2019年8月25日(日)、日米は貿易交渉で基本合意したが、日本がめざしていた自動車関税の引き下げは実現しなかった。
(アメリカの成果)
アメリカは、畜産・農作物の一部についてTPP加盟国と同水準の関税引き下げをかちとった。また、飼育用のトウモロコシの輸入の約束も取りつけた。
(日本の成果)
日本政府はTPPでは、農産物関税を引き下げるかわりに自動車関税の段階的な引き下げ、撤廃を実現した。
今回の日米貿易交渉でも、日本政府は自動車関税の段階的な引き下げを求めたが認められなかった。
トランプ大統領は、8月26日(月)におこなわれた会見で記者から日本車への自動車関税について、「輸入が安全保障上の脅威とみとめられた場合、関税を引き上げるか」と問われ、
「今は考えていない」と述べた後、「将来、もしそうしたければ、そうすることができるが、そのようなことは(今は)考慮していない」と付け足した。
日本のメディアは、自動車については継続審議になったと報じているが、もっとわかりやすくいえば、日本政府は農作物で譲歩しながら目標としていた日本車関税の引き下げを勝ち取ることができなかったばかりか、将来に関税を引き上げないという最低限の約束すら得ることができなかったということになる。
なお今回の合意に為替問題ははいっていないが、ビッグ3の代表は円安誘導(為替操作)を抑止する実効的なシステムの構築をもとめている。
自動車をめぐる日米のつばぜり合いはまだまだ続きそうである。
参考
オートモーティブニュースによれば、アメリカの対日赤字は680億ドル(7.1兆円)。その8割、560億ドル(5.9兆円)を自動車が占めている
2018/05/12 トランプ大統領、輸入車に20%の関税を提言
2018/04/08 トランプ政権、輸入車に国内より厳しい排ガス基準、試験を検討
2018/03/03 トランプ大統領、鉄鋼の輸入に25%の関税: 日本への影響は中国より大きい