LPSAによる一方的な契約解除通知と、石橋女流四段の マイナビ女子オープン対局放棄についての記者会見(日本将棋連盟)
前のエントリーで色々書いた件、上記のようなものが日本将棋連盟から出た。ゼロ回答というかマイナス回答というか。要するにある種のモンロー宣言で「うちのテリトリーでやるからにはうちのやり方に従ってもらう」ということであろう。将棋界において日本将棋連盟の意思と独立して行動する団体の存在は認めないと。「秩序」だとか「処分」だとかいう言葉が出てくるが、その主体はあくまで「日本将棋連盟」であって、それ以外の団体は認めないと。別に日本将棋連盟に誰か悪い人がいてLPSAとの対立をあおっているとかいうのではなく、棋士全体が恐らくそういう意識なのだろう。
LPSAとしては自治権をもった独立した団体として活動していきたいという(当然の)要求があるわけだから根本のところですれ違いがある。何らかの交渉も行われているようだし、両者に歩み寄ろうという意識がないわけではないのだろうけど、この辺の意識のずれが解消されないとどうしようもないのだろうなあと思う。
ところで、下記リンク先にもあるけれども、前々からちょっと疑問だったのは、LPSAが「公益社団法人認定に伴い」独自の棋士規程を制定した点だ。
当協会所属新女流棋士誕生のお知らせ(LPSA)
問題の発端となったLPSAの記者会見でも公益法人である点と、独自の棋士規程をもつ点のリンクが強く意識されていたように思う。
最近まで深く考えていなかったので公益法人であるかどうかと棋士規程を独自に持つことの意味がよくわかっていなかったのだが、推測するに以下のようなことだろう。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
公益法人認定法では、公益法人の認定の基準として社団法人の場合「社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること」を定めている(公益法人認定法第5条14号イ)
公益法人は公益のための活動をしていると認定される代わりに税制面など様々な優遇を受ける。当然、恣意的な運営が行われてはいけないので、誰かを排除するようなことをしてはならず、条件を満たせばだれでも会員になれるようにしなければならないということだ。
要するにLPSAが公益法人になるためには正会員になるための条件に、「不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件」を付けてはいけないのであって、そういうことがないということを明示しなければならない。そのためには棋士規程を明文化して、その条件を満たす人ならだれでも正会員になれるようにしなければいけないということなのだろうと思う。何が言いたいかというと、独自の棋士認定はLPSAの団体としての自治権という意味で当然のことながら重要だが、公益認定のためにも不可欠な条件だということである(もちろん「内閣府認定の公益法人の棋士規程だから絶対に正しい」というわけではない。また「将棋界共通の女流プロ棋士制度」でも当然構わない)。
このことは日本将棋連盟にも当てはまる。
第6期マイナビ女子オープン準決勝の対局断念について(LPSA)
上記で連盟による「協会所属女流棋士の子息に関連した、協会脱会要求」についての言及がなされているが、このことが巷間言われているような事実経緯をたどったものだとすれば、日本将棋連盟はその公益法人としての性格をかなりゆがめる瀬戸際にあったと言い得るのではないだろうか。
【2月27日追記】
2月22日の日本将棋連盟会見と声明について弊協会の見解(LPSA)
LPSAから上記見解が出た。これを読む限りでは双方で歩み寄りの努力が見られ、また何らかの合意に達する可能性があったことは確かなようだ。少し希望をもって今後の展開を見守りたい。しかし、可能性があったにもかかわらず現在のような状況になっているのはなぜなのか。それがさらに問題を混乱させるような理由ではなければよいのだが。
【2月28日再追記】
女流棋界(1)(松本博文ブログ)
中原誠16世名人が『週刊新潮』の連載でこの問題に触れている。中継記者の青葉記者こと松本博文さんがブログに起こされている。
前のエントリーで色々書いた件、上記のようなものが日本将棋連盟から出た。ゼロ回答というかマイナス回答というか。要するにある種のモンロー宣言で「うちのテリトリーでやるからにはうちのやり方に従ってもらう」ということであろう。将棋界において日本将棋連盟の意思と独立して行動する団体の存在は認めないと。「秩序」だとか「処分」だとかいう言葉が出てくるが、その主体はあくまで「日本将棋連盟」であって、それ以外の団体は認めないと。別に日本将棋連盟に誰か悪い人がいてLPSAとの対立をあおっているとかいうのではなく、棋士全体が恐らくそういう意識なのだろう。
LPSAとしては自治権をもった独立した団体として活動していきたいという(当然の)要求があるわけだから根本のところですれ違いがある。何らかの交渉も行われているようだし、両者に歩み寄ろうという意識がないわけではないのだろうけど、この辺の意識のずれが解消されないとどうしようもないのだろうなあと思う。
ところで、下記リンク先にもあるけれども、前々からちょっと疑問だったのは、LPSAが「公益社団法人認定に伴い」独自の棋士規程を制定した点だ。
当協会所属新女流棋士誕生のお知らせ(LPSA)
問題の発端となったLPSAの記者会見でも公益法人である点と、独自の棋士規程をもつ点のリンクが強く意識されていたように思う。
最近まで深く考えていなかったので公益法人であるかどうかと棋士規程を独自に持つことの意味がよくわかっていなかったのだが、推測するに以下のようなことだろう。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
公益法人認定法では、公益法人の認定の基準として社団法人の場合「社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること」を定めている(公益法人認定法第5条14号イ)
公益法人は公益のための活動をしていると認定される代わりに税制面など様々な優遇を受ける。当然、恣意的な運営が行われてはいけないので、誰かを排除するようなことをしてはならず、条件を満たせばだれでも会員になれるようにしなければならないということだ。
要するにLPSAが公益法人になるためには正会員になるための条件に、「不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件」を付けてはいけないのであって、そういうことがないということを明示しなければならない。そのためには棋士規程を明文化して、その条件を満たす人ならだれでも正会員になれるようにしなければいけないということなのだろうと思う。何が言いたいかというと、独自の棋士認定はLPSAの団体としての自治権という意味で当然のことながら重要だが、公益認定のためにも不可欠な条件だということである(もちろん「内閣府認定の公益法人の棋士規程だから絶対に正しい」というわけではない。また「将棋界共通の女流プロ棋士制度」でも当然構わない)。
このことは日本将棋連盟にも当てはまる。
第6期マイナビ女子オープン準決勝の対局断念について(LPSA)
上記で連盟による「協会所属女流棋士の子息に関連した、協会脱会要求」についての言及がなされているが、このことが巷間言われているような事実経緯をたどったものだとすれば、日本将棋連盟はその公益法人としての性格をかなりゆがめる瀬戸際にあったと言い得るのではないだろうか。
【2月27日追記】
2月22日の日本将棋連盟会見と声明について弊協会の見解(LPSA)
LPSAから上記見解が出た。これを読む限りでは双方で歩み寄りの努力が見られ、また何らかの合意に達する可能性があったことは確かなようだ。少し希望をもって今後の展開を見守りたい。しかし、可能性があったにもかかわらず現在のような状況になっているのはなぜなのか。それがさらに問題を混乱させるような理由ではなければよいのだが。
【2月28日再追記】
女流棋界(1)(松本博文ブログ)
中原誠16世名人が『週刊新潮』の連載でこの問題に触れている。中継記者の青葉記者こと松本博文さんがブログに起こされている。
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