みなさん こんにちは
英語で書かれた初めての在日の物語。それもアメリカのテレビドラマになって大好評。そして大阪生野・猪飼野が舞台です。上下巻700ページを超える物語でも読まざるを得ません。
日本が朝鮮半島を植民地支配した1910年から日本の敗戦、朝鮮の解放を経た1989年までの約80年間にわたる在日家族4世代の物語です。日本軍慰安婦、朝鮮人の原爆被爆、差別による自死、強制労働、戦中の日本の警察による拷問死、朝鮮人コミュニティの軋轢、3.1運動、暴力的な差別、無意識な差別、北への帰還、指紋押捺など、日本が日本人が朝鮮人に加えた不条理を、日本一人を悪者にすることなくドラマチックに、しかしながら淡々と描いて行きます。
それぞれのエピソードの中に、差別を超えた朝鮮人の葛藤、はたまた日本人への同情のようなもさえ見え隠れします。50年以上、大阪生野猪飼野のほんそばで暮らしてきたいわゆる日本人の私は、在日の方々と接して生活しています。地の利もあって日本人の平均よりも在日の方々の文化や歴史にじかに触れる機会を多く持っています。実際、上に並べた歴史は、何度も目にし聞き、ある程度の知識は持っています。ただその知識の多くは歴史的な事実として、個々に私の頭の中に存在しているだけです。例えば在日の方々から直接お話を聴く機会があっても、そこで語られるのはその方自身の経験、思いにとどまります。しかしこの小説は、そんな私に歴史の出来事を一人でなく連綿とした家族の中での出来事として表してくれています。
よく言われる例えで言うと、これまで私が見聞きしてきたのは一人だけがいるコップの中の嵐、この小説では、4世代にわたる家族が詰め込まれたコップの中の嵐を見聞きできました。そしてそこには「在日」の凝縮された歴史もが詰め込まれていました。
物語は1989年で終わっています。当時、日韓の経済的な格差はまだ開いていたでしょう。それが今日、経済指標によっては韓国が日本を上回っています。このパチンコに描かれた時代とは日本と朝鮮半島の関係は微妙に変わっています。それはもちろん在日の位置へも影響を与えています。大阪コリアンタウンには年間200万人にも及ぶ、多くが日本人、観光客が訪れるようになりました。
がしかし、大阪生野が舞台で、小説は米国ででミリオンセラーになり全米図書賞の最終候補、テレビドラマは米国の第28回放送映画批評家協会賞テレビ部門の最優秀外国語シリーズ賞を受賞。小説ドラマともにとても話題になっている作品なのに、地元生野を含めた日本社会ではほとんど取りざたされていません。これがもし「在日」でなく日本人が主人公の物語だったら、どれほどちやほやされていたことでしょう。そのことこそが日本の中での今の「在日」を物語っています。母国韓国では評判になっているようです。
そのテレビドラマ、私は観ていませんが原作とはまた少し趣を変えていると。米動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」で視聴できるようです。
残り十数ページになった時、「やっと読み終えられる」安堵感と、「もっと読み続けていたい」寂しさがないまぜになりました。こんな読後感は久しぶりです。月並みですが、日本人にこそ読んで欲しいエンターテイメント作品です。できれば私の感想に、在日の方々のご意見をお聞きしたい。
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