ここ1カ月くらいの間に、てんかんの持病のある人の交通事故が相次いだ。
薬を飲み忘れてクレーン車を運転していた男性が、突然意識を失って歩道に突っ込み、小学生6人が犠牲になった事故と、やはりてんかんの持病がある歯科医師が電車に衝突してしまい、死傷者がでた事故。
人間の場合、自分にてんかんの持病があれば、きちんと投薬を続けるなり、コントロールすることができるだろうに、と思うのだが、こういう事故が起きるとてんかんの持病がある人への偏見を助長しそうで、とても残念だ。
クリがてんかん持ちなので、たとえ人間のことでも、てんかんに関わる事故や記事があると目がいってしまう。
抗てんかん薬には何種類かあるが、犬の場合は、発作が出そうなときに自分から飲むということができないから、クリには朝晩飲ませて血中濃度を一定に保つフェノバール(フェノバルビタール)錠を飲ませている。
和光の病院にはクリの抗てんかん薬を買いに行くだけになっていたのだけど、さかい動物病院に相談したら「処方できますよ」というのでお願いすることにした。もちろん今までの経過はすべてお話したうえで、だったけど。
「薬が入りました」という連絡を受けて値段を聞いたら、えらく安いのであった。和光と酒井先生のところでは200錠で4000円くらい差がある。
思わず酒井先生に聞いてしまった。
「先生、計算間違いしていませんか」
「いえ、この値段です。30mgの錠剤は大型犬に処方するサイズで、うちではおそらくクリちゃんにしか処方しないでしょうから、毎回受注発注ということになりますが。一生飲ませていくことを考えると、あまり高くつくと飼い主さんの負担になるし」
あまりにも和光の病院と金額差があるので、私はつい「大丈夫ですか、この値段で」と言ってしまった。すると、酒井先生は笑いながら「大丈夫です、原価割れはしていません」だって。ちなみに小型犬の場合は粉末を分包して出しているそうだ。
これでもう10年近く通った動物病院に行くことはないだろう。
もう少し飼い主の気持ちに寄り添う優しさが欲しかったけれど、クリのてんかん薬の処方からトチのガンの手術やブナの避妊手術、ボッチの便秘の排便処置まで、本当にいろいろお世話になった。有難うございました。
数日前、近所での散歩中、ブナが何でもない段差につまづいて、グシャッという感じで前のめりにこけた。だいぶ足腰が弱ってきたから仕方ないのだけれど、大きな犬が転ぶのを見るのは、切ない。
それから少し左前肢を引きずるような、びっこを引くような感じになった。あちこち触っても腫れているような場所はなく、筋でも痛めたのかなあくらいに思っていたのだけど、昨日から時々悲鳴をあげるようになった。体位を変える時にどこかが痛むのだ。
ハアハア息が荒く、両前肢をぽプルプル震わせている。しっぽを垂らしたまま、腰を丸めがちにびっこを引き引き歩く。相当痛むのだと思う。
今朝は散歩は取り止めて、さかい動物病院に連れて行った。ちょうどフィラリア予防薬を投与する前の検査もしてもらわなくちゃいけないし。
ブナを院内に残し、フィラリア検査の採血をしてもらったクリを車に置きに行こうとすると、ブナがヨタヨタと付いてこようとした。酒井先生がブナに「無理しちゃダメ、無理しちゃダメ」と言いながら、ブナを抱えるようにしている姿に何だか少し心打たれた。
触診などを済ませた先生の見立てでは、これは前肢が痛むのではなく、やはり腰だろうということだった。前肢が痛むのであれば、足をかばって縮込ませてびっこを引くことが多いという。この歩き方は腰の痛みをかばった歩き方だと。
ああ、そうだったか。手足が痛むびっこの引き方ではないんだ。勉強になった。
「人間で言えば、ギックリ腰の痛みだと思ってもらえばいい」と言われ、ものすごく反省する。ギックリ腰なのに安静を保ってやっていなかった。昨日は短い距離ではあったけれど、散歩にも連れて行ってしまった。ごめん、ブナ。無理をさせて。
「前にカモがいるんですけど」と戻ってきてしまったブナ
取りあえず痛み止めの座薬を入れてもらい、鎮痛剤を処方してもらった。少し落ち着いた頃、きちんとレントゲンを撮って診察することにし、フィラリア検査も先送りに。レントゲンは麻酔なしでやれるということなのでほっとした。
昨年4月、やはり腰痛で苦しむブナを連れていった時の和光の病院との対応の差は、ここでも明らかで、よく話を聞いてくれ、何とかしてくれようと親身になってくれる先生が近くで開業してくれて、本当によかったと思う。
今、ブナは私のそばでぐっすり眠っている。