VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

現代と「方丈記」➃

2013-04-09 10:41:00 | 方丈記

安元の大火から3年後

 治承4年(1180年)4月

辻風と表現しているが あきらかに「竜巻」が発生


 三、四町の範囲を吹きまくる間、辻風に襲われた家屋は、

建物の大小関係なく、すべて破壊されてしまった。

 そのまま上から押しつぶされて、ぺしゃんこにつぶれたものもあれば、

桁や柱しか残っていないものもある。

 辻風は 頑丈な門を吹き飛ばして、四、五町も離れたところに落とした。

また、垣根を吹き払って隣家との境界をなくし、さながら一軒家同然に

 してしまった。言うまでもなく屋内の家財道具は全部空に吹き上げられた。

屋根の檜皮や葺板のたぐいは、冬の木の葉が風に吹き散らされるように

 乱れ飛んだ。

塵を煙のように葺きたてたので、視界もきかず、ものすごい轟音が鳴り響いて

 人が何か言っても聞き取れない。あの地獄に吹くという風もこれほどではない

のでは?と思った。

 家が無くなったり壊れたりしただけでなく、これを片づけたり、直している間に

辻風に襲われて大けがをし、身体が不自由になってしまった人は

 数え切れないほどになった。

この風は 方角を変えて、多くの人の嘆きをうんだ。



  「辻風は常に吹くものなれど、かかることやある。ただごとにあらず。

さるべきもののさとしかなどぞ、疑い侍りし」


ーーー辻風はめずらしいものではないが、これほどの被害をだした

 ことはあるのだろうか? 異常なことである。

何か、神仏の警告なのだろうかと不審に思われた。---



 今おきている異常気象にもあてはまる描写だと思う。


最近、竜巻はとみに頻繁におこるようになり

 雷とともに脅威となっているように思える。


このあと、方丈記は、しばらく平家の社会を批判する記述となる。


 貴族社会が斜陽になり、台頭してきた武家に対して

貴族であった作者は 受け入れられないものがあったのだと思う。


 激動する社会情勢も今とだぶる。

価値観は大きく変わり、激動する時代を生きるのは

 昔も今も 変わらず並大抵の事ではないのだ