県東の三島市というところ、これまで途中通過するばかりで、じっくり市内を観光したことが無かった。あるとき、思いついて三島駅に降りてみた。
この街の大部分は、富士火山の基底溶岩の上に乗っているそうだ。雨や雪は溶岩層に浸透伏流し、豊かな地下水となって溶岩層の間から湧き出る。三島の街は、至るところに湧井があり、清冽な水が流れ、何処にいてもせせらぎの音が聞こえている。
駅の近くにある「楽寿園」は、約120年前の明治時代に、「小松宮彰仁親王」の別邸として造営されたものという。この宮様、戊辰戦争での奥羽征討総督を皮切りに、皇族の中では抜きん出て数多く軍務をこなした。その輝かしい軍歴は、軍務を優先する当時のヨーロッパの王族にもひけをとらなかったと言われている。
今は市立公園として運営されているこの庭園、空を覆うばかりに育った天然実生の樹木と、造園時に植栽された樹木とが渾然と融合し、人工の庭園でありながら自然林の中に居るような心地がする。この園には、160種もの樹木があるというから、ちょっとした植物園よりも樹種は多いかもしれない。しかもそれらの多くが巨樹であることも、樹木好きには堪えられない。ケヤキの大樹が目に付くのは、富士の火山灰が堆積した土壌と平均気温が、この樹に適しているからだろう。
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