しばらく前、NHKテレビの番組「おはようスタジオパーク」に出演した俳優の岡田義徳さんが、ファッション製品の購入習慣についてMCに訊かれ、こう答えていた。
「迷ったら買わない!」
購入しようかどうかを迷ったときには、それを買わないことにしているそうだ。「迷ってモノを買うと、それを着るときにも迷うことになりそう」と語った。
ファッションのような、人間の感性に訴えるものを選ぶのは難しい。自分に似合っているかどうか、よく映るかどうか、身に着けてみて迷うのは、自分の判断に確信がもてないのだ。ならば買わないというのは潔い。
個人を取り巻く世の中は流動的で、不確実な要素の坩堝だ。そこでは、岐路にたたされたときの判断など大して役にたたない。それでも人は思考し選択し続ける。候補を挙げてその中から選択すれば正しい結果が得られるという保証はなくても、そのつど選択しないではいられない。
二者択一を迫られて判断がつきかねるときは、その双方ともに除外して、新たな候補をひとつだけ案出するのもひとつの対処法だろう。そうすれば、少なくとも、一方を選んだ後で他方にすればよかったという後悔とは無縁で居られるはずだ。
択一するのは、よりよい結果を期すからであろうが、候補選びが端から間違っていたら、所期の成果は得られない。これと反対に、選択を初めから放棄して運を天に任せている人は迷わない。これが最も潔い態度なのだが、われわれ凡人にはなかなか真似出来ない。潔さというものは「悔やまない人生」に欠かせない、天賦の素資なのだろう。
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