とやざき農園日誌

浅間山麓(長野県小諸市)で自然農法による農業を行っています
肥料や農薬を施さず自然の養分循環の中で野菜を育てています

ブタクサ林 心土の調査

2018年12月23日 | 日記
本日は、一昨日足を運んだブタクサ林において、ブタクサ株下の土を更に深く掘って土壌phを調査することにしました。
「表土(または作土)」に対して「心土」という土壌学の用語があり、「表土」は、枯れ落ちた植物体が分解されることで生じる有機物を多量に含み、そこから養分を得ようとする植物の吸収根が張り巡らされる地表近くの土の層。「心土」は、その下にある、有機物が少なく吸収根も少ない土の層、ということになります。そこを目指して行きます。

◎心土(しんど)とは ※コトバンクより
「作物栽培の立場からみた土層の呼び名で,耕作された部分 (作土) の下の層をいう。作土に比べ有機物の含量が低く,一般により緻密である。植物根は太い支持根は別として吸収根はほとんど存在しないかまたは少いが,養水分の貯蔵庫である。」

一昨日は、下草のハコベをむしった後、表層の腐葉土を取り除き、深さ5㎝~10㎝辺りの土を採取しました。


土は真っ黒でサラサラの砂質。粘り気のない微細団粒は黒ボク土の特徴です。一昨日のph測定値を再掲載。
<サンプルA:ブタクサ株下 深さ5cm~10㎝の土>
水道水ph6.46に土を投入→ph6.37
酢酸水ph6.00に土を投入→ph6.02
※ph6に近い弱酸性。微細団粒を構成するのはアロフェン型粘土と考えられる。


上下の土が混ざらないように、小型スコップを使って慎重に掘り進めていきます。深さ15㎝位で土質が変わってきました。粘り気が出て、土が固まり始めています。色もチョコレートのような焦げ茶色に変わってきており、スメクタイト型粘土の質感があります。細根(吸収根)が張り巡らされているのはこの辺りまでです。


深さ15㎝~20㎝辺りから粘土塊を採取し、phを測定します。
<サンプルB:ブタクサ株下 深さ15㎝~20㎝の土>
畑の湧き水ph7.12に土を投入→ph7.12
※弱アルカリ性。スメクタイト型粘土が形成されていると考えられる。


深さ15㎝以降、細根(吸収根)がほとんどない、心土と言える領域を更に掘り進めます。深さ30㎝くらいでブタクサの直根(支持根)がかなり細ってきました。深くなるほど粘土塊が大きくなる感じがします。


深さ30㎝~35㎝辺りから、大きなごろんとした粘土塊を採取し、phを測定。
<サンプルC:ブタクサ株下 深さ30㎝~35㎝の土>
畑の湧き水ph7.11に土を投入→ph7.11
※弱アルカリ性。深さ15㎝以降は、土質変化があまりない模様。


心土のphが湧き水のphと同じであると分かったのは重要な発見でした。酸性の雨水が地中に沈み込み、心土(粘土層)でアルカリなどのミネラルを溶かし出した後に、弱アルカリ性の地下水として地表に湧出していると見て良さそうです。
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冬至明け 日の出

2018年12月23日 | 日記
冬至明けの日の出。
日が長くなっていきますが、寒さはここからが本番です。小諸では厳冬期(冬至→小寒→大寒→立春)にほとんど雪が降りません。ひたすら寒風に晒されて、大地が凍り付きます。越冬野菜試練の時が間近に迫ります。

<自宅ベランダから佐久市平尾山方面を望む>







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畑の湧き水 ph測定

2018年12月22日 | 日記
これまでのph測定に使用してきた湧き水は、自宅の飲み水として汲み置いている小諸の弁天清水(信州名水50選)でしたが、より正確に畑の状況を知るために畑の湧き水を調べてみることにしました。ススキ原はこの湧き水の周辺に広がっています。土砂崩落防止のために組んであるブロックの下から、ちょろちょろと絶え間なく水が湧き出しています。
<サンプルA:畑の湧き水>
ph7.09
※弁天清水と大差ない弱アルカリ性


この湧き水を使って、一昨日の測定ではいまいちはっきりしなかったススキの茎を再度抽出してみます。
<サンプルB:ススキの茎抽出液>
畑の湧き水ph7.09にススキの茎を投入→ph7.09 ※抽出時間5分
※その後、抽出時間10分でph7.11、30分でph7.12、70分でph7.14

続いて、同じ条件でブタクサの茎も再び抽出。
<サンプルC:ブタクサの茎抽出液>
畑の湧き水ph7.09にブタクサの茎を投入→ph7.13 ※抽出時間5分
※その後、抽出時間10分でph7.24、15分でph7.28、40分でph7.50、60分でph7.60

今日のブタクサからは11月1日と同程度にアルカリが抽出されました。抽出度がいまひとつだった昨日のブタクサでも抽出時間30分でph7.22までは上昇したので、ブタクサがススキよりも高濃度にアルカリを集積していると言って問題無さそうです。

このようなアルカリ集積度の差が何に起因するのか。今のところ、土壌表面からの水分蒸散による塩類濃縮(いわゆる塩害のメカニズム)が仮説として有力であると考えています。
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黒ボク土 ph測定

2018年12月21日 | 日記
昨日行ったススキ原(多湿黒ボク土)のph測定と比較するため、本日はブタクサ林に向かいました。
ススキ原は棚田土手下の水が溜まりやすい場所にできますが、このブタクサ林はそれと対照的に、石垣上の水はけが良い場所にあります。石垣上でブタクサが3メートル以上に伸びています。


ブタクサ株元にはハコベが生い茂り、水はけの良さを窺わせます。ハコベが元気な場所の土壌はほぼ「黒ボク土」です。


同じブタクサ林でも、水はけの悪い場所ではブタクサが2メートル程度にしか育ちません。株元には藪草のヤエムグラが生え、ブタクサにツル性の草が絡まっています。このような場所は「多湿黒ボク土」に近い土壌です。


ブタクサ株元のハコベをむしって、その下の黒ボク土を採取しました。土質はサラサラです。このphを測定します。
<サンプルA:ブタクサ株元の黒ボク土>
水道水ph6.46に土を投入→ph6.37
※ススキ原と大差無い弱酸性


続いて、ブタクサ枯れ茎の抽出液のphを測定します。本日の実験の主目的はこちらです。
<サンプルB:ブタクサ枯れ茎の抽出液>
湧き水ph7.17に茎を投入→ph7.20 ※抽出時間7分
※抽出時間10分でph7.21、抽出時間30分でph7.22


11月1日の実験では、ブタクサ枯れ茎抽出液のphが7.5以上でした。ブタクサが枯れてから既に2ヶ月近く経つので、雨に晒される内に茎内部に集積されていたアルカリ成分が漏れ出したと考えられます。しかし、それでも湧き水より高いphが測定されました。
明日から、ススキ原とブタクサ林、そしてカブ畝のph測定結果をもとに、地下水・土壌・植物の間のアルカリ移動について考えてみたいと思います。
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多湿黒ボク土 ph測定

2018年12月20日 | 日記
写真はススキ原開拓中に掘り出されたススキの切り株です。中央部の3本の茎が鎌でバッサリ切られていますが、その脇に早くも来年の新芽が形成されていました。逞しい生命力を感じます。


さて本日は、この切り株の新芽の下辺りにあった土壌を採取し、phを測定してみます。真っ黒で湿りの強い土塊です。
<サンプルA:ススキ切り株下の多湿黒ボク土>
水道水ph6.33に土を投入→ph6.31
※水道水と同程度の弱酸性


先日、カブ栽培後の土壌phを測定しましたが、カブがあった位置がph6.5~6.6程度だったので、それよりも強い酸性です。今年いろいろなケースでph測定をした結果、当農園のように肥料を施さない栽培法の場合、作付開始時の畝phが6.5以上でないと野菜が満足に育たないことが分かりました。その観点からすると、ph6.3の多湿黒ボク土は、野菜栽培には不適格であると言えます。

ここで一つの疑問が出てきます。ススキ原の土壌はなぜ酸性が強いのか?
ススキ原には大量の地下水が流れ込んでいます。この界隈の湧水はph7.2程度の弱アルカリ性を示すので、地下水たっぷりのススキ原の土壌はもっと高いphを示しても良さそうなものです。この謎を明らかにするため、以前ブタクサ枯れ枝のphを測定した時と同じように、ススキの枯れた茎を調べてみます。

<サンプルB:ススキ枯れ茎の抽出液>
湧き水ph7.20に茎を投入して抽出→ph7.09 ※抽出時間2分
水道水ph6.42に茎を投入して抽出→ph6.55 ※抽出時間15分
※水道水で35分抽出するとph6.63、60分抽出するとph6.69まで上昇


土壌よりも明らかに高いphを示しており、ススキも土壌からアルカリ成分を抜き取っていることが分かります。ただし、湧き水よりは低いphが出たので、ブタクサのように体内でアルカリが濃縮されているわけではないようです。11月1日の実験で、ブタクサ枯れ枝のphは7.5以上でしたが、現時点のphがそれと異なる可能性もあるので、明日にでも改めて確認してみようと思います。

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