イギリスでEU離脱を問う投票が23日(木)に迫っている。
投票結果はまったく予想がつかない。そうした中、イギリスでは、もし離脱が過半数を超えたらどうなるかといった報道が増えている。
(首相交代)
キャメロン首相は、離脱が過半数を超えても首相を続投し、EUとの離脱交渉を先導すると主張している。しかし実際に離脱となれば、キャメロン首相の続投は難しく、離脱派を率いるボリス・ジョンソン前ロンドン市長が首相となり、場合によっては国政選挙になるとの予想が出ている。(★ 実際にはキャメロン氏は辞職したが、離脱派内の内紛などでジョンソン氏は保守党の党首選挙にでることを断念。かわりに、保守党の党首選挙をへてメイ氏が新首相に選ばれた。そしてメイ氏はジョンソン氏を外務大臣に任命した。 2016/9/9追記)
(離脱後のEUとの関係)
離脱後、EUとの関係はどうなるか?英インディペンデント紙は、次のような可能性を示している。
1)ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン型
農業や漁業などに一部の例外を設けるものの、基本的にはEUの法律に従う。そのかわりにEU市場への自由なアクセスが保障されるというもの。しかし、従うべきルールには労働者の移動の自由などが含まれている。またこうした国には、ルールの受け入れが求められる一方で、EUのルール策定への関与は認められていない。移民制限や主権回復を唱える離脱派がこのモデルを受け入れる可能性は小さいとみられている。
2)スイス型
基本的にはEUのルールに従うが、どのような分野でEUのルールを受け入れるか、ケースバイケースで判断するというもの。EU市場へのアクセスは保障されている。インディペンデント紙は、このモデルはあまりに交渉が煩雑で時間がかかるため、EUがイギリスにスイスと同じモデルを認める可能性は小さいとしている。
3)カナダ型(自由貿易協定型)
EUとカナダでは自由貿易協定が締結され、今年中に関税が撤廃される。ボリス・ジョンソン氏は、このモデルを推奨している。ただ、カナダとの貿易交渉は5年かかっている。また、金融を含むサービスは関税撤廃の対象外とされているという問題もある。
なお、番外編として、交渉中にイギリスが労働者の自由な移動などを一方的に制限し、これに対抗して、EUがイギリス企業のEU市場へのアクセスに制限をかける可能性などを指摘するものもあるが、可能性は小さいだろう。最直近の世論調査では、残留派議員の殺害を受けて、残留派が増加していることが明らかになったが、6月23日(木)の投票結果に世界が注目している。