大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

韓国の最低賃金、日本の一部県とならぶ

2018年03月06日 | 日記

 近年、先進国で最低賃金の大幅引き上げが続いている(最新のデータはこちら)。

 そうしたなかGDP世界11位の韓国の最低賃金が、2018年1月から7530ウォン(738円:100ウォン=9.8円で計算)に引き上げられた。

 日本は都道府県ごとに最低賃金を定めているが、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、高知の最低賃金は737円青森、岩手、秋田、鳥取は738円山形、愛媛は739円。島根、740円。韓国の最低賃金は、こうした県とほぼ同じになった。

 なお韓国の物価は日本より低いため、最低賃金によって可能な生活レベルは韓国の方が高い。

 フィナンシャル・タイムズ(2018/3/1)によると、韓国の最低賃金は賃金の中央値の70%で、先進国ではもっとも高くなっている-他の労働者にくらべた賃金水準が高い-。

 日本同様に非正規雇用が増大格差拡大が大きな社会問題になっている韓国であるが、文政権は最低賃金の大幅引き上げにより格差縮小を進めようとしている。

 フィナンシャル・タイムズは、雇用や中小零細企業への悪影響を心配する意見も紹介しているが、韓国はいまや自動車、電機、IT、造船、鉄鋼などで世界トップレベルとなっており、それにみあった待遇を人々が求めるのは自然の成りゆきなようにも思う。

 現在、日本の最低賃金の加重平均は848円。

 日本の最低賃金は他の先進主要国との間に大きな差があってその差がなかなか縮まらない。そうしたなかで、韓国の最低賃金が部分的に日本に追いついた。

 今後とも韓国の最低賃金のうごきを注視していきたい。



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2018-03-06 16:16:44
「韓国文政権またも失政 最低賃金引き上げ、産業界からブーイング」

「韓国の最低賃金のうごきを注視していきたい」とは何故ですか?
返信する
Unknown (大野)
2018-03-06 17:41:30
韓国に限らず最低賃金引き上げは産業界から強い反対がある。先進主要国でも事情は同じ。しかし、そうした反対があることはすぐ政策の失敗を意味しない。例えばイギリスでは保守党が産業界の反対を押し切って現在、最低賃金の引き上げを積極的におこなっているが、それがとくに経済や雇用に悪影響を及ぼしている形跡はみられない。日本でも安倍首相が主導し、3%程度の最賃引き上げをおこなっているが、雇用に悪影響が出ているというか分析はない。韓国についても先入観を排して、最賃引き上げの影響ープラス、マイナスの両方ーを注視して見ていく必要があるということである。
返信する