ヘイトスピーチ(憎悪扇動)は、それを浴びせられる者だけでなく、それを発する者、またそれを許す社会をも壊していきます。
人は、本来、信頼し合って生きていきたいと願っているのだと、私たちは信じています。
その信頼を壊すのは、デマであり、無知であり、そして、それによって利益を得る人たちによる扇動です。
長い歴史の中では、憎悪を再生産しながら、多くの人の命が、ごく普通の人の手によって奪われてきました。私たちは、誰もが、「奪う側」にも「奪われる側」にもなりうるのです。
のりこえねっとは、そんな歴史に終止符を打ち、共に生きるためにその人生を捧げてきた先人たちの願いに応えるべく、声を上げました。
ちいさな、ちいさな、団体ですが、人々の良心が続く限り、発信をしてきたいと思っています。
のりこえねっと共同代表 辛淑玉
設立宣言
いま、在日韓国・朝鮮人を標的とするヘイトスピーチが、各地で凄まじい勢いで拡大している。 多文化のもとで共生する人びとの平穏な生活を切り裂き、民族差別や人種偏見に満ちた、侮辱的、脅迫的言動が繰り返されている。
ヘイトスピーチは、街頭だけでなく、ネットやさまざまなメディアでも繰り広げられ、差別、偏見、攻撃の言説を執拗に展開している。 なかでも日本軍性奴隷被害者(いわゆる「従軍慰安婦」)とされた女性たちに向けられる侮辱と憎悪の表現は、人権の価値を根こそぎ破壊するレベルにさえ達している。
ナチス時代のユダヤ人などへの迫害、かつての南アフリカでのアパルトヘイトやアメリカ南部におけるKKK団のリンチを想起させるような激しい侮辱と憎悪表現に対して、日本社会からの反応は、いまだあまりに鈍い。
在日韓国・朝鮮人は、日本による侵略と植民地支配によって生み出された。その存在の歴史性に対する決定的な無知と、「言論の自由」の尊重という口実のもとで、この社会の多数派は、この卑劣で暴力的なヘイトスピーチを黙認し続けている。
ヘイトスピーチは、当面の標的とする在日韓国・朝鮮人だけではなく、女性を敵視し、ウチナーンチュ、被差別の出身者、婚外子、社会が障害となっている人たち(いわゆる「障がい者」)、性的少数者などの、社会的少数者にも攻撃を加えてきた。 彼らが攻撃する人々は、日本の戦後体制の中で、人格権や生存権を政策的に奪われたり無視されたりしてきた人々と、みごとに重なっている。この意味において、日本におけるヘイトスピーチは、戦後体制が政策的に作り出してきた差別そのものなのだ。
本質に立ち返って考えたい。
ヘイトスピーチが傷つけるものとは何なのか、ということを。
それは、在日韓国・朝鮮人だけではない。社会的少数派だけでもない。
ヘイトスピーチは、良心を持つあらゆる人々を傷つけるのだ。国籍も、民族も、性別も、出自も関係なく、すべての人間には普遍的な尊厳と人権があると考える人々の信念、そして、なによりも平和に生きようとする人々の精神に対して、言葉と物理的な暴力で憎悪を投げつけ、侮辱し、傷を負わせる。国際社会がこれまで長い苦しみの歴史の中で築いてきた、世界人権宣言にも謳われる普遍的な人権概念を攻撃し、その価値をあざ笑い、踏みにじる。
これが、ヘイトスピーチの本質なのだ。
だから、この暴力に対峙し、決然と対決することは、単なるマイノリティ集団の利益のための行動ではない。また、一国の国内問題を解決するためのものでもない。民族や国境の壁を超えて、人権の普遍的価値を擁護し、防衛する行動でもあるのだ。
それは、この日本社会にあっては、戦後体制によって市民的権利を剥奪されてきた人々の「市民として生きる権利」を希求する行動以外の何ものでもない。
ここであらためて確認し、明記しておく。
人間の涙の歴史を無に帰そうとする挑戦に、私たちは、決して屈しない。
日本国憲法
第十一条
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
日本国民
国籍法(昭和25年法律第147号)では「日本国民たる要件」を定めており、日本国籍を所有する者が、すなわち日本国民であるとみなされる。原則として父母両系血統主義を採用しているが、一部帰化による取得も認められている。
日本国民ではない者に基本的人権は保障されない
帰化条件
1.引き続き五年以上日本に住所を有すること。継続した在留資格で5年以上日本に住んでいることが条件です。日本人と結婚した外国人配偶者の場合には少し緩和されて、3年以上日本に住んでいるか、結婚後3年以上が経過し1年以上日本に住んでいることが条件です。
2.二十歳以上で本国法によつて能力を有すること。本国法で成人年齢に達していること。その年齢未満でも、法的に未婚の日本人男性と外国人女性との間に生まれた子供、あるいは日本人と結婚した外国人配偶者で3年以上日本に住んでいたり、家族全員での帰化の場合にはその家族の子供について、などは申請できます。
3.素行が善良であること。禁固刑を受けていたり、無免許での事業経営など許可は難しいでしょう。交通違反程度でも審査で許可されないこともあります。税の滞納や外国人登録法の違反なども審査上で不利となります。
4.自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。生計能力があるかが問われます。本人になくても日本人配偶者や親族にあれば大丈夫です。
5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。日本では重国籍は認められません。帰化する時に無国籍であるかそれまでの国籍の離脱をする必要があり、そのため一時的に無国籍となり、もし不許可となった場合には大変です。国によって他国籍取得後にしか自国籍の離脱を認めない、もしくは国籍離脱そのものを認めないところもあり、そうした場合には特別に帰化が認められることもあります。
6.反政府、反社会活動やその団体に属したことがないこと政府を暴力で破壊しようとする団体に所属していないか、そうした活動をしていないかの調査があります。その他、帰化は多文化共生ではなく日本文化の受容れが必要ですので、日常会話程度の日本語が話せて書くことも多少はできることや日本の生活習慣への順応なども審査に考慮されるようです。 ビザなどの手続き上の不便さなどではなく、就職や結婚、子供の教育など帰化して日本国籍を得たいと決心した正当な動機も大事な条件です。