません、
(特効薬やワクチンが出来た場合はこの限りではありません)

が、世界的感染が広がった今、「完全に封じ込める」のは不可能かと思われます、

99%封じ込めても、世界の人の移動が元に戻った瞬間、残りの1%がまた感染拡大を始めるのではないでしょうか、

もう一方の「集団感染」とは、これまでの感染症の知見から人類が得た科学的根拠です、

具体的には“国民の70~80%が感染し免疫を得ると感染拡大が終息する”という法則みたいです、これは多くの科学者が流行終息の前提として語っているので間違いないでしょう、

なにやら都合の良さそうな「集団免疫」、ところが現実にはとても怖い状態を指し示しています、

「集団免疫」とは日本の場合、数量的にはどういうことなのか?

このBlogのコロナ記事②にワタシの計算式を書いています、
※その計算が一部間違っていたので、訂正して再掲します、

2020年3月20日の記事(訂正済)を抜粋再掲

日本の場合、集団免疫を獲得するまでの死亡者は、

人口約1億2600万人×70%感染で集団免疫=8820万人が感染×死亡率1%=88万人が死亡!!
という、とんでもない数字になってしまいます、

重症化率を20%とすると1764万人(前回440万人としたのは誤記でした)程度が重症化する計算です、

この1764万人を仮に1年間で医療対応するなら月間平均147万人程度に対して高度な医療を提供しなければなりませんが、これもどうも日本の医療体制では無理な数字のようです、

(抜粋転載ここまで)

ま、独酌酔言的計算式なのであまり悲観的にならないで読んでください、

また、現実にはいろんな対応策が講じられるので、感染者数はもっと低くなるものと思っていますが、、、

とにかく、無条件での「集団免疫」は被害が多すぎて現実的ではありません、

感染爆発が起こった時に必要な社会資本で重要なのは、医療従事者、病床数、そして人工呼吸器のようです、

まずは病床数を見てみましょう、

3月27日に厚労省から発表された“感染がピークを迎えた時の入院者数”は、NHKの集計によると全国で22万9500人でした、

この数字は、、、どうも現状の日本の医療対応可能キャパシティを大きく超えているようです、

ピーク時の病床の確保が可能かどうか?NHKがアンケートを取っています、

NHKのHPより抜粋転載

厚生労働省が示した計算式をもとに、感染がピークを迎えた時に各都道府県で入院が想定される患者の数をすべて足し上げると、約22万9500人となりますが、各都道府県に対し、計算式に基づく病床数を確保できる見通しがあるか聞いたところ、「確保できる見通し」と答えたのは神奈川県と岡山県の2県で、18都府県が「確保できない見通し」、27道府県が「確保できるかわからない」と回答し、対応できる病床の確保に課題があることが明らかになりました。

(抜粋転載ここまで)

このアンケートでは仮想ピーク時の病床を確保できる見込みがあるのは2県のみです、

つまり、ピーク時にはベッドが足らなくなる可能性があるということです、

中国武漢で急増の病院をあっという間に作った時は、『如何にも中国らしいなあ』とか思って見ていましたが、あれは必要な行為だったのです、とにかくベッド数が足らなくなるのです、

現在、イタリアやスペイン、米国でも同じような仮設病院、野戦病院が急増しています、、、病床は絶対に足らなくなるのです、

日本でも病床確保のために、野戦病院のノウハウがある自衛隊・民間の協力は不可欠になると思います、

次に、、、

特効薬・ワクチンが登場するまでは、人工呼吸器使用が最も有効な治療法のようです、

では、現在日本国内にある人工呼吸器の台数は、、、

2020年2月に日本呼吸法医学会と日本臨床工学技士会が調査をしています、

人工呼吸器には3種類あるようで、以下のような台数になっています、

すべて“取扱+待機”の数です、この意味はよく分かりませんが稼働中と待機中ということでしょうか?

全国の人工呼吸器の数量
◆人工呼吸器 約3万5700台
◆マスク専用人工呼吸器 約9500台
◆ECMO 約2670台

合せて全国で4万8000台くらいです、これでピーク時に対応できるのか?

仮に、この4万8000台を使って2週間の治療で重篤な患者を快復させることが出来るなら、1日当たり約3400人ほど、

感染者からの比率(重症化率20%)で逆算すると1日当たり1万7000人ほどの感染者までは対応できるかもしれません、

実際には地域的な偏りもあります、また治療日数の詳細データも見つからなかったの、相当荒っぽい計算式です、

他にも関与する関数がいろいろあるので、きつめに見積もって、感染者が1日当たり1万人くらいを超えると“医療現場崩壊の危機”が迫っていると考えて良いかもしれません、

ちなみに、3月27日のアメリカ国内の新たな1日の感染者数は1万7000人近くに達しています(アメリカCDC=疾病対策センター発表)、

病院の他にも人工呼吸器を持っている団体はあると思います、自衛隊にもあるのかな?医系大学や介護施設にもありますか?(よく分かりません)あるならそれも総動員ですね、

次に、、、

医師や看護師などのスタッフももちろん足りません、

病床数が足らないのですから、これほどの多くの患者を一気に受け入れる想定がされているとは思えません、

医療現場では社会奉仕的意志、もしくは義務的意志による過酷な労働環境が発生すると予想されます、

自衛隊や医療関係者OBは前線へ召集されるでしょう、

医系学生、看護学校生などにも後方支援の協力要請があるかもしれません、

ここまで来ると、これはまさに戦争です、

以上のように、病床数、人工呼吸器数、医療スタッフ数、いずれも充分な状況ではありません、

感染が一気に急拡大したら「医療現場の崩壊」が起こる可能性が大いにある、ということです、

「医療現場の崩壊」が起こると“助かる命を助けること”が出来なくなります、これは何としても避けたい、

そのために出来ることは、、、

まず疫学的には、感染拡大のスピードを極力緩め、ピークを低くコントロールする、緩やかに少人数で時間を掛けて感染していくことを目指すということです、

そのために外出自粛要請、都市封鎖です、まさに戦争前夜の状況なのです、

特効薬、ワクチンが出来るまで(1年~2年程)は「完全に封じ込めること」が現実的には不可能ですから、長期戦、じっくりとコロナウイルスと向き合って、ゆっくりと感染していくしかない(おかしな表現ですが)、、、

まずはなんとか、感染拡大スピードを緩めることによって「医療現場の崩壊」を防ぐ、

そして、重篤な患者さんを1人でも多く救う、

ここが今後の戦略のコアかな、と思います、そのための自粛要請であり、都市封鎖です、

そのことを理解して行動したいです、

もちろん他にも出来ること、やるべきことはたくさんあります、

それはまた次回、、、

う~ん、ホントにヤバくなってきました、