市役所新庁舎どうする?市民が議論 京都・長岡京市

2017-10-31 19:53:05 | 政 governing
 京都府長岡京市はこのほど、2020年度着工を目指す市役所の建て替えについて、市民の声を集めるワークショップを初開催した。市側は新庁舎に産業文化会館と保健センターの両機能を移転する検討案を示し、公募に応じた市民らが現状の課題や新庁舎への注文について意見を交わした。

 市は、4月に示した基本構想で新庁舎の規模や配置を定めた。市民の利便性向上や公共施設再編を狙いに、22年度以降の開始が見込まれる2期工事で産業文化会館の機能を持たせた庁舎を建設。6月の市議会一般質問で市側は、保健センターも機能移転する方針を打ち出している。

 市役所であったワークショップは、本年度中に策定する基本計画に市民の意見を反映させる目的。地域団体のメンバーや自治会関係者、会社員ら計19人が参加した。

 参加者は現庁舎に関し、三つに分散して階段が多く、バリアフリー化が行き届いていないことなど、問題点を挙げた上で「困った時にすぐ行ける」「全ての人にとって居場所になる」と新庁舎のコンセプトを提案した。

 総合的な相談窓口の充実や最上階でのレストラン営業、パブリックスペースで憩いの場の設置を望む声が上がり、新庁舎への機能移転について「駐車場は確保されるのか」「どこまで人を引きつけられるのか」などの指摘があった。

 ワークショップは11月19日にも開催し、新庁舎に求める機能について具体例を交えて話し合う。問い合わせは市公共施設再編推進室(955)9680。

【 2017年10月24日 11時42分 】

意見募集もバリアフリー化 障がい者条例案で京都・長岡京市

2017-10-16 08:04:46 | 政 governing
 障害者差別解消や情報やコミュニケーションの保障を一体的に盛り込んだ京都府内自治体で初の「障がい者基本条例(仮称)」制定を目指す長岡京市が、同条例案の内容を説明する手話動画や点訳などを用いて市民から意見を募っている。同市によるパブリックコメント(パブコメ)では初の試みで、「政策形成への関与を身近に捉えてもらいたい」とする。

 パブコメは9月21日に開始。条例案について、視覚障害者でも熟読できるよう点訳版を用意し、弱視や視野狭窄(きょうさく)の人に対応した拡大文字版の他、知的障害者などへ向け漢字にルビを振った版も用意した。一部は市のホームページ(HP)でダウンロードできるほか、市役所窓口や公共施設で配布するなどしている。

 さらに、10月5日から動画投稿サイト「ユーチューブ」で、内容を手話で伝える動画も公開。市の手話通訳者による手話にナレーションが付き、字幕も添えた。市のHPからアクセスできる。パブコメの締め切りは16日。

 障害の特性に応じた形式のパブコメは市では過去に例がないという。市障がい福祉課は「各担当課へ過重負担にならないことと、タイムリーな発信を両立させながら、拡大文字やルビなどの中で可能なものは標準化を目指したい」とし、庁内で協議を進めている。

 同条例案は、障害者への差別や虐待をなくす取り組みや、情報保障やコミュニケーション手段の普及に向けた施策を市の責務とする。合理的配慮の提供について「必要性を(市が)できる限りくみ取る」などと定めた。市は12月定例市議会への提案を予定している。

【 2017年10月13日 10時00分 】

京都・大山崎の保育園事業者決定で保護者「協議の場を」

2017-10-10 10:32:28 | 政 governing
 京都府大山崎町議会の全員協議会が3日開かれ、町立第二保育所の民営化に関して町は、2019年4月に開園予定の民間保育園を運営する事業者を社会福祉法人端山園(京都市伏見区)にすると明らかにした。

 町は、近畿2府4県で保育園などの運営を30年以上している社会福祉法人といった条件を掲げて8月下旬に事業者を募集し、府内外から2事業者が応募した。町民や学識経験者らでつくる町事業者選定委員会が事業者の事業計画書を精査したり、運営する保育園を視察したりして保育の運営や職員体制、危機安全管理などの観点から総合的に審査、先月末に事業者選定を山本圭一町長に答申した。

 全員協で森田俊尚町議(大山崎クラブ)は「今ある保育所と切磋琢磨(せっさたくま)し相乗効果に期待する」と決定を評価した。また、渋谷進町議(共産党)は保育料徴収に関して公立保育所と差が出ないよう求めた。

 第二保育所の保護者は「町はわれわれと協議する場を設けず一方的に民営化を進めている。私たちは民間園を否定しているのではなく、第二保育所を存続させた上で誘致すればいいと考える。町には引き続き協議の場を設けるよう求めたい」としている。

【 2017年10月04日 12時51分 】

バンビオ1番館に期日前投票所 京都・長岡京市議選

2017-10-02 10:06:03 | 政 governing
 京都府長岡京市選挙管理委員会は29、30の両日、市議選(10月1日投開票)で市内2カ所目となる期日前投票所を、同市神足2丁目のバンビオ1番館に設ける。投票率向上が狙い。

 期日前投票所は市役所4階に25日から開設されており、出先での開設は市議選で初めて。JR長岡京駅や商業施設にも近く、投票日に支障のある有権者の利用を呼び掛けている。

 28日は設営準備が行われ、選管職員らが資材を搬入、投票箱や記載台を設置し、机の配置などを確認した。

 両日とも午前8時半~午後8時に受け付ける。市役所でも30日まで期日前投票ができる。

【 2017年09月29日 11時26分 】

日電産、まちづくりへ覚書 JR向日町駅東へ進出方針

2017-09-24 11:35:43 | 政 governing
 JR向日町駅の東側に広がる京都府向日市森本町の農地へ、総合モーターメーカー日本電産(本社・京都市南区)が進出方針を固める中、地権者らでつくる「森本東部地区まちづくり協議会」と同社、向日市の3者が22日までに、まちづくりに関する覚書を交わした。進出の実現や土地の有効活用に向け、緊密に連携する、としている。

 同社広報宣伝部は「具体的な協議に着手するため、立場を明確化した」と位置づけ、今後について「前向きに進めたいと強く思っている。事業の実現性を見極めるため、地権者の意向を確認していく」とした。

 締結は13日付。覚書では、「相互に情報共有と意見交換に努める」とした上で、3者の役割を明記した。

 河川や道路を除いた約10ヘクタールの対象地を開発用地と農地に振り分ける地区計画原案の策定を進める同協議会に対し、日本電産が自らの土地利用計画に基づいて協力。市は、両者を支援し、対象地の道路整備を進める、と定めた。JR向日町駅東口開設について、市が事業を推進、両者が連携を図るよう努める、とした。

 森本東部地区まちづくり協議会の清水陽一会長は「書面で正式に協力体制が記され、一歩前に進んだ」と歓迎。「地元の要望がかなえられるよう日本電産と協議を進め、地権者間の理解度を深めていきたい」とし、2017年中に地区計画原案のたたき台を作成する目標を示した。

【 2017年09月23日 10時53分 】

日本文教出版の道徳教科書を採択 京都・向日市教委

2017-08-26 15:19:09 | 政 governing
 京都府向日市教育委員会は22日、来年度から小学校で教科化される道徳の教科書に、日本文教出版の教科書を採択した。市立小6校で来年4月から2年間使う。

 8社の候補のうち、採択されたのは日本文教出版の「小学道徳 生きる力」。この日の市教委定例会で、全4人の教育委員の賛成で可決した。

 市教委は採択理由について、創意工夫ある指導が行いやすい▽教材ごとに児童の考えを記録でき、評価に生かすことができる-などの点を挙げた。

 教育委員からは「いじめに関して考えることにスムーズに入っていける」「児童にとってのメリットがどこにあるのか明確に示したほうがよい」などの意見が上がっていた。

【 2017年08月23日 09時08分 】

採用試験をバリアフリーに 京都・向日市で点字受験

2017-08-19 11:33:11 | 政 governing
 雇用のあらゆる場面で障害者差別を禁じた障害者雇用促進法の改正を受け、京都府向日市が10月22日から始める身体障害者対象の職員採用試験で、点字の問題文や手話通訳などを介した面接を導入する。活字文のみの出題や口頭での面接に対応できる、などとした従来の要件を「門戸を狭める」として撤廃した。

 市では同日に1次試験、11月中旬に個別面接の2次試験を行い、事務職若干名を来年4月1日採用する。

 今月17日までの受付期間中、点字での受験や、面接の際に筆談や手話通訳の配置を申請できる。拡大鏡や点字用具などの持ち込みも認める。

 市は2012年度から採用試験を5回実施。いずれも、点字を除いた活字印刷文での出題と口頭による面接の他、自力での通勤や介助者なしの勤務が可能であることを受験資格としていた。

 今後、雇用枠の拡大が見込まれる中、4年ぶりとなる本年度の試験を機に、これらの条件を撤廃する。16年4月の同法改正で、事業主は採用時や採用後に「合理的配慮」を提供することが義務となった。市人事課は「合理的配慮のあり方について試行錯誤し、働きやすい環境づくりなど受け入れ体制を整える必要がある」とする。

 長岡京市では、障害者団体の要望を受け、既に昨年度の採用試験から同様の受験資格を撤廃。点字試験を導入済みで、本年度も実施する。筆談や手話通訳による面接には以前から対応していた。

 大山崎町は昨年度、自力通勤や介助者なし勤務の条件をなくした。点字試験は導入していない。本年度も同様の実施を検討中という。

【 2017年08月13日 12時03分 】

古紙回収収益、建て替え資金に 京都の自治会館

2017-07-12 15:49:59 | 政 governing
 京都府向日市寺戸町大牧地区の自治会館の老朽化が進み、住民たちが建て替え資金の捻出のため、古紙回収に熱を入れている。地元自治会が主導して地域住民に協力を求め、回収業者と料金の見直しを進めたところ、回収量が約5倍に増えた。補助金も得て、9月に建て替えに着工し、年内に完成するめどが立った。

 大牧自治会館(木造平屋建て約64平方メートル)は1977年に建設。現在、基礎が陥没して床が傾斜し、外壁に亀裂が入るなど経年劣化で建物の損傷が激しくなっている。大牧自治会では2015年から、建て替えに向けた議論を進めてきた。

 資金の足しにするため、同年7月から、古紙の回収日を月1回から2回に増やし、業者との交渉で買い取り料金を改定。回収日の朝には、自治会有志らが地域を回って住民に協力を呼び掛け、収益金を建設基金に積み立てている。同年9月からは、同会館を利用する隣の高畠自治会も取り組みに加わった。

  結果、回収の本格化前は月1トンほどだった回収量が今では5トン前後にまで増加。収益も月2万5千円程度を上げるようになった。6月下旬には「自治総合センター」から補助金約930万円が支給されることも決まった。

 週1回、同会館を使う住民サークル「ひばりの会」の藤田宗子さん(76)は「早く過ごしやすい建物になってほしいと願い、微力だけど協力してきた。回収日は声掛けに回ってくれるから『出さないと』って思う」と完成を心待ちにする。

 大牧自治会の佐々木和隆会長(65)は「住民みんなの思いが詰まった会館に生まれ変わる。地域にとっての『第二のリビング』として、さまざまな活動が展開される場所にしていきたい」と話す。

【 2017年07月01日 10時57分 】


住民投票条例案を提案、学童施設移転是非問う 京都・大山崎町会

2017-06-29 09:58:23 | 政 governing
 京都府大山崎町議会は23日、6月定例会の本会議を再開した。町は、住民から直接請求があった第二大山崎小のプールと学童保育施設の移転について是非を問う住民投票条例制定案を提案した。

 山本圭一町長は提案理由説明とともに、移転に関する議案がこれまでの定例会で可決されていることを踏まえ「町民間の対立をあおり、賛同しかねる」と反対の意見を述べた。同条例制定案は28日と29日の本会議で審議される。

 この日の本会議には大山崎排水機場旧棟解体工事の請負契約額を減額する議案も提案された。町議会は、同議案や700万円を追加する本年度一般会計補正予算案など10議案を可決、承認した。

【 2017年06月24日 12時41分 】

空き家388件、13%が利用不能 京都・向日、対策急務

2017-06-29 09:57:09 | 政 governing
 京都府向日市内で空き家とみられる物件が全世帯の約1・6%に当たる388件あり、うち約13%で損傷が大きく現状のままの利用は不可能と判定されたことが22日までに、市の調査で分かった。空き家率の全国平均(13・5%)は下回っているものの、老朽化が激しく倒壊の危険がある建物も存在し、市は「対策が必要」としている。

 2015年5月の空き家対策に関わる特別措置法の施行などを受け、市内の現状把握のために16年11~12月、現地調査していた。

 屋根や外壁など外観上の損傷を積算した結果、52件で損傷度合いが大きく、現状での利用が不可能な「D」ランクと判定。利用困難なCランクに127件、小規模修繕で利用可能なBランクに133件をそれぞれ分類した。

 Dランクの家屋は今後、同法に基づいて市が所有者へ適正管理を指導勧告する「特定空き家」の候補となる可能性があり、中でも10件程度が、屋根に穴があく▽外壁が崩れ落ちる-など建物の損傷が進み、倒壊の危険性があるという。

 また、雑草や樹木が管理されていないことなどで「第三者へ危害を与える可能性」が指摘されたのが204件に上り、23件で大量のごみが敷地内に堆積していた。

 市は、これらの空き家情報をまとめたデータベースを整備済み。市環境政策課は「今後、対策計画の策定に向けて、動きを進めたい」とする。

 同課によると、市民からは「家屋が倒れそう」「茂った草木が敷地外にはみ出している」など、空き家に関する苦情が年間20件ほど寄せられている、という。

【 2017年06月23日 11時50分 】

誰でも乗車無料、町営バス運行 京都・宇治田原

2017-06-23 10:08:46 | 政 governing
 京都府宇治田原町は8月1日、町営バスの運行を開始する。従来の福祉バスの利用制限を撤廃し、町民や観光客など無料で誰でも乗れる。

 町内では現在、福祉バスが平日の日中に役場や町総合文化センターなどを結ぶ計3ルートで無料運行している。高齢者や障害者、妊婦などが利用できるが、8月からは「町営バス」とし、コースや時間は変更せず一般利用できるようにする。

 路線バスがない町東部の奥山田、湯屋谷の2地区で住民らが自主運行しているコミュニティーバスについても、平日の日中は町営バスとし、町が費用を全額補助する。

 町は6月定例会に提案する一般会計補正予算案に、町営バスのPR費など110万円を計上した。町建設環境課は「利用状況を確認しながら、ルートの見直しが必要かどうかも検討したい」としている。

【 2017年06月21日 11時04分 】

京都・大山崎町、実質単年度収支が赤字転落 16年度500万円

2017-06-23 10:01:09 | 政 governing
 京都府大山崎町は19日、2016年度決算について、実質単年度収支が500万円の赤字になる見通しを示した。同収支の赤字は13年度以来。同日の町議会6月定例会の予算決算常任委員会で明らかにした。

 町によると、16年度の単年度収支は5400万円の黒字になるが、自治体の貯金に当たる財政調整基金の15年度繰入額を差し引くと赤字になってしまう。今後も中央公民館など公共施設の整備に費用がかさむことから、町は「18年度から都市計画税を取り入れた見通しでも、年に3億~5億円の収支不足が生じる」と説明した。

 これに対して、北村吉史町議(大山崎クラブ)は「新たな財源を真剣に議論すべき」、朝子直美町議(共産党)は「まだ使える施設を建て替える必要があるのか考えるべき」と意見を述べた。

【 2017年06月20日 10時18分 】

“山宣”生誕128年、「共謀罪」廃案を 京都・宇治で行事

2017-06-10 11:28:39 | 政 governing
 治安維持法に反対して暗殺された宇治出身の政治家山本宣治の生誕128年記念講演会が4日、京都府宇治市宇治の料理旅館「花やしき浮舟園」で催された。現代の治安維持法と懸念される「共謀罪」の成立が迫る中、約100人の参加者は当時と今を重ね合わせながら自由や平和の大切さを考えた。

 講師を務めた立命館宇治中・高の本庄豊教諭は、治安維持法は成立後に罰則が徐々に重くなり、それを恐れる空気が社会に広がって自由が圧殺されたと指摘。「山宣たちのことだけでなく、周囲の人の変化を伝えないと治安維持法の怖さが分からない」と訴えた。

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案についても、政府答弁が治安維持法の時と似通っているとして廃案を強く求めた。

 生誕記念行事は山本を顕彰する市民グループ「宇治山宣会」が、毎年5月28日の誕生日前後に開催している。

 この日は東京山宣会のメンバーも訪れ、山本が凶刃に倒れた光榮館跡(東京都千代田区)に記念プレートを設置する活動を報告した。

【 2017年06月05日 11時02分 】

京都・長岡京市が任期付き職員初募集 秋採用も実施

2017-05-21 17:33:59 | 政 governing
 京都府長岡京市は、今年10月から勤務してもらう任期付き職員と秋採用職員の募集を始める。いずれも初めての取り組みで、業務量に応じ柔軟に人材を確保するのが狙い。

 任期付き職員として募集するのは、文化財技師(考古)2人。今後数年間、民間を含め市内での開発案件が増える見込みで、増大が予想される業務に対応できるよう、人員を拡充する。任用期間は3年間で、最長5年まで延長できる。学芸員資格を持ち、埋蔵文化財発掘調査の実務経験がある人が対象。

 秋採用職員は、今年3月末での普通退職者が予定より多かったため、来春を待たずに採用に踏み切る。一般事務2人、保育士1人、建築技師1人の計4人。社会人や今春大学を卒業した人、資格があるものの育児や介護などのために退職した主婦などまで、幅広く募集する。

 任期付き職員、秋採用職員とも、試験は書類選考と実技などを行う。給与や諸手当、勤務時間などは、通常の正職員と同じとなる。

 市職員課は「時期によって、業務量に変動がある部署もあり、柔軟な人事配置につなげられる」としている。

 職員採用試験申込書の受け付けは任期付き職員が17~22日、秋採用職員が6月5~11日。問い合わせは市職員課TEL(955)9662。

【 2017年05月17日 11時09分 】

太閤堤跡公園、見直し計画にも議会慎重 京都・宇治

2017-05-12 09:57:26 | 政 governing
 宇治市が観光振興の新たな拠点と位置付ける「宇治川太閤堤跡歴史公園」(仮称)の行方が、不透明になっている。過去2回にわたり市議会で関連予算が削除されたのを踏まえ、市は見直し計画を示したが、市議会での慎重意見はなお根強い。山本正市長は6月定例議会に関連の補正予算案を提案する方針だが、いまだ可決の見通しは付かず、正念場を迎えている。

■PFI方式や経済効果に疑問や異論

 京阪宇治駅北西で計画される同公園は面積約2・5ヘクタール。豊臣秀吉が築いた宇治川の太閤堤跡を保全する史跡ゾーン(約1・4ヘクタール)と交流ゾーン(約1・1ヘクタール)からなる。

 史跡ゾーンの整備に異論はなく、市議会で議論になっているのは交流ゾーンだ。市は民間が資金調達や建設、運営を担うPFI方式で施設を建設し、宇治の歴史文化や観光、宇治茶の情報を発信するとともに、老朽化した宇治公民館の機能を移転する構想を掲げてきた。

 しかし、市議会では「観光施設と公民館は目的が違う」「事業縮小を」などの異論が相次ぎ、2015年10月と16年3月には同公園に関連する債務負担行為を予算案から削除する修正案が賛成多数で可決し、ストップがかかった。

 市は「同じものを3度も出せない」(山本正市長)とし、先月20日には公民館機能を外し、施設の床面積を3分の2に減らす見直し計画を市議会に提示。公園全体の初期投資は3億2千万円減り、69億4千万円となる。

 一方、見直し案には金銭面でマイナスもある。公民館機能がなくなることで会議室や駐車場の使用料収入が減り、オープンから15年半のランニングコストは計8千万円の黒字から計3億8千万円の赤字に転じる見通しだ。

 市議会を通すため、ランニングコストの赤字も覚悟で示した見直し計画だが、先月20日の建設水道常任委員会では厳しい意見が相次いだ。PFI方式に疑問を示す最大会派・共産党の坂本優子議員は「何も変わっていない。がっかりした」とばっさり。第3会派の自民党の堀明人議員は「市民の利益や経済効果があいまい」と述べ、「茶道ミュージアム」にする案を示した。

 市議会の定数28のうち、会派として確実に賛成が見込めるのは民進党の7人のみだ。賛成が広がらない背景には政治的対立もある。昨年12月の市長選で、民進の推薦を受けた山本市長は、自民、公明推薦の前自民京都府連事務局長、共産推薦の党洛南地区委員長の2新人を破り再選を果たした。三つどもえの激戦が後を引き、少数与党の難しい議会運営に直面している。

 市によると、交流ゾーンの事業費約40億円のうち半分近くは国土交通省の補助金でまかなう予定だ。しかし、6月定例議会で予算が成立しないと完成が遅れ、条件を満たせない可能性が出てくる。厳しい財政事情を踏まえると、市の負担だけで施設を建設するのは難しい。

 山本市長は「10年先、20年先のまちづくりを考えると、この事業は何としてもやり遂げる必要がある」と意気込むが、打開策はまだ見つかっていない。

【 2017年05月08日 21時02分 】