小さい頃の話(•ө•)♡
従兄弟のお兄さんが、リカちゃん人形で遊んでいた私のところへきて、
「これ、リカちゃんのおうちに隠しておいて」と、腕時計を持ってきた。
その時も連休で、親戚が集まって楽しく飲んだり食べたりしていた。
大人はみんな、いい感じで酔っぱらったり「ワハハ」「アハハ」と、楽しそうだった。
大人が楽しそうだと、子どもは安心して遊んでいられるのだ。
お兄さんは確か大学生ぐらい?だったと思う。やさしいお兄さんだった。
腕時計は誰のものだかわからなかった。でも、なんだか秘密のミッションみたいに思えて、
「うん、いいよ。」とリカちゃんハウスの中にいれて、リカちゃんハウスもおもちゃの棚にしまった。
しばらくして、私たち子どもは外へ遊びに行った。
帰ってくると、大人たちが騒がしい。「たかあきさんの時計がない」と言っている。
たかあきさんというのは、さっき腕時計を預けにきた従兄弟のお父さん。
私にとっては叔父にあたる。お兄さんは私をみて、「しーっ」と人差し指を口にあてた。
私はこれは絶対に秘密なんだ、と思って、絶対に言うもんかと思った。
思った矢先に母から「たかあきおじさんの腕時計を知らないか」と聞かれた。
「ううん、知らない。」と首を振ってこたえた。
「子供らは知らないだろう、子ども部屋にいたんだから」と誰かが言っていた。
お兄さんは探すでもなく、知らんふりをしていた。後で、お兄さんが取りに来ると思っていた。
そのあとはちょっと記憶が抜けているのだが、こういうことだった。
たかあきおじさんは、酔っぱらうと、回りにいる人に「これをやろう」「これ、とっといて」などと、
万年筆やネクタイ、ベルトまで、身に付けているものをどんどんあげてしまうのだ。
親戚や、懇意な人の中なら後から「回収」もできるが、
外へ行って飲んだときにそれをすると、みんな本気にしてもらって行ってしまう。回収不可能。
親戚の人でも、「本当にいいんですか!」などともらってしまうこともあった。
従兄弟のお兄さんは、例の腕時計は自分がもらう約束をしていたらしい。(高級なものだった、)
酔いが回ってきて、おじさんがネクタイや腕時計をはずし始めたときに、「これはまずい」と思って、
どこかに隠さなければ!と、子ども部屋に持ってきたのだ。
まさかリカちゃんハウスの中に隠してあるとは、誰も思わなかっただろう。
その後、腕時計は「どこかから出てくるだろう」ということで、探すのもやめになってしまった。
夜になり、みんなタクシーで帰っていった。おじさんとお兄さんも帰っていった。
・・・・・・腕時計を、リカちゃんハウスの中に残して。 お兄さん、取りに来なかった・・・・・・・
私は、どうしたらいいんだろう、と思った。
今さら、お兄さんに預かったとも、隠しておいてと頼まれた、とも言えない気がした。
お兄さんが怒られる、と思った。私のせいにされる?それはもっとイヤだった。
だから、ずっと黙っていた。その後の親戚の集まりでも、腕時計のことは話題にならなかった。
お兄さんは社会人になり、遠くの街へ行ってしまった。それから、お兄さんの結婚式まで会うことはなかった。
腕時計は、リカちゃんハウスから取り出して、ハンカチに包んでおもちゃ箱の中にしまっておいた。
そのあとどうなったのか、覚えていない・・・・・
私も大人になってから、この話をお兄さんにしてみたことがあった。
「小さい頃、腕時計預かったでしょ」と。そしたら、にっこり笑いながら
「あれ、そうだったかな。ははは。」と、すっかり忘れていた。
おじさんもとうの昔に亡くなった。あの腕時計、どうしたんだろう。
母か父がみつけて、おじさんに返したんだろうか。
大振りの、がっしりとした腕時計☆
なんとなく、うしろめたいような、そうでないような、歯がゆい気持ちだけが残っている。
そして、あの腕時計はまだ、記憶の底の、おもちゃ箱にひっそり眠っている。
(@^^)/~~~
従兄弟のお兄さんが、リカちゃん人形で遊んでいた私のところへきて、
「これ、リカちゃんのおうちに隠しておいて」と、腕時計を持ってきた。
その時も連休で、親戚が集まって楽しく飲んだり食べたりしていた。
大人はみんな、いい感じで酔っぱらったり「ワハハ」「アハハ」と、楽しそうだった。
大人が楽しそうだと、子どもは安心して遊んでいられるのだ。
お兄さんは確か大学生ぐらい?だったと思う。やさしいお兄さんだった。
腕時計は誰のものだかわからなかった。でも、なんだか秘密のミッションみたいに思えて、
「うん、いいよ。」とリカちゃんハウスの中にいれて、リカちゃんハウスもおもちゃの棚にしまった。
しばらくして、私たち子どもは外へ遊びに行った。
帰ってくると、大人たちが騒がしい。「たかあきさんの時計がない」と言っている。
たかあきさんというのは、さっき腕時計を預けにきた従兄弟のお父さん。
私にとっては叔父にあたる。お兄さんは私をみて、「しーっ」と人差し指を口にあてた。
私はこれは絶対に秘密なんだ、と思って、絶対に言うもんかと思った。
思った矢先に母から「たかあきおじさんの腕時計を知らないか」と聞かれた。
「ううん、知らない。」と首を振ってこたえた。
「子供らは知らないだろう、子ども部屋にいたんだから」と誰かが言っていた。
お兄さんは探すでもなく、知らんふりをしていた。後で、お兄さんが取りに来ると思っていた。
そのあとはちょっと記憶が抜けているのだが、こういうことだった。
たかあきおじさんは、酔っぱらうと、回りにいる人に「これをやろう」「これ、とっといて」などと、
万年筆やネクタイ、ベルトまで、身に付けているものをどんどんあげてしまうのだ。
親戚や、懇意な人の中なら後から「回収」もできるが、
外へ行って飲んだときにそれをすると、みんな本気にしてもらって行ってしまう。回収不可能。
親戚の人でも、「本当にいいんですか!」などともらってしまうこともあった。
従兄弟のお兄さんは、例の腕時計は自分がもらう約束をしていたらしい。(高級なものだった、)
酔いが回ってきて、おじさんがネクタイや腕時計をはずし始めたときに、「これはまずい」と思って、
どこかに隠さなければ!と、子ども部屋に持ってきたのだ。
まさかリカちゃんハウスの中に隠してあるとは、誰も思わなかっただろう。
その後、腕時計は「どこかから出てくるだろう」ということで、探すのもやめになってしまった。
夜になり、みんなタクシーで帰っていった。おじさんとお兄さんも帰っていった。
・・・・・・腕時計を、リカちゃんハウスの中に残して。 お兄さん、取りに来なかった・・・・・・・
私は、どうしたらいいんだろう、と思った。
今さら、お兄さんに預かったとも、隠しておいてと頼まれた、とも言えない気がした。
お兄さんが怒られる、と思った。私のせいにされる?それはもっとイヤだった。
だから、ずっと黙っていた。その後の親戚の集まりでも、腕時計のことは話題にならなかった。
お兄さんは社会人になり、遠くの街へ行ってしまった。それから、お兄さんの結婚式まで会うことはなかった。
腕時計は、リカちゃんハウスから取り出して、ハンカチに包んでおもちゃ箱の中にしまっておいた。
そのあとどうなったのか、覚えていない・・・・・
私も大人になってから、この話をお兄さんにしてみたことがあった。
「小さい頃、腕時計預かったでしょ」と。そしたら、にっこり笑いながら
「あれ、そうだったかな。ははは。」と、すっかり忘れていた。
おじさんもとうの昔に亡くなった。あの腕時計、どうしたんだろう。
母か父がみつけて、おじさんに返したんだろうか。
大振りの、がっしりとした腕時計☆
なんとなく、うしろめたいような、そうでないような、歯がゆい気持ちだけが残っている。
そして、あの腕時計はまだ、記憶の底の、おもちゃ箱にひっそり眠っている。
(@^^)/~~~