大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

4月、アメリカでエネルギー関連企業のデフォルトが急増

2016年05月15日 | 日記

 アメリカでエネルギー関連企業のデフォルト(債務不履行)が引き続き増加している。

 2016年5月11日のFT(フィナンシャル・タイムズ)によれば、この4月、エネルギー関連企業11社が破産法第11章(日本の民事再生法に相当)を申請、原油価格の下落がはじまった2014年後半以降で最多となった。負債総額は149億ドル(1.6兆円:1ドル=110円で計算)。3月の19億ドル(2千億円)から急増している。

 この数か月原油価格は上昇しているが、5月に入ってもデフォルトは続いており、5月9日にはChaparral Energy(昨年末の負債は19億ドル=2千億円)が破産法第11章を申請。さらに5月11日にはLinn Energy LLCが77億ドル(8.5千億円)の負債を抱え、また5月12日にはPenn Virginia Corpが12億ドル(1.3千億円)の負債を抱え、それぞれ破産法第11章を申請している。

 現在、アメリカの銀行は、企業への貸出枠の見直しをおこなっている(年2回)。原油価格はこの数か月上昇が続いているが、ピーク時に比べるとまだまだ低水準にある。このため、埋蔵原油の担保価値の見直し(引き下げ)などにより、貸出枠が縮小される企業が出ている。FTによれば、現在の借り入れが新たに設定された貸出枠を超えた場合、企業は5か月以内に借り入れを貸出枠まで縮小しなければならない。

 エネルギー関連企業の負債は、2007年のサブプライムに比べると規模が小さく、エネルギー関連企業のデフォルトがリーマンショックのような経済危機をもたらす可能性は小さいとみる海外の論評が多いが、アメリカ経済の動向を左右する問題のひとつとして引き続き注視していきたい。

★ 上記の内容については吟味しているつもりですが、引用元の誤り、翻訳の誤りを含め、記述内容、数値に誤りがないことを保証するものではありません。