2019年9月15日(日)、UAW(全米自動車労組)はGM全工場でストライキに突入した。
ブログで紹介しているように現在、UAW役員の汚職捜査が進展している。
デトロイト・ニュース(2019/9/12)は、UAW現会長ガーリー・ジョーンズ氏と同前会長デニス・ウイリアムズ氏も捜査対象になっているとしている(両氏の自宅は先日、家宅捜査をうけている)。
労使関係の研究者ジェーン・スローター氏は、こうした疑惑を打ち消そうとしてUAWがストライキに打って出る可能性を指摘していたが、そのとおりになった。
私自身20年以上にわたってUAWの動向を詳しくみてきたが、交渉がはじまったばかりのこの時期にストライキに入る理由はほかにどうしてもみつけることができない(争点が定かでなく、交渉が行き詰まったわけでもない)。
ちなみに、これまでの交渉でGMは以下の提案をおこなっている。
1) 8000ドル(85万円:1ドル=105円)の協約締結一時金を支給する。
2) 賃上げをおこなう(金額はこれから交渉)。
3) 利益分配制度(純利益に自動連動してボーナスを支給する仕組み)を改善する。
4) 医療保険の負担は現状維持(新たな負担はもとめない)。
5) 4州8工場などに総額70億ドル(7.3千億円:1ドル=105円)を投資して雇用を守る。
6) デトロイト・ハムトラック工場に電動トラック、ローズタウン工場に電気自動車用バッテリー・セルの生産を割り当てる(雇用を守る)。
一方、UAWは、賃上げ、雇用確保とならんで、古参労働者と新規採用者の賃金・雇用保障格差の是正、COLA(インフレ率に連動して給与を自動で上げる仕組み)の完全復活などを求めている。
オートモーティブニュース紙は、販売減速などによりGMには通常より多い77日分の在庫があるとしたうえで、ストライキがおこなわれると1日当たり5千万ドル(50億円)程度の損失が発生するとしている。
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