小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

交通事故と原発事故

2011-05-08 | つぶやき

 福島原発事故を契機に、原発の安全性を疑問視した原発反対・原発廃止運動の高まりを受け、こんな声を耳にした。

 「車の普及によって、これまで膨大な数の人が交通事故で死んでいる。これだけの死亡者を出す車は全く安全ではないわけだ。じゃあ、車を使うのは止めるのか。安全じゃないから原発を廃止しようというなら、車はどうなのかという意見もある」

 「飛行機だってひとたび事故が起きれば、たくさんの死亡者を出すじゃないか」という人もいるし、「タバコの方が健康に悪い」という学者もいる。

 でも、自動車事故や飛行機事故、タバコの害と原発事故は、その性格が全く違う。原発事故が大勢の被害者や死亡者を出すから安全性を問われているのではない。

 問題は「放射性物質」の存在だ。

 核爆発、臨界事故が起き、高濃度の放射線を一度に浴びれば致命的な障害を被るし、低濃度でも体内に取り込まれれば完全に排出されず、半減期の長い放射線物質は蓄積した場所で放射線を出し続ける。

 広島、長崎に投下された原爆によって、何十年間も苦しみ続けた人々は数知れない。日本国民ならよく知っているはずだ。直接原爆に見舞われなかった被曝2世が差別さえ受けてきた。
 自動車事故や飛行機事故と原発事故では、事故後の処理もまるで違うし、人の手ではすぐには収束させられない厄介な「放射線物質」が放出される点で、その重度は大違いだ。

 原発が損壊するほどの事故が起きれば、超ド級の損害を被るだけでなく、「直ちに」ではないにせよ、予想もつかないほど広範に健康被害が生じる可能性がある。10年先、20年先、30年先まで、子や孫の世代までも苦しむ放射能汚染をもたらす原発事故と自動車事故は、同次元で比べることはできないと私は思うのだけど。

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母の日の花

2011-05-07 | 植物

 宅配便のお兄さんが鉢植えを届けに来た。しまった!
 
 母の日に届くように注文したのに、送り先を書き忘れて注文したため、母に届かず自分に届いてしまった。なんとおバカな……。

 注文したのは「サンパラソル・ピンク」の鉢植えである。

                                 

 仕方ないので箱の封を開け、少し水をやってから、宅急便ステーションに発送しに行ったのであった。

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メガネを新調した訳

2011-05-04 | 犬&猫との暮らし

 昨日遅くまで仕事をしていたので、今朝はさくっと起きられなかった。犬たちは「おなか、すいたよ~、起きてよ~」とお手をしたり、鼻でつついたりしている。

 「分かったよ~、起きるってば。よーし、はい、起きたーっ。おっはよ~!」と元気よく言ったら、喜んだブナがしっぽをぶん回し、ベッド脇のテーブルの上にあったメガネを振り落とした。「あっ」と思っているうちに、ワーイワーイと行ったり来たりして、床に落ちたメガネを踏ん付けたのである。「行ったり」で1回、「来たり」で2回も踏ん付けたのだ。

 「ああー」。拾って曲がったところを直そうとしたら、ポキっと柄が折れてしまった。

 このメガネは、大震災の前日、取材の帰りに立ち寄った横浜の居酒屋に置き忘れ、一時は諦めたけれど、数日後、無事に戻ってきた運のいいメガネである。なのに、こんな目に遭うとは。

 確かこのブナが踏ん付けたメガネも、前していたメガネをトチが踏ん付けて壊したために新調したんじゃなかったろうか。
 
 年中メガネをかけていなくいても済むために、はずすとすぐ目につくテーブルの上に置いておく。そんなに低いテーブルではないのに、犬たちはしっぽでいろんな物を振り落とす。ホント、ラブのしっぽの破壊力は半端じゃないのだ。

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ちっともスピーディーじゃなかった

2011-05-03 | つぶやき

 5月に入って、「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)」の試算結果約5000枚が政府によって隠されていたことが判明した。

 原子炉建屋が水素爆発した直後から、どんな放射性物質がどれくらい、どっちの方向に拡散するか予測できたのに、周辺の自治体や住民たちに伏せられていたわけですね。チェルノブイリと変わらないじゃないですか。

 放射性物質の拡散予測がどんなにスピーディーに出されていても、公表されないのではまったく意味ない。何のための予測なのか。110億円以上の開発費をかけて、役立てもしないものを作ったわけ?

 細野首相補佐官は「公開しなかったのは市民に不安を与え、パニックが起きるのを恐れたため」と釈明しているけど、何も知らずに高濃度の放射性物質を浴びたり、吸い込んだりした子どもや若い女性もいたのではないかなあ。ひどい話である。
 何十年後かにそういう人たちに放射性物質による影響が出ても「知らぬ存ぜぬ」を決め込むのかなあ。

「パニック、パニック」と言うけれど、政府や官僚たちはどういうパニックが起きると思っているのか、どうなることを想像して発表しなかったのか、具体的に説明してほしい。

 過去の天気予報を見せられても明日に活かせないのと同じで、そんなデータを今頃公開して、どうしろといいうのかなあ。

 今でも変わらずに放射性物質が放出され、海にも流れ出ているというのに、何百キロと離れていない海で獲れる魚介類を子どもたちにも「食べろ、食べろ」と勧める県知事もいる。あなたはもう年配者だからいいかもしれないけど、せめて子どもたちは守ってあげようよ。

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クリ、12歳に

2011-05-03 | 犬&猫との暮らし


           

 5月2日、クリが12歳になった。
 土手道でリードを解いてやると、うれしそうに前へ前へとズンズン歩いて行ってしまうクリが、気がつくといつの間にか後ろからゆっくり付いてくることが多くなった。

 それでも散歩に行くとなるとワラワラと喜び、走りまわる。足腰が弱くなったので、はしゃいで走りまわってこけたりする。
 小さくて、いつまでも子どもっぽく見えるのだけど、クリの眉毛、白くなったなあ。不似合いで笑ってしまう。

 黒ラブのメスとオスでは、早く白髪になる場所が違うように思う。オスは早い時期から鼠径部に白髪が目立つようになる。黒ラブのオスを飼っている友人が「おなかの脇の毛(鼠径部)が白くなるのが早かった」と言ったのを聞いて、やはりそうなのか、と思った。メスのトチやブナはそんなこと、なかったもの。口の周りから白くなった。

 誕生日の記念にそれぞれの写真を撮ってきたけれど、黒ラブは顔中黒いので、目のふちが際立たないせいか、目が小さく見える。実際にイエローのラブより目が小さいのか、小さく見えるだけなのか分からないけれど、イエローのラブに比べて損だなあと思う。

              

             

 上はクリ(左)とブナ(右)だけど黒い塊にしか見えない。下はもうすぐ四十九日を迎えるノエル。クリとブナがノエルと同じポーズで写真に写っていても、やはりこんなに可愛く撮れないだろうと思う。損だなあ。
 でもまあ、見た目はイマイチでも、飼い主の私が充分彼らの良さを分かっているからいいことにしておくか。

 今年に入ってクリは一度もてんかんの発作を起こしていない。いい調子、いい調子。クリ、ブナ、このまま健やかに長生きしておくれ。

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トチ、はるがそっちに行ったよ

2011-05-01 | 犬&猫との暮らし

 「はる」を見舞った翌朝7時。携帯の着信音が鳴った。「はる」のお父ちゃんからだった。

 「今朝方5時ごろ、はるが逝っちゃった」

 「はる」は深夜2時ごろから苦しみ出して、押さえきれないてんかんの発作のようにのた打ち回ったそうだ。最期は頭を打ち付けたかのようにガクッとなり、ふうと息をして絶えたという。それを見ていたお父ちゃんの気持ちを思うと息苦しくなり、走り出して「うおーっ」と叫びたかった。 

 話していてもこみ上げる涙を抑えられず、声が震え、しゃくりあげてしまう。お父ちゃんに「泣かないで」なんて、慰められたりして。

 「はる、偉かったね。ちゃんと逝けたね。さすが、トチの子だね」
 心の中で「はる」をいっぱい褒めてやった。そしてトチに言った。「トチ、はるがそっちに行ったけど、ちゃんと迎えてくれた? もう会えた?」

 春に生まれて、春に逝った「はる」。トチから一番最初に産み落とされて、一番最初にトチの元に還って行った「はる」。13歳だもの、長生きのうちだよね。

 電話を切ってから、トチを亡くしたときのようにオイオイ声をあげて泣いた。壮絶な最期を聞くだに「はる」もお父ちゃんもよく頑張ってくれたと思う。

 ノエホタ母にメールで知らせると、やはり泣きながら電話が来た。そして、ノエホタ母はとてもいい話をしてくれた。3月20日に逝ったノエルはてんかんの大発作で、やはり七転八倒の苦しみの中で、鎮静剤が効いて力尽きて逝ったと聞かされた。

 「あんな逝き方をするなんて」とノエホタ母が嘆き哀しんでいたところ、ノエホタ父がこう言ったそうだ。
「エネルギッシュだったノエルらしいじゃないか。ノエルは自分のうちにある残りのエネルギーの一滴まで、この世で使い果たして逝きたかったんだよ。苦しんでいたんじゃない。ノエルなりにエネルギーを発散して逝ったんだよ」って。

 ノエホタ母はそれを聞いて「少し救われた」と言っていた。いいこと言うね、ノエホタ父。そうだね、「はる」もパワフルな子だったから、きっと最後の一滴までエネルギーを出し切って旅立っていったんだね。

 食いしん坊だった「はる」は、注意がちょっと行き届かない、甘いお父ちゃんの目を盗んで、呆れるほどいろいろなものを平らげてきた。そのエピソードには事欠かない。
 卵を殻ごと1パック、大袋に入った切り餅を全部、硬いアルミのカップに入ったマドレーヌを1袋……、どうして口の届かないところに置いておかないのかと思うでしょ? どうしてかしらね、前科がいっぱいあるのにね。

 お父ちゃんは自分の毎食後、催促されるがままに海苔巻きをやっていたし、リンゴも丸ごとポイっとあげていた。リンゴを一箱買いながら「はるが大好きだから、いつも箱買いなんだよ」なんて、目尻を下げながら言っていたお父ちゃん。「はる」といいコンビだったんだ。

 最近など、焼いてから凍らせるつもりで、冷ましておいたハンバーグ12個を平らげていたそうだ! でも、それは「はる」が悪いわけじゃないのよ。届くところにあったんだもの、叱られなきゃ食べちゃうわよね、「はる」は食いしん坊なんだもの。

 全然攻撃的じゃなくて、のほほんと気立てがよく、甘えん坊で食いしん坊で、いっぱい可愛がってもらった「はる」。幸せだったよね、はる。
 
 はる、トチの元に生まれてきてくれて、ありがとう。トチともう会えた? ブナやほたるやピッコイは、まだまだそっちに行かないから、みんなより早くもらわれた行った分、そっちでトチにたっぷり甘えていていいよ。

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「はる」に会いに

2011-05-01 | 犬&猫との暮らし

 春に生まれたから「はる」と名づけられたトチの息子。
 27日に「大腸ガンでもう長くないかも」と聞かせれて、それから連絡がなかった。心配になって29日の朝に電話をすると、お父ちゃんが困惑した様子で告げた。

「27日から飲まず食わずだったから、今朝、病院に連れて行って点滴してもらった。ずっと震えているし、背中の毛も立てている。苦しいんだろうね。そしたら先生が『もう治る見込みがないから、あまり苦しむようなら、安楽死をさせてあげる方がいいかもしれません』って」

 絶句してしまった。気が動転してしまった。涙がボロボロ流れた。「はる」のお父ちゃんが消え入るような声で私に「どうしたらいいだろう」と聞いた。
 うちの犬のことなら、あんなにパニックにならなかったと思う。私は泣きながら「お父ちゃん、ちょっと待ってて、考えるから。ほたるのお母さんとも相談してみるから、ちょっと待ってて」と言った。お父ちゃんはこれから仕事に行かなくてはならないと言う。

 ノエホタ母と私は、「この選択だけはしたくなかったのよ~。分からない、どうしていいか分からない」と言い合って泣いた。ひとしきりああだこうだと話し合って、少し落ち着いてくると、私は「はる」に会いに行って、どんな状況なのか、この目できちっと確かめてこようと思った。
 すぐさま「はる」の家に電話をして、お父ちゃんの妹さんがいることを確かめると、取るものも取りあえず茨城県つくば市にある「はる」の家に向かった。
 
 お父ちゃんは7年くらい前から「はる」を連れて、越谷にあった妹さんの家で暮らすようになったのだ。その家を売り払い、「はる」がここに引っ越してきて5年。
 初めて訪ねた「はる」の終の棲家。柵に囲まれたこじんまりとした庭は気持ちよさそうで、花の手入れも行き届いていた。

 

 
 
「はる」はとてもいい環境で晩年を過ごしていたんだね。何だか救われた気持ちになった。出たい時に庭に出て、夜は家の中でのんびり過ごしていたそうだ。

 はやる気持ちを押さえながら扉を開けると「はる」は庭に横たわっていた。ちょっと目を離したすきに、どうやって出たのか、庭の花壇に横たわっていたという。トイレに行きたかったんだよ、「はる」は。
 それからは、ずっとそこに横になっているという。お父ちゃんの妹さんも70歳に近い。1人では「はる」を移動させることができないのだ。妹さんは私が行ったことで安心し、家の用事をこなしていた。

          

 「はる」はゲッソリ痩せていた。臀部の骨が飛び出していたし、顔をなでれば頬骨がくっきりと分かる。
 おなかは復水が溜まり、膨れていた。呼吸をするたびに下腹が上下する。でも苦しそうな息じゃなかった。時折足が震えるけれど、背中の毛は立っていない。鎮痛剤なども点滴されたのかもしれない。全身をゆっくりなでてやりながら、私は「はる」の耳元でささやいた。

「はる、苦しかったら、もう頑張らなくていいんだよ。自分でお逝き。お前はトチの子でしょ、お前の母さんは自分できちっと逝ったんだよ。薬でなんか逝かされちゃダメ。自分できちっと逝きなさい。薬を打たれたりしたら、そのときは納得したつもりでも、きっとお父ちゃんはいつまでも苦しむでしょう。だからね、お父ちゃんのためにも、トチのためにも、安楽死なんてさせられちゃダメだよぉ……」
 
 最後はもう涙声だった。喉の奥に哀しみがうっうっとこみ上げてくる。「はる、ホントは逝っちゃイヤだよ。トチより長生きしてほしかったんだよぉ」

 長い時間、私は「はる」のそばで過ごした。

 日が傾きかけた頃、私はお父ちゃんの妹さんに「はる」を乗せられるくらいの板を探してもらった。ちょうどいいラティスがあったので、はるの下にタオルを敷き、それを引きずって「はる」をラティスに乗せて、室内に運んだ。

            

 ときどき体位を変えたくなるのか、立てないのに立ち上がろうとする。そのたびに支えてやった。また動こうとするので支えてやると、敷物がびっしょり濡れていた。たくさんオシッコをしてしまい、気持ち悪かったんだね。

 一緒に住んでいても、大きい犬を扱い切れない妹さんに代わって、敷物を替え、体位を変えてやった。

 「はる」に伝えることは伝えた、と思う。あとは「はる」次第だと思う。治る見込みがないなら、苦しまずに静かに逝ってほしいと思った。 

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トチの息子「はる」

2011-05-01 | 犬&猫との暮らし

 27日の夜、トチの息子(ブナの兄さん犬)「はる」の飼い主さんから電話があった。トチの子どもを譲った飼い主さんのうちで最も年配だった「はる」の飼い主さんを、私たちは「お父ちゃん」と呼んでいる。
 
 お父ちゃんが力なく言った。
「10日くらい前から、はるが食べなくなり、今はガリガリに痩せてしまった。大腸ガンだって。5cmくらいの腫瘍があるんだよ。辛そうにブルブル震えていて、背中の毛を立てている。もう長くないかもしれないので、一応、知らせておこうと思って……」

 びっくりしてしまった。震えて毛を逆立てるのは痛い証拠だ。

 大震災の日、トチの子どもたちの家は大丈夫だったか心配で電話をしたとき、受話器の向こうから「はる」が吠えている声が聞こえた。

「ずっとこうして吠えているのよ」とお父ちゃんの妹さんが言った。
「なんで、どこか具合が悪いの?」
「違うのよ、何か食べたいって吠えているの」
「そんな……。そんなことで吠えるようになるなんて、お父ちゃん、どこまで甘やかしたのかしら」

 でも、そのときすでに痩せ始めていて、前立腺ガンの疑いがあると聞いた。だから、吠えていたのは何か訴えていたのではないかと私は思ったのだけど、妹さんは「そうじゃないわよ。いつも何か私たちが食べていると要求吠えをするのよ」と言うのだった。

 あれから1カ月余り。「はる」が大腸ガンだなんて……。すぐに妹犬ほたるの飼い主であるノエホタ母に知らせ、2人でものすごく嘆いたのだった。

 生後40日くらいの「はる」を見に来たお父ちゃんたちが「慣らし保育のために連れて帰りたい」というので、「じゃあ、1週間だけね」と言って送り出したのだけど、「連れ帰ってみたら、可愛くて可愛くて、もう手放せない」なんていうお父ちゃん。

                          
             もらわれていった頃の「はる」  
           
 だから「はる」だけほかの子より早くに親元を離れて行くことになってしまったのだけど、本当に可愛がってもらい、連れて帰って、初めてドライブに行ったときなど、車内でオムツなんかされちゃって、ウンチのあとにはウエットティッシュでお尻まで拭いてもらって……。
         
         ほらね、「はる」ったらオムツなんかされてる

 それでも「甘やかさないでね」と何度も念を押し、オスだし、父犬のように大型になるだろうから、きちんとしつけを入れるために、自分たちでできなければ、ちゃんと訓練所に通ってくれという私の言いつけを守って、警察犬訓練所にも預けられたのに、でも、やっぱり帰ってきたら、お父ちゃんがすっかり甘やかしてしまったのでした。

 「はる」をこよなく愛し、厳しく接してくれた「はるママ」とは訳あって別々に暮らしているけれど、いつも「はる」に上質なフードを届けてくれていた。

 痩せる前までは40キロもある堂々としたオス犬だった。お父ちゃんは「はる」に引っ張られてころんで、前歯を何本も折った。穏やかで気立てのいい子だったけど、パワーは凄かったね。それにとても食いしん坊で、いろいろなものを食べてしまったエピソードを耳にしてきた。

 「はる」の気立てと容姿のよさから交配させる計画が持ち上がり、ハンナとかけたこともあった。結局うまくいかなかったのだけど、ハンナとは似合いの夫婦のように仲良くなり、仲介した私も交えて、家族同士のお付き合いも深まり、ステキな思い出となった。

               
         「仲良くしようよ」と「はる(左)」は言ったのだけど

 そんな「はる」がガンだなんて……。すごくショックだった。空を仰いで呟いた。「トチ、お願い。お前の息子を助けて。『まだこっちに来るのは早いよ』って、はるに言い聞かせて、お願い!」 

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