大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米連銀、資産圧縮を早期停止か?

2019年01月26日 | 日記

 ウォールストリートジャーナル(2019/1/25)は、FED(連邦準備制度=米中銀)が資産圧縮を早期に停止することを検討していると伝えた。

 FEDは、2017年10月から満期をむかえた国債の補充を停止し、資産圧縮を開始。

 この時点でFEDが保有する米国債はおよそ4.5兆ドル(500兆円:1ドル=110円)。現在はこれが約4兆ドル(440兆円)まで減少している。

 WSJによれば、これまでは1.5-3兆ドル(160兆-330兆円)になるまで資産圧縮が続けられるとみられていた。

 しかし、WSJは、来週開催されるFOMC(連邦公開市場委員会:FEDの金融政策を決定する機関)で、資産圧縮の早期終結が大きな焦点になると報じていている。

 WSJは、3.5兆ドル(400兆円)程度で資産圧縮が停止される可能性を指摘している。

 もしこの報道が事実であれば、アメリカでは高金利期待がさらに低下することになる。

 ところで個人的に気になることがある。

 アメリカでここまで高金利期待が低下してしまうと、逆に、それに反するデータ(たとえば高いインフレ率)や要人の発言が出てきた時、市場が一気に悪化するのではないかという懸念である。

 ちなみに、政府閉鎖といったノイズの影響で、雇用、消費、小売売上高にかんする統計は、しばらくの間、経済のほんとうの姿を伝えられない可能性が高い。

 政府閉鎖の影響がなくなった後にどのような経済統計が出てくるか注目される。

 

参考:

 FEDは2014年10月に米国債の新規買い入れを停止

 FEDはその後しばらくは、満期を迎えた国債についてそれと同等額の国債等をかわりに買い入れて資産額を保っていたが、上記のように、2017年10月から資産圧縮を開始した。


米政府閉鎖が終結: トランプ大統領が譲歩

2019年01月26日 | 日記

 

 2019年1月25日(金)、トランプ大統領は議会と、2月15日までの3週間、政府を再開する予算を承認することで合意した。

 予算案にはトランプ氏が絶対必要だと言っていた壁建設の予算は入っておらず、アメリカのメディアはトランプ大統領が議会に譲歩したと報じている。

 背景としては、(1)世論調査でトランプ大統領の支持率が低下、(2)給料の支払いが止まった連邦公務員の欠勤が増加し、生活への影響が広がりはじめた-たとえば、航空管制官不足から飛行機の発着に大きな遅れが出始めた-、(3)富豪のロス商務長官の失言-欠勤する公務員にローンを借りて出勤すべきと発言して非難が集まった-、といったことがあった。

 ただ、トランプ大統領は2月15日までに壁の建設費が認められなければ再び政府閉鎖となる可能性があるとしており、2月15日が近づくとふたたび不透明感が強まりそう。


裁量労働制の違反企業名の公表はじまる

2019年01月26日 | 日記

 2019年1月25日、厚生労働省は、裁量労働制を違法適用した企業名を公表する制度の導入、運用をはじめた。

 公表対象となるのは大企業のみで、次の3つの条件すべてを満たす企業が対象となる。

(1)裁量労働の適用対象社員の約2/3が法律で認められていない仕事をしていた

(2)上記の約半数以上が違法な残業(サービス残業など)をしていた

(3)そのうち、すくなくとも1人以上が月100時間以上の残業をしていた

 いままでも、法律に違反した企業名を公表する仕組みはさまざまにあったが、公表の基準が明確化されていないことが多く、実際には使われていないケースも少なくない。

 たとえば男女雇用機会均等法では、私の知る限り公表された違反企業はこれまで1件のみ(一方、障がい者雇用促進法では多くの違反企業名が公表されている)。

 今回、明確な基準が示されたことは、これから基準を引き上げていく出発点を作ったものとして評価できる。

 ただ朝日新聞が指摘しているように、今回作られた基準は厳しすぎて「実際はほとんど公表されない可能性が高い」。

 実態をみながら、現実的なものに基準を引き上げていくことが今後求められる。