2018年4月16日のオートモーティブ・ニュースは、ポルシェが2019年末までにアメリカに急速充電施設を最低500カ所新設する予定だと伝えた。
ポルシェは2019年に電気自動車ポルシェ・ミッションEを発売する予定。また2020年には、同車とおなじプラットフォームを用いたミッションEクロスツーリスモも発売されることになっている。そして電気自動車の発売にあわせポルシェは、800ボルトの急速充電施設を最低500カ所、アメリカの高速道路沿いおよびディーラーに設置する予定。ポルシェ・ミッションEは300マイル(480キロ)の航続距離をほこるが、この急速充電をつかうと20分以内に80%の充電(400キロ)が可能となる。
日本では電気自動車は充電に時間がかかるのでそれほど普及しないという意見がまだ多いが、欧米では短時間で電気自動車を充電する急速充電の普及が急ピッチで進んでいる。急速充電は自動運転とおなじように価格の高い高級車から普及していくと思われるが、高級車の少ない日本メーカーには不利となる厳しい状況だ。
新しい技術や規格は、市場の大きなアメリカか中国でいちはやく普及したものが勝者となる。とくに電子部品は量産効果が大きく、その法則は電気自動車によりよくあてはまる。ひじょうに簡単なルールだ。ポルシェ(VWのグループ企業)がまず世界にさきがけてアメリカで急速充電網を構築しようとしているのはそのためである。しかし日本の行政はそのことを理解していないのか無視しているのかしらないが、新しい技術や規格はとくにかく世界にさきがけて日本で普及させればそれが世界標準になるといまだに信じているようだ。技術で先駆けながら普及に失敗した携帯の失敗から何も学んでいないように思える。水素自動車も本当に普及させようと思うなら、なによりもアメリカでの市場開拓を優先させるべきだが、行政にそのような視点が強くないことは残念でならない(民間企業ではトヨタがカリフォルニア州に水素インフラを重点投資している)。
参考
電気自動車によって自動車産業の分業構造が激変(2017/8/22)
電気自動車の急速充電、欧米で急速に進む: 日本は決定的に出遅れ(2017/7/19)
これから電気自動車の時代が来る(2016/8/31)