道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

オジサンと呼んだ山女

2019年04月10日 | 人文考察
今思い出しても不愉快になることがある。
50代もはじめのまだ若々しかった?頃、春先の竜頭山(1352m)に友人と登り、山頂近くのテーブル・ベンチで心地良く昼食を摂っていた。そこへ、同年輩と思しき男女混成のグループが通りかかった。

先頭のヤマンバ(山姥)風のリーダーが、我々を見つけると開口一番「オジサン、何処から来たよ?」と、親しげに声をかけてきた。
オジサン???
私は見ず知らずの人間に、狎れ狎れしくされるのが大嫌いだ。別けても世間擦れした厚顔で慎みのない女性は。
初対面で狎れ狎れしい大人は、フランクでも人懐こいのでもない。単に傍若無人で慎みがないのである。

私は未だかつて女性にオバサンとかオバアサンと呼びかけたことは無い。
日本には、80才の老翁・老嫗にもオニイサン・オネエサンと呼びかける淳風(功利的ではあるが)が、かつての花柳界に遺っていた。

他人に「オトウサン」「オカアサン」と呼びかけるのは、フィリピンパブから始まったものだろうが、今日ではテレビのインタビュアーまでが、年配者に対する呼びかけで親しみを籠めこれを遣う。実に見え透いて嫌らしい呼び方だ。私なら肌に粟を生ずる。しかしそう呼ばれて嬉しそうに応じている老人たちが圧倒的に多いから、見ず知らずの老人への呼びかけとして、もう認知されているのだろう。

登山では、時々妙に人擦れした中高年女性の集団に出会うことがある。すし詰めの山小屋で雑魚寝をしたり、登頂の嬉しさで見ず知らずの人と交歓することに馴れた結果だろうか。またはアウトドアの開放的な雰囲気が、常の慎ましさを失わせるのかもしれない。
 
かつて妻と愛知県の明神山に登ったとき、妙に山慣れした、同年輩の女ばかりのパーティーに出逢ったことがある。これが無闇と話し掛けてくるのには閉口した。
男女カップルの登山者に敵愾心を抱いているかのようだった。どこから来た?、最近はどこの山に登った?、〇〇山は登ったか?とか。殆ど取り調べである。

オジサンと呼んだ無礼千万な山女が率いる男女混成パーティーは、不機嫌になった私たちの食事の横を、粛々と通り過ぎて行った。
彼女はいつもの調子で、親しみを込めて私に声をかけたに違いない。初めにオジサンと声かけさえしなければ、この気難しいオニイサンは、気好く接したものを・・・


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