大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

アルゼンチン、政策金利を40%に引き上げ

2018年05月05日 | 日記

 2018年5月4日(金)、アルゼンチンは政策金利を40%に引き上げた

 アルゼンチン中銀は、先週の金曜と今週木曜にそれぞれ3%今週金曜に6.75%8日間で12.75%の政策金利の引き上げをおこない、ついに政策金利は40%という高水準に達した。

 フィナンシャル・タイムズ(2018/5/5)によると、アルゼンチン通貨ペソは今年に入ってから対ドルで15%下落しており、今回の利上げはこれ以上のペソの下落とインフレの上昇(現在は25%を超える)を食い止めるためにおこなわれた。

 ちなみにウォール・ストリート・ジャーナル(2018/5/4)は、アルゼンチンは先週50億ドル(5,500億円:1ドル=110円)のドル売り介入をおこなったが効果がなかったと述べるとともに、このペースで介入が続けば2か月で外貨が底をつくとしている。

 なお前掲FT紙は、利上げの発表後、ペソは対ドルで2.3%上昇してその日の取引を終了したと伝えている。

参考

新興国通貨が下(2018/5/1)


ドイツの電気自動車の販売、ノルウェーを抜いて欧州一位に

2018年05月05日 | 日記

 オートモーティブ・ニュース(2018/5/3)は、ドイツの2018年第1四半期における電気自動車の販売台数が17,574台となり、ノルウェーを抜いてヨーロッパ一位になったと伝えた。

 同紙はまた、ヨーロッパ全域でディーゼル車の販売が17%減少する一方、電気自動車プラグイン・ハイブリッド車の販売はそれぞれ35%、47%増加したとしている。

 ちなみに日本の2017年の電気自動車の販売台数は、およその推計だが2万台に達しなかった模様。 

 日本は、太陽光発電、風力発電といった次世代型発電システムの普及、開発で決定的に出遅れてしまったが、電気自動車の普及でも出遅れが目立つようになってきた。

 日本の電機メーカーは、携帯電話が世界で普及をはじめたとき、アメリカ市場で大きなシェアを占めるなど初動では活躍したが、その後の急速な低価格化といった市場変化にうまくついていくことができなかった。電気自動車の開発でも、三菱のミーブや日産のリーフなどが世界に先行したが、いまや電気自動車の開発・普及の中心はあきらかにアメリカ、ドイツ、中国にうつっている(開発トレンドも、日本メーカーがめざした大衆車としての電気自動車の普及から、まずは高級車を中心とした長距離化、急速充電の実現といった形にかわってきている)。気ががかりなところである。


イギリス、2040年以降、ハイブリッド車の販売を禁止

2018年05月05日 | 日記

 フィナンシャル・タイムズ(2018/5/5)は、イギリス政府は2040年以降、ガソリン車やディーゼル車にくわえハイブリッド車の販売を禁止する見込みだと伝えた。

 英政府は2017年7月、2040年以降「従来型」自動車の販売を禁止すると発表したが、ハイブリッド車が含まれるか否かなどあいまいな点が残っていた。


新興国通貨が下落

2018年05月01日 | 日記

 米長期金利が一時的にとはいえ3%を超えドル高が進むなか、新興国市場の一部で動揺が生じている。

 フィナンシャル・タイムズ(2018/4/27)によれば、ドルに対して新興国の通貨が下落し、ブラジル、インド、メキシコ、インドネシア、南アフリカ、ハンガリー、トルコ、ポーランドからなる通貨インデックスは今年1月のピークから5%下落している。そして同紙の別の記事は、アルゼンチンの中銀が自国通貨ペソの下落を食い止めるため15億ドル(1650億円:1ドル=110円)のドル売り介入をおこなったと伝えている。日経新聞(2018/4/25)も、トルコ中銀がトルコリラの下落を食い止めるため大統領の反対を押し切って0.75%の利上げをおこなったと伝えている。

 新興国の大幅な通貨下落は、ドル建て負債の返済を困難にするほか、輸入価格の上昇などによるインフレ率の上昇をもたらし、インフレ抑制や通貨防衛のための利上げを不可避として景気を悪化させる危険がある。1997年にはじまったアジア通貨危機は、まさにこうしたものであった。2013年にもバーナンキFRB議長のテーパリング発言をきっかけに、新興国に動揺が走った。

 FT紙によれば、こうした懸念から2018年4月23日までの1週間で新興国の債券・株式市場からは56億ドル(6千億円)の資金が流出した。2018年には新興国で9千億ドル(100兆円)の債権が償還(借り換え)を迎えることになっており、通貨下落や信用不安によって借り換えの負担が増えることが懸念されている。

 しかしこうした懸念に対する反論もある。アジア通貨危機の時にくらべ各国の外貨準備が手厚くなっているほか、自国通貨建ての債券発行が増えているため通貨下落の影響は以前ほどには受けないようになっているというものである。FT紙も、南アフリカの債権やブラジルの株式など資金流入が続いている例外もあるとしている。

 この先、新興国通貨の下落が続くか反転するかどうか私には全くわからないが、もしドル高がここからさらに大きく進むといずれそのひずみが出てくることがあるかもしれない。新興国が崩れればもちろん先進国も無傷ではすまない。気がかりである。