昨年の最終エントリーは「シャクシャ」のタイトルで「アイゴ」という魚のことを書いた。以来更新していなかったが、今月11日の朝日新聞の一面欄「地球異変」に、温暖化によるアイゴの海藻食害のことが載っていた。アイゴの個体数が増大し、藻場が喪われつつある現状を警告していた。
九州北部の玄界灘に浮かぶ佐賀県松島の藻場の海藻に、アイゴの稚魚が群がり、葉や芽をついばんでいる写真は、一見心和ませる魚の生態描写に見える。しかし、現地の漁業に携わ人々は、深刻な事態を懸念する。
松島周辺で、初めてアイゴの食害が確認されたのは、2008年の冬のこと。太平洋の暖かい海に生息し、海藻を主な餌にししているこの魚は、冬場は冬眠状態で採餌しない。それが沿岸の海水温の上昇により、冬でも活動して成長期の海藻を食べ尽くしてしまうようになったという。
藻場の喪失(磯焼け)は、魚の食害だけが原因でなく、水質の変化はじめその他の要因も複合しているのだろうが、幼・稚魚にとっての「ゆりかご」藻場の喪失が、現地での漁の対象魚全体に与える影響は測り知れない。
佐賀県松島の被害はよそ事ではない。当地の浜名湖では、かつて幼魚ばかりだったアイゴが、30センチにも成長して捕獲されるようになっている。冬場でも水温が高く、湖内の藻を活発に食べているからではないか?
もしそうだとしたら、浜名湖の幼稚魚の棲処であり、大型の良質アサリの生育床でもあるアマモ藻場も、佐賀県松島と同様に消滅してしまう惧れがあるだろう。温暖化の生態系へ及ぼす影響は、測り知れない規模で地球全体に広がるのだろう。
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