ペンギンのひとりごと。

とにかく何事にも好奇心旺盛なペンギンのひとりごと。

吹雪の新宿で千住真理子さんを聴いた。

2013-01-15 15:17:12 | コンサート鑑賞
17年振りに東京で8センチの積雪を記録した昨日、
東京オペラシティへ千住真理子さんのリサイタルを聴きにでかけた。
リサイタルの題名は「愛のクライスラー」。
全曲が「愛の喜び」で有名なクライスラーの作品だ。

千住真理子さんの名前は以前から存じ上げていたが、
直接興味を抱いたのは、お母様である千住文子さんが書かれた、
「千住家にストラディヴァリウスが来た日」や
「千住家の教育白書」 (新潮文庫)を読んだこと。
さらにご本人の「聞いて、ヴァイオリンの詩」を読んだことで、
いつか真理子さんのストラディヴァリウスが聴いてみたいなと思っていたのだ。


ほとんどの交通機関に遅れが出るほどの大雪の中、
ようやくたどりついたオペラシティコンサートホールには、
超悪天候にもかかわらずすでにかなりの観客が来場していた。
客層は老若男女入り乱れていたが、高齢の男性が意外と多かった。

このホールに入場するのは初めてだったが、
私の敬愛する作曲家、武満徹さんが芸術監督だったこととからタケミツメモリアルという別名があり、
音響に配慮し壁面や床面、椅子にまで天然木を多用した、数十メートルの吹き抜けを持つ巨大空間で、
パイプオルガンも備え付けられている。
舞台にはべーゼンドルファーのグランドピアノと椅子が2脚だけ。

照明が落とされ真理子さんとピアノの丸山滋さん、譜めくりさんが入場。
さわやかな笑顔の真理子さんは心身ともに絶好調の様子。
いったん曲目の紹介があり、いよいよ演奏開始だ。

前半は1曲目の「ウィーン奇想曲」から8曲目の「エピソード」まで。

ヴァイオリンの生演奏などほとんど聴いたことがなかった私だが、
わずか数タッチを聴いたところから、真理子さんのストラディヴァリウスが奏でる
音の豊かさ、深さ、滑らかさにはまっていった。
私たちの席はステージから3列目という至近距離だったこともあるが、
弓のタッチや和音の重なり、ピアノとの絡まりが身体で感じられた。
さらには真理子さんの身体を通じて、ストラディヴァリウスの発するサウンドが、
床面、壁面そしてホールと一体化してゆくのだが、
私たち聴衆もそのホールの一部として音楽と一体化していたのだ。

途中、15分の休憩を挟んで後半も「ジプシーの女」から「ウィーン狂詩的小幻想曲」まで8曲。
2回目のアンコールには名曲「愛の喜び」も披露された。


というわけで大雪なんか吹き飛んじゃうほどの素晴らしいステージでした。
やはり音楽はヘッドホンなんかでチマチマ聴くんじゃなくナマに限るね。


※画像はガレリアから見た雪景色。








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