大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

大統領選挙の焦点-5つの州の結果が大統領を決める-

2016年11月05日 | 日記

 アメリカの大統領選挙では、各州に割り当てられている選挙人(538人)の過半数を得たものが大統領になる。つまり270人の選挙人を得た候補が大統領になる

 RealClear Politicsによれば、11月4日夜半現在(米時間)、クリントン氏でほぼ確定の選挙人数は216人、トランプ氏は164人。一日毎に、両者の差が縮まっている

 現在、帰すうが決していないのは13州。ただそのうちネバダ(選挙人6人)、アリゾナ(11人)、ジョージア(16人)はもともと共和党の地盤で、トランプ氏に傾く可能性が高い。

 するとトランプ氏に必要なのはあと73人の選挙人ということになる。

 トランプ氏がフロリダ(29人)、ノースカロライナ(15人)、オハイオ(18人)、アイオワ(6人)、コロラド(9人)の5州を押さえると、ペンシルベニア(20人)を落としても選挙人は77人でトランプ氏の当選となる。これらの州の世論調査では、ペンシルベニアを除きトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回るとするものが多い。

 トランプ氏が勢いを回復する前に期日前投票を済ませた人がかなりおり、その部分はクリントン氏が有利とされているが現在の勢いはトランプ氏にある。

 選挙ではクリントン氏やクリントン財団にかかわるさまざまな疑惑が浮上。クリントン氏が大統領になっても、激しい選挙戦の影響が強く残りそうだ。

 共和党からはすでに、クリントン氏が大統領になったら情報漏えいクリントン財団をつうじた便宜供与疑惑についてクリントン氏の刑事訴追を求めるとする主張、欠員となっている連邦最高裁裁判官の任命はクリントン氏の在任中は認めないとする主張がでている(トランプ氏が現在かかえている民事訴訟は10をはるかに超えるが)。

 議会選挙の結果にもよるが、クリントン氏が大統領になっても強いリーダーシップを発揮し政策を進めていくのは難しい状況だ。刑事訴追が大きな政治焦点になり、新しい政策がまったく進まない状況も想定される。そうなれば人々の政治不信はますます大きくなっていくばかりだろう。

 最終盤でのトランプ氏の躍進は、クリントン氏が大統領に当選してもその先は平たんではないことを示している。

2016/11/11追記

 トランプ氏は、上記のうちネバダ州(6人)とコロラド州(9人)を落としたが、その他の州をすべて制し、さらにペンシルベニア州(20人)、ミシガン州(16人)、ウィスコンシン州(10人)まで獲得し、大差で大統領に当選した。

 共和党は大統領選挙ではながくペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンで勝ったことがなかったが、それが今回くつがえった。