大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

アメリカにおける所得税の最高税率の変化と所得格差の関係について考察した論文を書きました

2018年11月09日 | 日記

 2017年末にアメリカでは減税法案が成立し、法人税の35%から21%への引き下げ、所得税の最高税率の39.6%から37%への引き下げなどがきまった(以前のブログでのまとめ)。

 このブログではこの税制法案が成立していく過程をくわしく実況してきたが、このたびアメリカにおける所得税の最高税率の変化と所得格差の関係について考察した論文(PDFファイル)を発表した。

 書き始めたときは2,3か月で終わると思っていたが、いろいろあって、結局書き終えるのに1年かかってしまった。

 読みやすいものではないが、もしアメリカの所得税の歴史、あるいはアメリカにおける所得格差の変化に関心をお持ちの方がいらっしゃったらご一読いただけると幸いである。


米中間選挙速報: 上院は共和党、下院は民主党が過半数で確定

2018年11月07日 | 日記

 11月7日13時において、上院で共和党、下院で民主党が過半を占めることが確定した。 

(上院)

 インディアで共和党候補が当確(現 民主党)

 ノースダコタで共和党候補が当確(現 民主党) 12時25分

 テキサスで共和党候補が当確(現 共和党) 12時30分

 共和党がひきつづき上院で過半数となることが確定。(7日12時30分現在

 ミズーリで共和党候補が優勢(現 民主党) 

 フロリダで接戦(現 民主党)

 アリゾナで接戦(ともに現 共和党)

 (下院)

 接戦が続いており、ケンタッキー6区など民主党のとりこぼしも複数でているが、これから民主党の強い選挙区で票があくことを考えると民主党が過半数をこえる可能性が依然高いように思われる。(7日12時現在)

 CNNは下院で民主党が230議席を超える予想を示した(7月12時10分) 過半数は218.

 CNNは下院で民主党が過半数と宣言。 13時

 日本時間の午後に入って民主党が下院の激戦区で順調に議席を増やしており、民主党が下院で過半数をとることがほぼ確実となった。

 大勢が判明したので、これにて更新停止。 


アップル決算発表: 過去1年で8兆円の自社株買い!

2018年11月04日 | 日記

 

 2018年11月1日(木)、アップルは2018年第4四半期(6-9月:アップルは9月決算)の決算を発表した。

 第4四半期の売上高は629億ドル(7兆円:1ドル=110円)、純利益は141億ドル(1.6兆円)ともに市場予測を上回った。

 しかし、クリスマス商戦があり1年でもっとも売り上げが大きくなる10-12月期(2019年第1四半期)の売り上げ予測が市場予測に届かなかったことなどから、決算発表後の市場外取引でアップル株は7%も急落することになった。

 アマゾンなど最近になってようやく大きな純利益を生み始めた他の新興株と違って、アップルは安定して高い純利益を実現してきており、ブルームバーグによれば株価収益率は18倍程度(2018/11/3)と極端なプレミアムはついていない。これは、慎重な投資姿勢でしられるバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが最近になってアップル株を買い増していることからもうかがえる。それでも、将来の成長期待に疑問をなげかけるような決算予測に市場は大きく反応することになった。

 ところで、アップル決算でもうひとつ大きな注目を集めた数字がある。それは、727億ドル(8兆円)という過去1年間の自社株買いの数字である。市場を歪めていると批判される日銀のETF買いのめどが年6兆円。アップルの自社株買いの異様さがきわだつ。 

    アメリカでは賃金が上がらない理由の一つとして労働分配率の低下がよく指摘される。またアップルは、サムソンに比べて売り上げに占めるR&D(研究開発)の比率が意外に低いなどとも指摘される。8兆円という自社株買いの規模についてはウォール街でも疑問の声がでている。日本での報道が少ないのでここに書いておく。


アメリカ中間選挙、大方の予想は民主党が下院で過半数

2018年11月02日 | 日記

 2018年11月6日(火)、アメリカで中間選挙がおこなわれる。

 以前に書いたように上院では共和党が過半数を維持する見込みが強まっているが(議席増もありうる)、下院では民主党が過半数を奪取するという予想が多い。

 アメリカの下院議員数は435人(過半数は218)。日本の衆議院(任期4年)とことなり解散はないが、2年ごとに全議席が改選される仕組みになっている。

 世論調査のまとめサイトであるリアルクリアーポリティクスによれば、現在、民主党が優位な選挙区が203で共和党の195を上回っている。

 激戦区は37。民主党は、このうち15選挙区で勝利すると下院の過半数を得ることができる。

 一時は共和党が善戦する可能性もとりざたされた。今年の後半に入ってからトランプ大統領の支持率アップが続いていたことと、カバナー最高裁判事の任命をめぐる政治抗争が保守派の選挙熱を高める意外な結果を生んだからである。

 しかし、選挙間際、トランプ大統領の熱烈な支持者による民主党関係者への爆発物送付事件やユダヤ人を標的とした大量殺人事件が発生したことで、対立をあおるトランプ大統領のやり方に批判が高まり、共和党のいきおいはやや衰えているようにみえる。最近の株価急落も共和党に不利にはたらいている。結果、現在、大方のみかたは民主党が下院で過半数を得るというものになっている。

 もっとも気になることがないわけではない。民主党は、とくに医療保険(オバマケア)の維持を争点に支持を拡大している。一方、トランプ大統領は反移民の主張を繰り返しているが、現在、5千人をこえるひとびとがアメリカ入国をめざしてメキシコ国内を北上行進しており、これが世論にどのような影響を与えるか読み切れない部分も残る。

 来週火曜日の選挙結果が注目される。