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マジュンガトルス1

白亜紀のゴンドワナ地域で繁栄したアベリサウルス類の一種で、白亜紀後期のマダガスカルに生息していた。
 頭骨は丈が高く、表面にごつごつした隆起がある点はアベリサウルス科に共通している。長さは短めであるがカルノタウルスほど短くはない。カルノタウルスは目の上に2本の角をもつのに対して、マジュンガトルスは頭頂部の正中線上に1本の角をもつ。鼻骨が肥厚し、内部が空洞状になっていて、側面に孔がある。角は、前頭骨の短い円錐状の突起である。さらにその後方に頭頂骨の突起があり、前頭骨の角と頭頂骨の突起の間の部分はくぼんでいる。眼窩をはさむ涙骨と後眼窩骨の両方に、下眼窩突起がある。下顎の外側下顎窓が拡大している。またマジュンガトルスの特徴として、頸椎の肋骨の先端部が2つに分岐している。
 この絵は数年前、ディスカバリーの「恐竜の大陸・アフリカ」で紹介された頭骨を参考に、カルノタウルスよりももう少しがっしりした動物として描いた。その後2005年の恐竜博で初めて全身復元骨格が公開されたが、後肢が意外なほど短いものであった。復元を担当したサンプソンによるとアベリサウルス類は前肢が極端に短いだけでなく、後肢も比較的短いという。恐竜博の公式ガイドに寄せた文章の中では具体的な根拠は述べてくれていない。1998年に報告されたマジュンガトルスの有名な標本としては、FMNH PR 2100がほとんど完全な頭骨と尾椎の大部分、UA 8678 が部分的な頭骨、頸椎から仙椎までの脊椎骨・肋骨、左の腸骨である。FMNH PR 2099は頭骨らしいが体部の骨も含むかどうか書かれていない。つまりこのときは後肢の骨は記載されていない(Sampson et al., 1998)。2005年の全身復元に際しては、マジュンガトルスの後肢の骨が既に報告されているのか、未発表の標本の中にあるのか、などについて一言説明してほしいところである。その後、2005年に気嚢系の進化の論文(OユConnor and Claessens, 2005)が出されたが、そのマジュンガトルスの気嚢系を復元したイラストでは後肢全体と上腕骨が発見されていることになっている。そしてFMNH PR 2278という標本が加わっているので、おそらくこれが後肢の骨を含むということなのだろう。しかし(この論文の主題は気嚢系であるため)Sampson et al., 1998しか引用されていない。
 それにしても恐竜博2005の新しい復元骨格をみると、どうも不自由な体に思えてならない。前肢が極端に短くおそらく役に立たない上に、後肢も短いのでは、何が有利で繁栄できたのかイメージしにくい。頸も胴も短くはないので、二足歩行のアザラシのようで、前半身は軽量化されていたにしてもバランスがとりにくい体型のように思える。よくいわれるように屍肉食ならば、嗅覚で動物の死体を探しながらかなり長距離を移動する脚力が必要であるが、このような体型で大丈夫なのだろうか。あるいはネズミを追跡するイタチのように、地上の小動物を捕食する上で体高が低い方がかえって有利なことがあったのだろうか。
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