ハートの窓話題、東部の観光が人気 京都・宇治田原

2017-07-13 17:41:46 | 商 trading
 京都府宇治田原町東部の奥山田、湯屋谷の両地区を訪れる観光客が、今年に入って急増している。奥山田地区にある正寿院は「ハート形の窓」がインターネットで話題を集め、湯屋谷地区にある永谷宗円生家もツアー客の人気を集めている。鉄路のない同町は観光誘客が長年の課題であり、関係者は地域経済などへの波及効果も期待している。

■秋のシーズンへ町営バスも検討

 正寿院は、一昨年9月にハート形の窓「猪目(いのめ)窓」を客殿に設けた。インターネットの写真投稿サイト「インスタグラム」で人気となり、月30人程度だった参拝者が、現在は500~600人に増えた。平日でも全国各地から参拝者が訪れており、中学生のグループが京都市への修学旅行の自由行動で、バスとタクシーを乗り継いで寺まで訪れたこともあったという。

 米国テキサス州・ヒューストン在住で、一時帰国中に寺を訪れた藤田裕巳(ゆい)さん(30)は「米国でインスタグラムを見て行きたいと思っていた。想像以上にきれいでかわいかった」と喜んでいた。

 久野村大寛副住職(29)は「仏像や歴史愛好者中心だった参拝者が、若い女性など幅広い年齢層に広がった」と驚き、「お寺は長年地域に守ってもらった。訪問客増加で(地域経済に)還元できれば」と期待している。

 湯屋谷地区には江戸時代に煎茶製法を考案して全国に広めた永谷宗円の生家がある。町産業観光課によると、昨年の訪問者数は前年比で6倍以上の2020人になった。15年に日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」の構成文化財に選ばれたことで注目が集まり、団体の観光旅行のルートにもなったとみている。

 本年度は「お茶の京都博」でさらに訪問者が増えているといい、生家を管理している「湯屋谷宗円さんの里づくり会」代表の谷村稔さん(71)は「平日の団体客が増えた。振る舞っている地元産煎茶も好評で、リピーターもいる」と喜ぶ。

 両地区は路線バスもなく、地域がコミュニティーバスを運行しているが、地元関係者によると、休日に定員オーバーでバスに乗れない観光客や住民が出たこともあったという。町建設環境課は「秋の観光シーズンに向け、試行的に観光地をめぐる町営バスを運行するなど検討を進めたい」としている。

【 2017年07月09日 11時03分 】


シティープロモーション 、ロゴマーク車でPR 京都・長岡京

2017-06-02 10:33:15 | 商 trading
 京都府長岡京市の魅力発信に協力しようと、市商工会建設業部会は30日、市のシティープロモーションのロゴマークを会員企業の社用車に貼り、PRを始めた。

 市は4月から、定住促進などを目指し、シティープロモーション事業を展開。市内の各種団体や店舗などにイメージポスターやロゴマークのシールなどを配布し、掲示や貼り出しを呼び掛けている。

 同商工会建設業部会は約200社が加盟。市の宣伝になればと、営業車や業務用車両にロゴマークのシールを貼ることにした。

 この日、同部会の役員10人が市役所を訪問。それぞれの営業車のドアや後部にシールを貼りつけ、中小路健吾市長に披露した。

 当面は約50台の車にシールを貼り、今後拡大する予定で、辻正志部会長は「仕事で京都市内や大阪にも出掛けるので、市内外に長岡京市をアピールできるのではないか」と話した。

【 2017年05月31日 11時54分 】

宇治茶の初市、質も量も十分 京都・城陽

2017-04-30 16:46:07 | 商 trading
 新茶シーズンの幕開けを告げる宇治茶の初市が28日、京都府城陽市寺田のJA全農京都茶市場であった。4月中旬以降の好天で、出品量は昨年の2・4倍の約950キロ。最高価格は和束町の手もみ茶で、1キロ16万2千円と前年より約2千円高かった。

 和束町と宇治田原町、南山城村の煎茶105点が出品され、府内の茶商60社100人が参加した。湯で出した茶を口に含んだり、茶葉を手で触ったりしながら、一番茶の品質を確かめた。

 JA全農京都によると、今年は3月の気温が低く、初市は昨年より8日遅くなったが、霜害がなく、良質な茶ができているという。

 府茶協同組合の堀井長太郎理事長は「香りよく、量がたくさんあり、お茶の京都博の期待に応える新茶がそろった」と話していた。

 玉露や碾(てん)茶の取引は5月中旬ごろから始まる。

【 2017年04月29日 11時15分 】

「宇治碾茶」を地域商標に 京都の組合がNPO法人設立

2017-04-16 11:05:35 | 商 trading
 京都府宇治市を中心とした地域の高品質な碾(てん)茶「宇治碾茶」の地域団体商標登録に向け、同市茶生産組合は13日、登録主体となるNPO法人「宇治碾茶生産振興会」の設立総会を同市宇治の料理旅館で開いた。組合員ら約30人が出席し、地域ブランド確立を担う組織を立ち上げた。

 スイーツなどの抹茶ブームを受け、原料となる碾茶の生産量が伸びている。市内を中心とした碾茶の品質の高さをアピールするため、組合が地域名と商品名からなる地域団体商標の獲得方針を決めた。

 ただ、任意団体である組合では登録出願ができないため、新たにNPO法人を立ち上げた。この日の設立総会で法人理事長に就任した辻四一郎組合長は「さまざまなグレードの抹茶がある中、高品質な碾茶に焦点を当て、生産者と消費者の双方の利益になるようにしていきたい」とあいさつした。

 NPO法人は今後、宇治碾茶のロゴマークなどを作成して周知を図り、来年春ごろに特許庁に登録出願する予定。

【 2017年04月14日 10時41分 】

京都・向日の魅力、食でPR 地元5店が土産品開発

2017-04-16 10:51:06 | 商 trading
 長岡宮を中心とする京都府向日市の歴史や特産のタケノコをPRしようと、市商工会の加盟5店舗がこのほど、地元ならではの土産品を開発した。古代食を織り交ぜた弁当やお膳のほか、タケノコを使った菓子など計5品目をそろえ、同会は「食もあり歴史もありの向日市の魅力を伝えたい」と意気込む。

 歴史を核にした観光振興を市が進める中、地域経済の活性化につなげようと、同会が昨年9月に加盟店からアイデアを公募。採用店には経費として上限60万円を助成する仕組みで、5店が開発を進めた。

 同市寺戸町の和食店「魚久」は、長岡宮にちなんで古代食を盛り込んだ「大極殿弁当」(要予約)を考案。「蘇(そ)」は牛乳を煮込んで水分を飛ばした一品。濃厚で丸みのある甘みが広がる。向日神社の祭礼で供えられる「盛相(もっそ)」は、すりつぶした里芋と小豆のあえ物と、大根と大豆の塩ゆでを盛りつける。店主の小森健護さん(65)は「食を通じて古代へタイムスリップしてもらえたら」と話す。

 また、向日町の和食店「矢尾卯」は、研究者の監修を受けて古代食を取り入れた「大極殿御膳」を提供(要予約)。この他、タケノコ食品販売店「香月庵」(寺戸町)はタケノコを混ぜた「筍わらびもち」、和菓子店「篁庵」(寺戸町)は市の歴史PRロゴを焼き付けた「むこうまんじゅう」、洋菓子店「ピラミッド」(鶏冠井町)は「むこうまちーずたると」もそれぞれ販売している。

 市商工会事務局は「市内で開催される観光イベントに出品するなどして、各店の販路開拓を下支えしていきたい」としている。問い合わせは同事務局TEL075(921)2732。

【 2017年04月13日 17時00分 】

平等院近くに「和」のスタバ 京都・宇治、31日開店

2017-04-04 10:24:12 | 商 trading
 京都府宇治市宇治の平等院表参道沿いに31日にオープンする米国のコーヒーチェーン「スターバックス」の新店舗が27日、報道関係者に公開された。市の特別風致地区である周囲の町並みとの調和を重視し、内外装に和の要素を多く取り入れた。

 外壁に木材を使い、切り妻屋根を採用するなど、外観は市の景観に関する条例に配慮し、周囲に溶け込むよう意識した。店内は、茶箱のふたを使ったオブジェを飾るなど、茶どころ宇治をイメージした内装にした。ガラス張りを多用しており、平等院の紅葉や宇治川遊歩道のサクラなど周囲の景観を楽しめる。

 営業時間は午前8時~午後8時。スターバックスコーヒージャパン(東京都)の店舗開発担当者は「観光客が多いエリアだが、まずは地域の方に多く来ていただき、つながりを大切にしたい」と話している。

【 2017年03月28日 10時14分 】

「物集女タケノコ」出荷はじまる 京都・向日

2017-04-04 10:21:05 | 商 trading
 京都府の乙訓の特産タケノコの出荷がこのほど、向日市物集女町で始まった。同地域のタケノコは品質が良いことから「物集女タケノコ」と呼ばれて人気があり、主に京都市場で競りにかけられる。

 出荷を始めたのは農家らでつくる物集女出荷組合。約50人の会員が年間を通して手入れした竹やぶで育てたタケノコを、毎年3月下旬から出荷している。

 各農家はその日に収穫したタケノコを2キロまたは4キロずつ箱詰めし、物集女公民館に運び込んだ。この時期は「宵掘り出荷」と呼ばれ、午後3時にトラックが公民館に到着すると、集まった40箱が手早く積み込まれ、京都市中央卸売市場に向けて出発した。

 同組合によると、去年が豊作だった影響で今年はタケノコの数が少なく、小ぶりだといい「出始めなので、ややえぐみがあるが、香りがいいので、ぜひ味わってほしい」としている。

【 2017年03月25日 17時00分 】

多様な植物に目移り 京都・向日、「みどりのマルシェ」にぎわう

2017-03-29 11:59:27 | 商 trading
 多肉植物やガーデニング雑貨など植物関連の販売ブースが一堂に集う手作り市「京都みどりのマルシェ」が26日、京都府向日市寺戸町の京都トヨタ桂川洛西店であった。まちと緑の距離を近づけようと初めて企画され、多くの来場者でにぎわった。

 「近畿街おこし実行委員会」が同店で催す「桂川マルシェ」の特別版。会場には、サボテンの苗や小型のコケ盆栽、プリザーブドフラワーなど植物にちなんだ商品を販売する15のブースが並んだ。

 来場者たちは「面白い形」「いい香りがする」と話しながら、次々と苗を手に取った。各ブースの店主から「蒸し暑さに気をつけて」などと季節に応じた栽培方法について助言を受け、お気に入りの一株を見つけていた。

 長岡京市奥海印寺から友人と訪れた中塚千恵子さん(66)は「いろいろな植物が並んでいて目移りする。店主との距離が近く、気さくに話が聞けた」と笑顔を見せていた。

【 2017年03月27日 09時50分 】

京都・宇治の茶商庭園が府文化財に 当主継承へ決意新た

2017-03-13 08:30:44 | 商 trading
 京都府宇治市宇治の上林春松家庭園と中村藤吉家庭園が、府教育委員会が9日に指定した新たな文化財に含まれた。茶商の庭園が府の文化財指定を受けるのは初めてで、両家の当主は喜ぶとともに、継承への決意を新たにした。

 上林春松家庭園は、少なくとも1799年以前に建立された茶室「松好庵」と前庭などで構成され、門から茶室のにじり口に飛び石が配されている。庭園が現在の形に完成したのは、住居を直した大正時代とされる。

 14代目上林春松さん(84)は「認めていただいて大変光栄。責任も重くなるのでしっかり手入れをしていきたい」と話す。

 中村藤吉家庭園は蹲踞(つくばい)(ちょうず鉢)や灯籠を備えた座敷庭と茶室などが指定された。現在は石臼で碾茶(てんちゃ)を引いて抹茶にする体験に参加すると座敷から見ることができ、指定を機に新たな公開の機会を検討するという。

 6代目中村藤吉さん(65)は「文化財指定に気恥ずかしい面もあるが、より思いを込めて守り伝えていきたい」と話している。

 両庭園について府教委文化財保護課は「ともに茶室や庭がよく残り、当時の茶商の文化的成熟を示している」と説明。文化財的な価値が高く、4月に府南部で開幕する「お茶の京都博」のタイミングも踏まえて指定したとしている。

【 2017年03月10日 12時17分 】

「お茶の京都」とタイアップ 利休の茶室「待庵」生かす

2017-03-01 11:13:55 | 商 trading
 京都府の大山崎町は2017年度、府南部の「お茶の京都」とタイアップした事業に取り組む。茶人・千利休の手がけた国宝茶室「待庵」(同町大山崎)がある歴史を生かし、町の観光振興につなげる。

 お茶の京都は北部の「海の京都」、北中部の「森の京都」に並ぶ府の地域振興戦略の一つ。茶どころの山城地域12市町村が対象で府は地元と連携し、観光振興組織(DMO)による観光地域づくりや「お茶の京都博」開催などに新年度から乗り出す。

 そこで町が目を付けたのが利休ゆかりの地域資源。乙訓地域は、お茶の京都の表玄関でもあり、近接する山城地域のイベントに相乗りして、お茶を縁に町の魅力を発信することにした。新年度当初予算案に関連経費100万円を盛り込んだ。

 町によると、具体的な事業内容の検討はこれからだが、宇治茶や茶畑景観の魅力を発信する「お茶の京都博」(4月開幕)と連携したPRのほか、町歴史資料館で千利休を取り上げる企画展などを開催する方向で検討に入る。

 町は近年、岐阜県関ケ原町や堺市との観光連携に取り組む。町政策総務課は「町内には歴史文化など多種多様な観光資源がある。今後もテーマを見つけて積極的に連携を仕掛け、地域をアピールしたい」としている。

【 2017年02月25日 10時45分 】

ママも起業へマルシェで交流 京都・長岡京で手作り品販売

2017-03-01 10:22:26 | 商 trading
 起業や社会参画を目指す母親が連携を広げるイベント「ママ・キッズまるごとマルシェin長岡京」が18日、京都府長岡京市神足2丁目のバンビオ1番館であった。会場を訪れた親子連れが、手作りの品々を並べた多彩な物販ブースを巡り、出展者たちと交流を深めた。

 育児支援事業に取り組むNPO法人「いんふぁんとroomさくらんぼ」(同市)が、企業や地域と母親を橋渡しし、一歩を踏み出すきっかけをつくろうと初めて企画。約40のブースが出展し、アート写真の撮影や楽器演奏、教育資金形成をアドバイスするコーナーなどもあった。

 メイン会場のバンビオ広場公園では、ネット販売を手がけたり、各地のイベントに参加したりしている、主に乙訓地域の主婦らが、手作りのアクセサリーや子供服、雑貨類を販売。訪れた親子がお気に入りの品を探していた。

 生後2カ月の長女と来場した育児休暇中の西村有加さん(25)=向日市寺戸町=は「出品しているお母さんたちが輝いて見えた。出展する側に立てたら楽しいかも」と話していた。


【 2017年02月19日 11時26分 】

月末の金曜は大盛りサービス 京都の商店街がイベント

2017-02-19 11:52:17 | 商 trading
 月末の金曜に仕事を早く終えて、消費を喚起するイベント「プレミアムフライデー」が24日始まるのに合わせ、京都向日市激辛商店街は家族一緒に満腹になってもらおうと、市内の加盟店で大盛りをサービスする「プレ盛」キャンペーンを始める。

 プレミアムフライデーは個人消費拡大を目指して経済産業省と業界団体が考案。企業へ午後3時の退社を促す。激辛商店街は「ゆっくりと家族だんらんの時間を過ごしてほしい」とキャンペーンを企画。現在、市内の飲食店など約10加盟店が参加に賛同している。

 月末の金曜に先着順数量限定で、お好み焼きのトッピング増量▽ギョーザの個数を1・5倍▽丼を普通盛り価格で「メガ盛り」に変更▽焼き飯の特盛り価格を値下げ-などのサービスを用意する。

 16日から、各店でキャンペーンポスターの張り出しを始めた。サービス内容の詳細は同商店街ホームページで掲載している。

【 2017年02月17日 10時59分 】

「山崎十日市」屋内で初、工事で変更 京都・大山崎

2017-02-19 11:44:18 | 商 trading
 京都府大山崎町内で毎月1回開催されている定例のマーケット「山崎十日市」が10日、初めて大山崎ふるさとセンター(同町大山崎)で開かれた。会場だったJR山崎駅前近くで小規模保育所の建設工事が行われているためで、スペースや安全を考慮し来月まで屋内の同センターで催す。

 山崎十日市は毎月10日にあり、手作りのアクセサリー店やアンティーク店、焼き菓子店などが並んで大勢の人でにぎわう。

 今回は初めて会場を変更。京都府や大阪府、奈良県などから計25団体が出店し、多彩な商品が販売された。毎月、山崎十日市に足を運ぶという江良崇さん(35)=大阪府島本町山崎=は「おしゃれな店がたくさんある。子どもを連れてきても楽しめます」と笑顔を見せた。

 山崎十日市の実行委員会は「屋内なので天候の影響もなく、暖かい。来月もゆっくり見ていってほしい」としている。

 また同実行委は4月29日、山崎十日市会場のJR山崎駅前で、乙訓地域の特産品やスイーツなどを集めた「天王山ファーム&フードマーケット」を開催する。

【 2017年02月11日 12時22分 】

激辛商店街、真っ赤な心でつなぐカープ感謝セール 京都・向日

2016-11-07 09:58:02 | 商 trading
プロ野球広島東洋カープの激闘をたたえ、京都向日市激辛商店街の加盟店が、日本シリーズ閉幕に合わせて感謝セールを始めた。赤がチームカラーで唐辛子のモチーフをユニホームデザインに採用した球団に、「激辛」の赤で縁を感じた同商店街が初めて企画した。

 球団は今年、「真赤激(まっかげき)」をキャッチフレーズに掲げ、一部の試合を「Carp」のロゴの脇に唐辛子の模様をあしらったユニホームでプレーした。

 25年ぶりのリーグ優勝という躍進にあやかろうと、セールには飲食店や酒販店、クリーニング店など向日市内の加盟12店舗が賛同。「赤ワイン10%OFF」「真っ赤なセーター洗濯料金2割引き」など赤に絡めた割引メニューを用意した。

 6年前に向日市寺戸町でお好み焼き店を開業して同商店街に加盟し、「激辛ソース」を売りにする岡田文隆さん(69)は広島県大竹市出身。31日昼、買い物客らに振る舞い酒を配り、11月2日まで一部メニューを割引する。「『赤』でつながれた。選手たちがくれた感動への喜びをみんなで共有し、来年の日本一への期待を膨らませたい」と話す。

 セールの詳細は同商店街のホームページで紹介している。

【 2016年11月01日 10時32分 】


「京たけのこ」ブランド強化へ、京都府が注力 生産農家は困惑も

2016-10-09 10:59:18 | 商 trading

 乙訓の名産、タケノコのブランド強化に、京都府が乗り出している。他の地域にはない独特の管理方法で育てられ、日本一と言われる西山地域のタケノコだが、それだけに生産や出荷、販売拡大が難しい。タケノコ農家が高齢化する中、成果を上げるには課題が多そうだ。

■府、首都圏へ出荷増にらむ

 7月下旬に開かれた「京たけのこ」ブランド推進プロジェクト京都乙訓会議。2市1町の農業担当の職員や農協の担当者を前に、府担当者がタケノコの消費拡大や加工品の商品開発、竹林の景観保全などの取り組みを提案した。

 会議を呼び掛けた府流通・ブランド戦略課は「ブランド力が高まれば、生産や出荷が増え、竹林の価値も高まり、景観保護にもつながる」と意気込む。

 特に力点を置くのが、首都圏への出荷推進だ。府の調査によると、東京の大田、築地両市場における昨年の京都府内産タケノコの単価は1キロ862円で、2009年に比べ約1・7倍に伸びた。ただ入荷量自体は、09年以降12~16トンとほぼ横ばいで推移。府は「京都らしい食材で人気があるにもかかわらず、需要にこたえられていない」(同課)とみて、市場規模が大きい首都圏への出荷を増やし、販売増につなげる狙いだ。

■過去5年の出荷実績、ほぼゼロ

 だが、首都圏への出荷には課題が多い。

 JA京都中央(長岡京市開田4丁目)は今春、十数年ぶりに東京に西山産のタケノコ300キロを出荷した。だが、見込んでいた価格の6割程度の値しか付かないものもあった。「シロコ」と呼ばれる最高級品の良し悪しが見分けられず、値打ちが認識されていないことが明らかになった。

 営農販売課の新谷雅敏課長は「いいタケノコを出荷する農家ほど名が通っており、独自に販路を持つなど買い手がすでに決まっている。京都の市場も出荷を期待している中、メリットがなければ農家もわざわざ東京に出荷する意欲がわかないのでは」と懸念する。

 特に府は、過去5年ほぼ出荷実績がゼロの京のブランド産品「京たけのこ」としての出荷を目指すが、農家は困惑を示す。

 向日市物集女町のタケノコ農家でつくる物集女出荷組合では以前、ブランド品として出荷したことがあったが、結局辞退する農家が相次いだという。

 柴田光貢組合長(74)=同町=は「他の作物と違って、タケノコは色や形、大きさ、重さがまちまちで、掘り出してみないと分からない。規格に合わせるのが難しく、荷が集まらなくなった」と打ち明ける。「農家の高齢化や兼業化で、以前ほどたくさん掘れず、しかも高品質のタケノコが作れなくなっている。むしろ品質が劣る品の販路拡大ができれば」と話す。

 府は、生産農家の生産実態調査や、首都圏での市場調査を行い、来年春に採れるタケノコから首都圏へブランド出荷を目指すが、農家から賛同を得られるかは未知数だ。「地元の人たちに呼び掛け、機運を盛り上げていきたい」(流通・ブランド戦略課)としている。

【 2016年10月05日 10時47分 】