元暦の大地震の記述
「そのすさまじさは、この世のものとは思えなかった。
山崩れがおきて土砂が河を埋め、海が傾いて津波が陸に押し寄せた。
大地は裂けて水が噴き出し、巨岩は割れて谷底に転がり落ちた。
海岸近くを漕ぐ船は打ち寄せる大波にもてあそばれ、
道行く馬は足場を失って棒立ちになった。
都の付近では、至るところ、寺のお堂や塔も、
何一つとして無傷なものはない。あるものは崩れ落ち、
あるものはひっくり返っている。塵や灰が立ち上り、
もうもうたる煙のように空を覆った。
大地が鳴動し、家屋が倒壊する音は、雷鳴の轟音そのものである。
家の中にいれば、たちまち建物の下敷きになって圧死する危険がある。
だからといって、家の外に走り出せば、地割れに落ちて死ぬ危険がある。
人間、羽がないので、空を飛ぶこともできない。これが竜であったなら、
雲にでも乗って逃れられるだろうに、それもできない。
恐ろしいものの中でも、だんとつに恐ろしいのは、やはり地震だと
痛感した。」
つい昨日も 淡路で地震があったばかり。
幸い、18年前ほどの被害はでなかったのでほっとしたが
不気味な地震はこちらでも続いている。
覚悟して一日一日を生きるバロメーターになるのは
皮肉といえば皮肉かも・・・