大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

アメリカにおける携帯電話の値下げ競争とインフレ率の低下

2017年07月16日 | 日記

 2017年2月をピークにアメリカのインフレ率(CPIおよびPCE)が低下を続けている。

 他にいくつかの雇用指数(たとえば新規失業保険申請件数)もおなじように今年2月にピークをつけている。

 インフレ率低下に大きく寄与しているのが携帯電話料金と中古車価格の低下である。

 昨日発表された6月のCPI-U(消費者物価指数)によると、6月のインフレ率(年)は1.63%で5月の1.87%から0.24%低下した。

 携帯電話料金の低下によるインフレ率の下押し分は0.23%で、これがなければインフレ率は横ばいとなったはずである。

 

                            出所:米労働統計局

 上はアメリカの携帯料金の変化を図にしたもの(2009年12月の価格を100とした変化)。

 いまアメリカではAT&T、ベライゾン、Tモバイル、スプリント4社が定額の使い放題(データ無制限)などで激しい価格競争を繰り広げており、その影響がでたようだ。

 ここから、イエレンFRB議長は「最近のインフレ率低下は一時的なもの」であり、経済の拡大基調は変化していないとの認識を示している。

 ただ携帯料金は今年2月から急低下しているため、来年の2-3月ごろまではインフレ率の大きな下押し役となりそう(1年前の価格との関係で)。

 ガソリン価格は1年前の価格との関係で、これから数か月間はインフレ率の押し上げ役となりそうだが、その効果を携帯料金と中古車が弱めるという状況がしばらくは続きそう。