昨年末からアメリカ発の世界同時株安が続いている。
その原因のひとつとされるのが、今年(2019年)、減税の効果がなくなりアメリカ企業の純利益の伸び率が低下するとみられていることである。
ウォールストリートジャーナル(2019/1/1)によれば、S&P500(アメリカのトップ500社)の純利益の対前年伸び率は2018年の22%から2019年には7.8%に低下するとみこまれている。
これについて、たしかに利益の伸びは小さくなるが増益(前の年より純利益の絶対額は増加)には違いないので経済へ大きなマイナスはないとする見方がある。
しかし、WSJはそれを否定する興味深いデータを紹介している。
WSJは、2四半期連続で純利益が対前年比でマイナスになることを「収益後退(earnings reccession)」と定義したうえで、過去50年間、収益後退がおこると多くの場合、ほぼ同時に景気後退が生じているとしている。
もちろん、収益後退がおこっても景気後退がおこらない、いわゆる「だまし」もみられる。1988年以降これまで、6回の収益後退がおこり、そのうち3回は「だまし」である。
しかし、6回のうち3回がじっさいに景気後退をともなっていることを考えると、景気後退の到来をつげる指標としての有効性はかなり高いと思う。
しかも、収益後退がおこってから景気後退に入るまでの期間が非常に短い。
たとえばWSJのデータをみると、ITバブルの崩壊時(2001年)とリーマンショック時(2007-8年)に収益後退と景気後退はほぼ同時におこっている。
そして問題は、2019年に収益後退がおこる可能性が高いということである。WSJによれば、モルガンスタンレーは、2019年に収益後退がおこる可能性を50%と予想している。
今年、今まで以上に米企業の決算発表に注目していきたい(2019年1Qの決算発表は4月から始まる)。