道々の枝折

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ヒステリーについて

2022年05月01日 | 人文考察

愧しながら、この頃ようやくヒステリーというものが理解できるようになった。専門的なことは知らないが、ヒステリーというものには、大雑把に分けて二つの態様があるようだ・・・

ひとつは広く世に知られている自己顕示本能・自己顕示性格によって発動されるヒステリー。このヒステリーは、思考回路をバイパスしていきなり自己が剥き出しになる状態である。一言でいうとこのタイプの人には、遠慮というものが感じられない。刺激が加わると、思考の過程抜きに、自我が反射的発現してしまうようだ。当人にはコントロール出来ない。
学問的にはこちらの研究が早く、従来はヒステリーというとこちらの説明が主流だった。

もうひとつは、恐怖とか喪失とか、突発的な極限事態に遭遇し、思考不能に陥った結果発現するヒステリーである。これは女性や若年者に多く見られるが、成人の男性でも、状況が極限であれば当然発現する可能性はある。

前者も後者も、思考回路が作動しないところが共通している。
後者は思考ができなくなった時の自己防御反応として顕れ、硬直したり失神したり、何かに憑かれたような容態を呈することがあるという。
憑依現象を説明するには、こちらが解りやすい。
前者とは素因が異なるようだが、思考と連結していないところは同じである。

どちらにしてもヒステリーとは、思考が機能しなくなって、自己がコントロール不能になった状態であることは間違いなさそうだ。

ヒステリーは生まれつきの要素もあろうが、後天的(育ち方とか生活環境とかが影響する)な要因でその性向が高められることがわかっている。

ヒステリーは、どうも論理性とか合理性及び忍耐力とか克己心との対極にある情動であるようだ。つまり知的機能の一時的喪失状態である。知的機能を一時的に封鎖させる心の働きは、人間に必要な防衛機能防御反応である。私たちには、身体的防衛機能と共に精神的防衛機能というものが備わっているらしい。

古代ギリシャ人は、ヒステリーを、女性の生理中に現れる精神状態と結びつけ、その発現の根拠を女性の器官にあるとまことしやかに説明し理解しようとした。
ギリシャ人の考えは明らかに間違いである。そのため、長くヒステリーは女性に特有の情動と見なされ、不当にも女性の代名詞の如く扱われて来た。
生理中の女性の心身の状態が平常と異なるので、男性は其処にヒステリーの素因を求めたのであろう。現代では、全く荒唐無稽な謂れなき謬見と考えられている。明らかに一種のハラスメントと言えるだろう。

ヒステリーは男性にも発現する。個人だけでなく、集団においてもまたヒステリーは発生する。暴動などが発生拡大する構造を集団ヒステリーと結びつける見方もある。個人のヒステリーは、本来集団行動の妨げになるものだが、集団の構成員全員がヒステリー状態になると、強力な集団行動を生む。これにはアジテイターの存在と扇動が有ることを無視できない。
アジテイター本人は.紛れもなくヒステリーを発現している。

思考停止は、男女両性に共有される精神の防御反応である。人は情緒系激しい揺さぶりを受けると、ごく当たり前に思考系がストップする。思考が失われて生の感情がむき出しになった状態が、ヒステリーと呼ばれるものと考えてよいだろう。

人は、どんな時でも思考を停止させないで、感情をコントロール出来るようには生まれついていない。大きく激しい情動には耐えられない脆弱性をもって生まれついている。
ヒステリーは神が人に用意した精神の安全弁と考えて良いのではないか?シャーマンが常に神と人との間に介在して来たのも、ヒステリーが人に普遍のものだったからだろう,・・・



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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-05-02 05:18:55
お早うございます!
プーチン?  K.M
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Unknown (tekedon638)
2022-05-02 08:19:02
ご明察です。

いつも有難うございます。
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