毎年春になると、自宅から車で2時間ほど離れた奥三河の御園峠へ山野草の花を観に行く。先日はイカリソウとニリンソウの花が盛りだった。
イカリソウの花には、白やピンクのほか様々な色があり、此処のものはクリーム色をしていた。花が錨の形をしていることでこの名があるという。細く長い茎に着いた数個の花が風に揺れる様は、バレリーナの踊る優美な姿に似て、錨など思いもよらない。
この峠から東西に延びる稜線を東に少し入ると、長篠の合戦で敗れた武田方の武将(望月氏の一族)を祀る祠がある。この地まで辿り着いたものの、落ち武者狩りに遭い、遠い故郷(信州佐久郡望月郷)からの風が吹き来る峠に葬るよう遺言して自刃したとか・・・人々は落武者をこの峠に祀り、この場を望月峠の名で呼ぶようになった。
今もこの峠には、春晩くまで信州からの北風が吹き衝たり、蕭々とスズタケの葉を鳴らしている。
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