リスク資産への資金再流入がはじまっている。
フィナンシャルタイムズによれば、2020年4月1日(水)までの1週間にハイイールド債に投資するETFに70億ドル(7.7千億円:1ドル=110円)の資金が流入した。
それまでは5週間連続で資金が流出していた。
この背景にあるのが、Fed(米連銀)をはじめとした各国中央銀行による歴史的に例をみない資金供給。
たとえば昨年10月以降のFedの金融緩和政策は以下のようになっている。
(1)2019年10月11日
短期資金市場を安定させるため短期国債を月600億ドル(6.6兆円)買い入れることを発表。
(2)2020年3月15日
政策金利を1%引き下げ
今後数か月で米国債を5000億ドル(55兆円)購入
今後数か月でMBS(住宅ローン担保証券)も2000億ドル(22兆円)購入
投資適格の企業が発行したコマーシャルペーパー(無担保の短期手形)の購入をはじめる(1年間)
(3)2020年3月23日
国債、MBSの買い入れ額を「必要とされる額」つまり無制限に引き上げ
MBS(住宅ローン担保証券)にくわえ商用不動産ローン担保証券もあらたに購入
①投資適格の社債(ETF)を発行額の10%まで購入(2020年9月30日まで)
②クレジットカードや自動車のローンなどを証券化したものを購入する
③投資適格の企業に4年間のつなぎ融資をおこなう
この①~③の3制度に3000億ドル(33兆円)を投入する
大規模レポ(国債を担保とした短期融資)は継続
Fedのこうした政策発表により金融市場の安定はもどった。
しかし、いったんはじめるとやめるのが難しいのが金融緩和。
新型コロナウイルスが欧米で徐々に収束にむかうなか、Fedは市場の安定をたもちながらどのように市場のオーバーシュート(過熱)をさけていくのかが次の大きな課題になりそう。
2020年5月2日追記
2020年4月、AMC、フォード、ネットフリックス、Yumなどアメリカ企業は合計320億ドル(3.5兆円)のハイイールド債を発行した。単月としては過去3年で最高額。