テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

なるべく分かりやすく!コロナウイルスの事24~第1波ピークは過ぎたけど、日本の感染死亡率の高さが気になります、

2020年05月19日 | コロナウイルス2020

なるべく分かりやすく!コロナウイルスの事24~第1波ピークは過ぎたけど、日本の感染死亡率の高さが気になります、

2020年5月17日(日)の新規感染者数、東京が5人、大阪はゼロ!全国で59人
(全国は厚労省日報)、

とりあえず、第1波のピークは過ぎたと考えて良いでしょう、

このまま自粛を続ければ、6月末までには全国での新規感染者数が一ケタになるかもしれません、

◆日本の感染拡大のピークは低かった

なんか、運が良かったのか?BCGのラッキーパンチか?アジア人は抗体を持っているのか?

とにかく、日本の感染ピークは欧州やNYに比べると格段に低かった、と考えています、

【なんども再掲:日本の感染者数が少ない不思議】

山中教授はこれを“ファクターX”と呼んでおられますね、

独酌酔言的には“日本の特殊事情”、

日本の特殊事情(最新追加まとめ)
① 初期の“クラスター潰し”戦略が功を奏した(初期の押さえ込みに貢献)
② 日本の高い衛生習慣(手洗い・マスク着用などの習慣)
③ 日本の距離のある社会習慣(握手・ハグはほとんどしない+靴を脱いで家に上る)
④ BCG接種のラッキーパンチ(未だエビデンスなし)
※23で追記 ⇒ 山中教授も未だ注目
⑤ 外出自粛3密回避・都市間移動制限などの効果(絶対的効果も、実情は心もとない)
※23で追記 ⇒ 自粛なのに日本人はよく頑張りました、一部解除以降は緩んでいますが
⑥アジア人はコロナウイルス(SARS-Cov-2)に対するなんらかの免疫があるかもしれない

◆でも、最近の数字では死亡者数が気になります

17日(日)の東京都の新規感染者が5人、そして、新たに亡くなられた方が7人、
(18日(月)は新規10人感染者、死者4人)

もちろん、同日のこの2つの数字は比較の対象ではありませんが、にしても死亡者の数字が大きく感じます、

これまでは、感染拡大の趨勢を感染者数で観ていたのですが、ここに来て死亡者数も気になりはじめました、

最終的には“死者がどれだけ多かったか、少なかった”が最も重要な指標になります、

命は一つ、取り返しがつかない訳ですから、

◆人口当たりの死亡者数、日本はとっても少ない

まずは人口当たりの死亡者数の多い国から並べてみると、
(こちらのサイトから引用転載しました)

【人口100万人あたりの死亡者数】
1:ベルギー 773人
2:スペイン 587人
3:イタリア 523人
4:イギリス 501人
5:フランス 422人
6:スウェーデン 361人
7:オランダ 329人
8:アイルランド 308人
9:米国 268人
10:スイス 217人――

以下、少ない主要国、

ドイツ96人、
イラン82人、
ロシア17人、
日本6人、
韓国5人、
中国3人 となっています、

(以上2020年5月16日現在)
※元の数字はリアルタイムで数字を表記する「ワイルドメーターズ」より引用されています)

人口当たりの死者数で観ると日本はとっても少ないのです、

WHOの日本人職員の方もTVの取材に対して“死亡者がとても少ないのは素晴らしい”という主旨のコメントをされていました、

が、、、

欧州やNYで感染爆発が起こった時に、日本でも同程度の感染状況になったら!?という恐怖に襲われましたが、なぜか?そこまでは至らなかった、

日本と共に、韓国、中国のピークも低い、アジア全般にピークが低い傾向は観て取れます(後述)、

これは、、、“日本の特殊事情⑥=アジア人には抗体が?”との関連を想起させる傾向です、

◆でも、感染者数に占める死亡者数を観ると

人口当たりの死亡者数は、その国の感染状況(感染者数)とある程度リンクします、

日本の感染者数は欧州と比べると少な目、だから人口当たり死亡者数もとても少な目、ということです、

でも、感染者数の占める死亡者数(仮に感染死亡率と記します)を観てみると、、、こんな感じになります、

(厚労省日報:5月17日現在)
                      感染者数 死亡者数 感染死亡率
ベルギー  54,989  9,005  16.4%
スペイン  230,698 27,563  11.9%
イタリア  224,760 31,763  14.1%
英国         240,161 34,466  14.4%
フランス  142,291 27,625  19.4%
スウェーデン29,677   3,674   12.4%
オランダ  43,870   5,670   12.9%
アイルランド24,048      1,518    6.3%
米国       1,465,066    88,675    6.1%
スイス     30,490      1,601    5.3%

ドイツ   175,752  7,938    4.5%
イラン   118,392  6,937    5.9%
ロシア   271,650  2,533    0.9%

日本            16,285 744    4.6%
韓国            11,050 262    2.3%
中国            82,947  4634    5.6%

台湾            440  7  1.2%
香港         1,053  4  0.4%
シンガポール  27,356 21    0.1%
タイ         3,025 56    1.9%
マレーシア   6,872  112    1.6%

豪州            7,019 98    1.4%
ニュージーランド 1,498    21    1.4%

マカオ         45   0
ベトナム   318   0
カンボジア  122   0

欧州は感染者数も死亡者数も多い、そして感染者死亡率も高い、

如何に凄まじい感染爆発が起こったかを示しています、

◆実は、日本の感染死亡率は4.6%とアジアでは非常に高い

感染死亡率では、日本は米国やドイツと同じくらい、一見善戦しているように見えますが、、、

欧州・NYは感染爆発のピークは強烈に高かった、

そのため医療現場も崩壊していた、と考えられ、それが感染死亡率の上昇に繋がったと考えられます、

それに比して、(なぜか)感染のピークが低いアジアに目を向けると、

感染死亡率が4~5%台と高いのは日本と中国だけです、

人口当たり死亡者数では日本とほぼ同じ韓国の感染死亡率は2.7%、

その他のアジア諸国は軒並み1%台以下です、死亡者ゼロの国もあります、

もちろん、各国のデータ集計の精度の問題(本当に正しいデータなのか?)が根底にありますが、

今はそれを論じない前提で書くと、、、

アジアの中で観ると、日本の感染死亡率は4.6%と非常に高いのです、

破壊的な感染爆発があったドイツ(4.5%)と同等の感染死亡率です、

つまり、日本と中国では、一旦発症すると死亡するリスクが高い、ということです、

日本って医療先進国かと思っていたのですが、、、

◆ちょっと寄り道、南半球はどうなんだ?

豪州とNZLで感染者数、感染死亡率とも低いのはなぜか?

直感的には、有効な施策を打つ有能な指導者がいた!からかな?というイメージですが、、

『南半球は夏だったから』というテーマも浮かんできます、

これから冬を迎える南半球の国々の動向に注目です、

ひょっとすると、コロナにも若干の“流行季節指数”があるかもしれません、
(現状ではインフルエンザ程の流行季節指数は無いと考えられていますが、、、如何に?)

これは、今後、季節の移ろいと共に考えるテーマです、

◆なぜ高い?日本の感染死亡率

さて、日本の感染死亡率に戻ります、

まず、日本の人口当たりの死亡者数は少ないことに関しては、

“検査不足だから”感染者数が実際よりも少なめに出ている、との見方があるかもしれませんが、

ワタシは検査数が少ないこと自体にはそんなに危機感を持っていません、
(現状では、地下感染者はそんなに多くない、という考えです)

ただし、発症可能性の症状があるのに迅速にPCR検査を受けられなかった!

という事態が多発したようです、これは早急に回避、迅速な検査をすべきでした、

検査数(多さ)の問題ではなく、検査スピード(検査体制)の問題、迅速に検査できる体制が必要でした、
(後述に繋がります)

さらに、情報不足からの国民の不安を払拭するためにも、第2波に備えて今後検査数は増やしていくべし、と考えます、

で、仮にこの感染死亡率が正しいとして、

人口当たり死亡者数は少ないのに、

『なぜ、日本の感染死亡率がこんなに高いのか?』

理由を考えてみます、

1つは前述の通り、感染初期に迅速にPCR検査が受けられず、

入院~治療と云うプロセスに時間が掛かり重篤化してしまった、というケースがあったと思われます、

これは大変残念な事象ですが現実です、

もっと大きな問題、感染死亡率が上ってしまった理由は、、、

ぶっちゃけ、感染ピークが低かったにも関わらず、

“日本の医療体制は感染スピードに追い付けなかった”からだと考えています、

◆日本の感染症対策における全体イメージ(コンセプト)の欠如

誤解を避けるために先に書いておきますが、

医療の最前線で闘っていただいている医師、看護師、医療関係者、病院関係者の方々は本当に頑張っておられると思います、

彼らの不断の努力無しではここまでの成果は生まれなかったと考えています、

今の日本の感染医療体制は現場の努力で持ちこたえています、

“日本の医療体制が追いつかなかった”原因はやはり、

国の感染症対策の準備と臨機応変な対応が不十分だったからです、

その根本原因は、感染症対策の全体イメージ(コンセプト)が無かったから、という云い方が(独酌酔言的には)一番しっくり来ます、

老舗温泉旅館のように、ニーズに合わせて必要な部屋をその度に建て増し、増築していく(だから、マスク配布などという枝葉末節から入って行った)場当たり的な現状の方法論・組織論では、感染拡大のスピードに対応できなかったのです、

この全体イメージ(コンセプト)を的確に描くためには(『コロナウイルスの事23』で書いた)日本版CDC(疾病対策センター)設立が一つの結論だと思います、

◆保健所(拠点数)はこの25年間で60%程度に減らされています

保健所の体制が脆弱なため、感染者の初期発見(疑わしい症例の迅速な検査)にも支障があったようです、

保健所(拠点)は1995年以降、行政改革の波の中、全国で大幅に統合縮小されていました、
(大きな疫病がなかったのが原因か?とにかく保健所の戦力が低下していたようです)

PCR検査手続きを一手に引き受けていた保健所が、戦力不足のため目詰まりを起こし、至急の検査要請に応えられず、助けられなかった患者さんが多くいる、というのも事実だと思います、

これも、政府と官僚の対応の遅さが原因です、もっと早く保健所の目詰まりを解消する具体策を打ち出し、素早く民間にも検査をオープンにすべきでした、

今後、中期的には保健所の戦力増強の方向に転じるべきでしょう、

◆コロナ患者受け入れ病院の経営がここに来てひっ迫?

感染症対策の全体イメージが構築されなかったため、医療機関が有機的に連携して効率的に対応していくことが出来なかったように見えます、

混乱する医療現場を観ながらも、縦割り官僚には現場重視の合理的効率的な発想がないため、有機的な統括作業が行われませんでした、

病院も営利組織ですが、今回のような非常時には採算度外視で動く医師も病院も当たり前のようにいるでしょう、

官僚はこれを当たり前と思っている節があります、

医師に危険手当がほとんど支給されていないことも分かってきました、

危険手当なしでの医療行為が当たり前なんでしょうか?
(自営業の休業要請に際しても、政府の初動はしかり、無償で休業を求めようとしました)

全体イメージが描き切れていなかったので、

医療機関や保健所が各個にどう動くのが正しいのか?効率的なのか?が分からない期間が長かったように感じます、

さらにコロナ対策に掛けるマンパワー、器具、防具などの装備が圧倒的に脆弱な状態でスタートしたにも関わらず、それに対する国の支援も後手後手に回りました、

ここに来て、コロナ患者を受け入れている病院の経営がひっ迫しているという情報もあります、
(空床確保に加え、感染者差別もあり、病院経営の大きな問題になりつつあります)

今、病院が疲弊して壊れてしまうと、第2波は闘えません、

日本が一体となって闘える有機的な枠組み・全体イメージ(コンセプト)が必要です、

◆国会の仕事は予算を有効に医療現場へ投下すること

現状は現場のガンバリで踏ん張っているものの、

第2波では国がしっかりとサポートしなければなりません、

まだ、未知のウイルスもいるはずです、

現在のヒトがいる地球環境(世界的なヒト移動、環境破壊など)を考えると、

次の新型ウイルスの出現までの時間はそう長くはないという覚悟が必要です、

感染症対策の全体イメージをしっかり描いて、組織だった有機的で効率的な対応を実現する必要があります、

それを実現するには知恵が必要です、日本の高度な叡智を集めていただきたい、

そして、お金も必要です、

お金の話は国会の一番大切な仕事です、

本年度の補正予算、来年度の国家予算の組み方の発想を根本的に変えなければならなくなりそうです、

立法府である国会の喫緊のもっとも大切なお仕事だと考えます、

何に使うかも決まっていない核燃料リサイクル計画にまだ多額(本年度だけで250億円程度?)の費用を投下しているし、

イージスアショア(2基で最大1兆円)や、ステルス戦闘機F35(1機116億円×45機購入予定=5220億円) 購入価格は適正価格なのか?

国会議員さんのみんなで、よ~く考えて(審議してか^^)、

感染症対策(医療体制の確立)にもお金をたくさん投入して欲しいと切望いたします、