MIHOミュージアムは
滋賀県の甲賀市信楽町にあります。
お友達に誘われた時は、信楽焼の展示館だとばかり
思っていました。
ところが
広大な土地に建設されたその美術館は
駐車場からトンネルと吊り橋を越えて
美術館に至るまでの詩情あるアプローチを持ち
訪れる私たちに特別な想いを抱く
準備をさせるのに充分な
環境を作ってくれています。
それはそれは心憎い程の演出であります。
このMIHOミュージアムの建築設計は、
ルーブル美術館のガラスのピラミッドなどを
手掛けたアメリカの有名な建築家 I.M.ペイ氏に
よるものです。
このトンネルは銀色の板を貼り付けています。
一説にはチタンとも言われていますが・・・・
時空を越えるトンネル
しだれ桜の入り口から歩いて出口に来ると
そこは一変して、直線的な吊り橋のロープが
見えます。
青い建物が美術館です。
美術館のエントランスホール
ホールからの眺めが最高でした。
さあいよいよ
「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋」
の展示がある北館に急ぎます。
アッでも展示館内は写真撮影は
残念ながらできませんでしたので
パソコンの画像をお借りしました。
これが龍光院蔵の国宝「曜変天目茶碗」です。
曜変天目は中国の南宋時代(12~13世紀)に
福建省の
建窯の中で偶然うわぐすりが変化し、
美しい文様を呈したものをいいます。
文様は偶然の産物であり、再現するのは困難だと
されています。
独特な斑紋と、見る角度によって変化する
光彩が特徴で「器の中に宇宙が見える」とも
言われる美しい茶碗です。
この茶碗は中国には現存せず
日本に3碗あるのみだそうです。
静嘉堂文庫美術館(東京都世田谷区)と
徳川家康が所蔵していたとされる曜変天目は
藤田美術館(大阪市)がそれぞれ所蔵しているものです。
この3点が同時に、奈良、滋賀、東京で展示されることは
極めてまれなことです。
中でもMIHOミュージアムで展示される
龍光院蔵の曜変天目は、大徳寺が観光目的の
拝観を禁じており、400年間蔵から出ることがなく
今まで寺宝を一般の方が目にすることはないと
されてきましたが
月浦住職の英断により実現され
この機会を逃すともうお目にかかれないかも・・・・
という国宝です。
この200点にも及ぶ龍光院の寺宝は
曜変天目の他に国宝の「密庵墨蹟」
重要文化財の「柿・栗図」 「油滴天目」などがあります。
長谷川等伯や狩野探幽などの作品もあります。
曜変天目は
薄暗い館内の人だかりの中にありました。
監視員の方が時計回りに回って見てください
とのことで、360度の角度から見ることができましたが
最後には踏み台があり、それに上がると、
真上から美しい斑紋を見ることが
出来ます。
この曜変天目は、他の2つの曜変天目と比べると
斑紋は少な目ですが
それがより一層「器の中に宇宙」を感じる
要因になっているような気がします。
ところで
この展示のお題の「破草鞋(はそうあい)」とは何だろうと
辞書を引っ張り出してはみたものの
載っていません。
MIHOミュージアムの館長によると
破れた草鞋(わらじ)のことで、
役に立たない無用のもののたとえなのだそうです。
さらに言うと
「値段など付けられない、誰も買うことのできないほど、
素晴らしいもの」のことを言うそうです。
とにかく
この様な素晴らしい美術館で
二度とはお目にかかれない美術品を
拝見し、感動の時を過ごさせてくれた友人に
感謝をしたいと思います。
今日も来てくださってありがとうございます。