Photo:「花ざかりの森」より
神宮の森
神宮の森は不思議だ
木々の枝という枝から
見えない手が伸びてきて
やわらかな陽だまりに
包まれたような
ぬくもりを感じる
ぴりぴりと冷えた冬の朝でも
ねっとりと蒸した夏の午後でも
わたしの中の癒える力を
だれかが後押ししてくれている
Photo:「花ざかりの森」より
神宮の森
神宮の森は不思議だ
木々の枝という枝から
見えない手が伸びてきて
やわらかな陽だまりに
包まれたような
ぬくもりを感じる
ぴりぴりと冷えた冬の朝でも
ねっとりと蒸した夏の午後でも
わたしの中の癒える力を
だれかが後押ししてくれている
看取り
そこにたどり着くには
長い階段をのぼらなければならなかった
途方もないときが過ぎたような気がする
一方で、一瞬のまばたきの間に
過ぎたような気もする
時計の針は指からこぼれ落ち
いま、ここにある肉体さえ
不透明に思えた
けれど
いくどもの深い呼吸の果てに
震える唇が謳ったものは
死への悼みではなく
生を全うしたいのちの営みの
うつくしさだった
こころ通わせた魂は
いつのときも寄り添いあえるから
生きたという刻印は
こころの中にあればいい