副題に、「経済学の常識をくつがえす資本主義の大転換」とある。
経済学の常識を知らない私にとっては、あまり意味がわからないのだが・・・。
でもこの本、とても面白いのでおすすめ。反面、ではどう解決したらいいのかについては、明快な解が書かれているとは言い難いのでその点は×である。
少し前に書いた「グローバル経済に殺される韓国・・・・」と共通する部分も多い。
結局、グローバル経済になると、国家の幸福は壊れていくということと、巨大になり過ぎた金融市場はもう国家の力では動かすことができないということ。
そして、グローバル経済は、ごく一部への富の集中と多数の貧困層を生み、その流れは止められない。だが、行き着くところまで行ってしまうと経済そのものが成り立たなくなるし、その前に大きな社会不安が生まれ、それを何とか抑制しないと惨劇に発展しかねないということ。だって大多数の人が不幸だと感じるような社会のままで均衡が保てるわけがない。
今起こっている現象は、近代資本主義の終焉であると氏は述べている。近代資本主義では、右肩上がり、つまり膨張が根底にあり、資本を用いて生産したものを売り、得た利益の一部は労働者に分配し、あまった利益を次の投資にまわすことで膨張していく。
しかし、この循環、もう膨張できなくなると終わってしまう。今は膨張の矛先を新興国に求めているが、その新興国が満たされてしまえばおしまいだということだ。
たとえば日本と中国が均衡するのには、あと20年はかかると氏は見ている。その間に、日本国内の貧富の差はさらに拡大する。
ただこの本の盲点は、大量生産大量消費的生産業を中心とした資本主義にしか目が行っていないことだ。もちろんその原材料のこと、エネルギーのこと、金融のことは触れられている。
国という単位でものを見ると、地勢、自然、文化など代替えのきかない資産があって、そこにお金が落ちる仕組みをうまく作れたら、もしかすると解決の糸口が見つかるかもしれない。
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