TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

岬のマヨイガ

2023年06月04日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観たアニメ『岬のマヨイガ』の感想です。

東日本大震災を背景にした心温まる物語でした。ある事情で家をでてきた17歳のユイと両親を事故で亡くしたショックで言葉を失ってししまった8歳のひよりが避難所で不思議な能力を持っていたおばあちゃんキワと会い、海を見下ろす岬に建つ古民家「マヨイガ」で一緒に暮らしながら大切な家族になって行く様が描かれていた温かくて優しさを感じたほのぼのしたいい映画でした。

キワたちが暮らしていたマヨイガの古民家は人をもてなす不思議な力を持っていたり、キワの知り合いの河童たちや優しい妖怪のふしぎっこたちの協力を得て、アガメという赤い蛇を退治しようとユイとひよりとキワが共に大切な居場所であった狐崎やその地に建つマヨイガを守ろうと戦う様やユイやひよりが成長して行く様がとても頼もしく描かれていて好感が持てました。

どんな辛いことがあっても再起して生きて行こうとする人々の力強さとその地で再び力強く暮らして行くことの大切な意味が伝わってきました。このマヨイガの側で咲いていた小さな花々のようなさりげないけれどしっかり根を張って生きて行くことの意味が素朴でのどかな美しい風景とともにいつまでも心に響いてくるのでした。オススメの映画です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

百花

2023年05月27日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『百花』の感想です。レコード会社に勤める葛西泉(菅田将暉さん)とその母百合子(原田美枝子さん)の家族のお話でした。原作は川村元気さんでこの映画の監督をされていました。原作は読んでいませんでした。泉が子供の頃、百合子は泉をたった一人残して1年間戻って来ず、神戸で浅葉(永瀬正敏さん)という男性と暮らしていたという過去がありました。母親に置いてけぼりにされた泉はこのことをずっと胸に秘めながらも大人になって行くのですが、ある日、百合子が認知症になっていたのを知り、百合子と向き合うようになります。泉の妻の香織(長澤まさみさん)との間に子どもができたことと絡ませながら、泉の心の変化と母親の過去の陰の部分を解き明かすような日記や記憶が遠のいて行く母親百合子とは対照的に置いてけぼりにされた少年だった頃の幼い頃の母親とのかすかな思い出や母親の愛情を思い出して行く過程が切ないようなシーンを盛り込みながら描かれていた映画でした。この映画の中で、百合子が半分の花火が見たいと言い張るシーンがありました。どんどん遠のいて行く記憶、息子の顔や名前もどんどん忘れて行く中で、唯一忘れていなかった半分の花火の思い出が繋ぐ母親と息子のたったひとつの忘れない繋がりが切なくもあり寂しくもあり温かさも感じたシーンでした。

誰でもなりたくてならない認知症の症状やその家族の寄り添い方や認知症になっても全部は忘れてしまうわけではないという事実とその向き合い方についての考え方を投げ掛けていたようにも思った作品でした。認知症についての諸々を深く掘り下げてまで描いていた映画ではなかったけれど、大切な人が自分の名前や顔や自分との記憶を忘れてしまうほど悲しくて切なくて寂しいということをしみじみ感じた映画だった気がします。

いろいろなシーンが交錯していくような撮り方の映画だったので回想シーンと現在の繋がり方が咄嗟に理解できなかったシーンもありましたが、最後まで見終えると半分の花火が描いていたシーンの意味合いやとぎれとぎれの回想シーンが挿入されていたシーンの意味がよく伝わってきた映画でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツユクサ

2023年05月24日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『ツユクサ』の感想です。

一億分の1の確率でしか遭遇しないような隕石が運転していた車に落ちてきた五十嵐芙美(小林聡美さん)の日常を描いた作品です。芙美の仕事仲間直美(平岩紙さん)の息子で歳の離れ芙美の親友の航平(斎藤汰鷹さん)は宇宙が大好きな小学生でした。芙美を誘ってその隕石を探しに行き、大学の先生に見てもらうとそれが月の隕石だったことが分かりました。その隕石をペンダントにして何かいことが起きないかなあと思いながら芙美が毎日を送って行く様子が小さな港町を背景にゆったりと時間が流れて行く中、ほっこりと描かれていた作品になっていました。芙美の仕事仲間の妙子(江口のり子さん)の恋や直美と再婚した夫の貞夫(渋川清彦さん)と航平との親子関係や芙美が知り合った警備員の篠田(松重豊さん)と芙美の恋などを絡ませながらスーリーは展開して行きました。いろいろなものを背負いながら生きてきた人々が暮らしの中で小さなキセキや出来事に遭遇しながらも寄り添いながら生きている姿に静かな温かさを感じる映画でした。

芙美と航平の年の離れた親友の間柄の描き方がほのぼのしていてよかったです。ツユクサの葉っぱで草笛を吹く篠田と芙美の出会いがこの映画では描かれていましたが、昔子供の頃母がツユクサの葉っぱで草笛を吹いてくれていたことがあったなあと思い出し、母が好きだった花だったツユクサというタイトルだっただけで借りてみたこの映画はツユクサが齎したことで繋がって行く人と人とのほっこりした繋がり方がなんとなくゆったりと描かれいて好感が持てました。

篠田の本来の仕事は歯医者さんでしたが、役を演じておられた松重さんは歯医者さんのイメージがぴったりだったなあと思った映画でもありました。

この映画の中で歌われていた中山千夏さんの「あなたの心に」という歌を久しぶりに聴いて懐かしかったですので動画を貼り付けてみました。

あなたの心に

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

線は、僕を描く

2023年05月22日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『線は、僕を描く』の感想です。

絵画展の設営のアルバイトで偶然出会った水墨画の世界に最初は戸惑いながらも徐々に魅了され成長していく大学生青山霜介(横浜流星さん)の姿を描いた作品でした。原作は2020年に本屋大賞候補にノミネートされています。水墨画の巨匠・篠田湖山(三浦友和さん)やその一番弟子の西濱湖峰(江口洋介さん)や湖山の孫の千瑛(清原果耶さん)らと共に霜介が水墨画の奥深い魅力に惹かれながら自らと向き合う姿が頼もしい作品でした。霜介がずっと心の中に抱き続けてきた心の闇と向き合おうとさらに一歩進んで行く霜介を応援したくなったようなストーリーでした。大きくて真っ白な紙に水墨画を器用にしたためて行かれていた俳優さんたちの見事な演技も見ごたえがありました。水墨画の墨の濃い色や薄い色を出すための専門的な水墨画の技などがこの映画の中で紹介されていて勉強になった映画でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チケット・トゥ・パラダイス

2023年05月20日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『チケット・トゥ・パラダイス』の感想です。

ロースクールを卒業し、卒業旅行でバリ島を訪れた娘リリー(ケイトリン・デヴァー)がバリ島で出会った青年グデ(マキシム・プテイエ)と恋に落ち電撃婚したいという報告を受けた両親デヴィット(ジョージ・クルーニー)とジョージア(ジュリア・ロバーツ)が弁護士になる夢を捨てて結婚したいということはあってはならないと娘たちの結婚を阻止しようと娘たちがいるバリ島に出向きいろいろ作戦を立てていく様が描かれていたコメディ映画でした。デヴィットとジョージアは20年前に離婚して不仲だったのでしたが、一時休戦しながらもいろいろな手段を使って娘の結婚を阻止しようと奮闘して行きます。バリ島を背景に繰り広げられていたように見えたのですが、実際はオーストラリアの島で撮影されたと特典映像で明かされていたので、映画の中で映っていた景色はバリ島じゃなかったんだなあと後で思いました。映画を観ていた間はバリ島とばかり思って観てましたから、本当にバリ島に見えてました。(本当のバリ島を見たことないので本当も本当じゃないのも区別つかないのですが。)

娘の結婚を元夫婦の二人が共通の阻止するという目的に向かって奮闘しているうちに、阻止する意味と元夫婦の間の不仲な関係が変化して行くストーリーでした。最後はハッピーエンドでした。バリ島で実際行われている結婚式のしきたりなどが詳細に描かれていたのでバリ島での結婚式の文化の様子をこの映画で知ることができました。

この映画の中でジョージアが昔からずっと言っていた言葉「楽しみを先延ばしにしない」を行動に移すデヴィットとジョ-ジアが最後に描かれていたのが印象的でした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

凪の島

2023年05月19日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観賞した映画『凪の島』の感想です。

あらすじ(公式HPより転載)

両親が離婚し、母の故郷である山口県の瀬戸内にある小さな島で暮らすことになった小学4年生の凪(新津ちせさん)。母・真央と、祖母・佳子と一緒に、佳子が医師をしている島唯一の診療所で暮らしている。普段は明るく振る舞う凪だが、母へ暴力を振るうアルコール依存症の父・島尾の姿が目に焼き付き、心に傷を負い、時々過呼吸になって倒れてしまう。そんな凪を、事情をすべて知った上で何も言わず温かく受け入れてくれる島の住民たち。凪が通う小学校の同級生の雷太や健吾、担任教師の瑞樹、用務員の山村、漁師の浩平。彼らもまたそれぞれ悩みを抱えながらも前向きに生きていた。その悩みを知った凪もまた、彼らを支えようと奔走し、一歩ずつ笑顔を取り戻していく。だが、島での平穏な日々はそんなに長くは続かなかった。島に突然父がやって来て、再び家族に戻りたいと言い出した。その願いを聞いた凪は…

瀬戸内海の小さな島で暮らすことになった主人公の凪は、両親のいざこざが原因かと見られる今も時々発症する過呼吸の症状を発症しながらも島の生活に順応しながら小学校の同級生の雷太と健吾の子供たちとともに毎日楽しく学校生活を送っていました。誰でも子供のときには家族や周りの大人事情をよく把握しながら行動したり発言したりしていたことがきっとあっただろうと感じるような子どもたちの描かれ方が普遍的でもありました。子供は大人以上に大人だったりするということを子供たちの目線を通してその家族や大人たちを暗に浮き彫りにするような描かれ方がされていました。背景となる風光明媚な瀬戸内海の小さな島での生活の中で凪や子供たちが島で暮らす人々に見守られながら次第に成長していく様や終始温かいぬくもりや人と人との優しい繋がり方が自然に描かれていたこの映画を観終えるといい映画だったなあとしみじみ思いました。オススメの映画です。

この映画は小学生の凪が主人公なのですが、凪を演じていた新津ちせさんの演技が見事でピカイチ光っていました。知的で素敵な素晴らしい女優さんの風格が漂ってました。今後のご活躍が楽しみな女優さんです。また、同級生役の雷太、健吾のお二人の演技も凪と同じくとても上手に演技されていて素晴らしかったです。この映画では子役の皆さんの好演なしでは語れないような作品になってました。また、小学校の先生の瑞樹が先生らしくないけれど子供たちのことを優しく見守る先生で好感が持てましたし、子どもたちに先生に対する気持ちを見空かれてしまう漁師の浩平は子どもたちに寄りそう優しい青年だったのも好感が持てました。昔娘を亡くしたことで心に傷を背負っていた用務員の山村、その娘の写真をずっと医院の机の上に飾ってきた凪の祖母、看護師として一生懸命働く凪の母、アルコール中毒だったけれど立ち直ろうと頑張る父、雷太を優しく見守る祖父など周りの大人たちそれぞれ抱えているものは様々で多いのですが、それでもみんな一生懸命生きて行こうとしているということを子供たちやこの映画を観賞した人々に教えてくれていたかのような作品だった気がします。

印象に残ったシーンは凪たちが笑わないことで子供たちに「わらじい」とあだ名を付けられていた用務員山村をなんとか笑わそうとそれぞれがトライしていたシーンはコミカルでした。山村をついに笑顔にさせたシーンでは山村の心の奥にずっと住み続けていた心のわだかまりが一気に噴き出されたようなシーンもあり、とてもよかったです。

夏休みに雷太の母親が入院していた病院に行って母親に会いに行こうと凪を誘って柳井まで二人で小さな冒険をしていたシーンも印象に残りました。小さな島から他所に行く場合は船でないといけないので、雷太が漁師の浩平に貸を作っておき上手に船を出してもらうところは大人の世界のような上手な交渉でした。母親の病院の場所を調べるために使った知恵も素晴らしいなあと思いました。勉強しなさいと雷太の祖父に言われ続けていた雷太はなぜ勉強しないといけないのかよく理解できませんでしたけれど、こういう知恵は勉強とはまた別物だということがよくわかるシーンでした。雷太が柳井まで辿り着いたときに、電車に乗るためのためにこずかいを溜めて集めた硬貨が入った袋を忘れてきてしまったり、コミカルな面もあったのですが、病院でお母さんに会ってそのお母さんが抱えていたものを知った雷太が、祖父が雷太に勉強しろと言っていた意味を理解した雷太でした。勉強しないといけないという意味は知恵があることとはまた違った意味合いがあることを雷太は感じたのでしょうと思いました。雷太にとってはお母さんの姿を見ることができて嬉しかったけれど悲しくも感じたように描かれていて健気だったけれど逞しく見えました。雷太をきっと成長させたかのように感じた小さな冒険シーンはとてもよかったです。

凪が海に飛び込むシーンが多かったのも印象に残りました。凪の過呼吸の症状を助けようとした浩平、凪の父、母が海に飛び込むシーンもありました。海に飛び込むことで心が鎮まるようにも見えた海に飛び込むシーンは海がいつも側にある小さな島ならではのシーンでした。

DVDの特典映像で入っていた「小さな島のキセキの物語」や「公開直前イベント」や「公開初日舞台挨拶」の映像を見るとこの作品の裏話がよくわかりましたし、主役の新津ちせさんが毎回いいコメントを話しておられたのがよく伝わりました。

舞台となった山口県の笠戸島に一度も行ってみたいと思った映画でした。実際、山口県に今年の春に旅したときに笠戸島の桜がきれいだと知ったので行ってみたいなあと思っていました。いつか機会があれば行ってみたい場所ですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

耳をすませば

2023年05月18日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観賞した映画『耳をすませば』の感想です。

あらすじ(HPより転載)

読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫。
彼女は図書貸出カードでよく見かける、ある名前が頭から離れなかった。
天沢聖司―――全部私よりも先に読んでる―――
どんなひとなんだろう。
あるきっかけで“最悪の出会い”を果たした二人だが、
聖司に大きな夢があることを知り、次第に惹かれていく雫。
聖司に背中を押され、雫も自分の夢を胸に抱くようになったが、
ある日聖司から夢を叶えるためイタリアに渡ると打ち明けられ、
離れ離れになってもそれぞれの夢を追いかけ、また必ず会おうと誓い合う。
それから10年の時が流れた、1998年。
雫は、児童書の編集者として出版社で働きながら夢を追い続けていたが、
思うようにいかずもがいていた。
もう駄目なのかも知れない―――そんな気持ちが大きくなる度に、
遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、自分を奮い立たせていた。
一方の聖司も順風満帆ではなかった。
戸惑い、もどかしい日々を送っていたが、聖司にとっての支えも同じく雫であった。
ある日、雫は仕事で大きなミスをしてしまい、仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られる。
答えを見つけに向かった先は―――。

『耳をすませば』と言えばジブリ映画のアニメ作品が有名ですが、だいぶん昔に観たという記憶はあるもののどんなストーリーだったかはほぼ忘れてしまってました。この映画は、その『耳をすませば』の実写化作品で、原作にはないその後の10年後が描かれていた映画でした。昨年の秋に、宿泊した神戸フルーツフラワーパークのホテルのフロントにホテルの敷地内でロケされたことが宣伝されていていつか観賞してみたいなあと思っていた映画でした。このホテルで宣伝されていたシーンは噴水の付近で撮影されたシーンが最後のほうで出てきていたのを見つけました。昔アニメで観たときの記憶を辿りながら観賞しました。アニメとこの映画は少し設定が違っていたようにも思いました。実写化の『耳をすませば』は、月島雫(中学生時代は安原瑠那さん、10年後は清野菜名さん)と天沢聖司(中学生時代は中川翼さん、10年後は松坂桃李さん)の出会いとその10年後を中心に遠距離恋愛を描いた作品でした。

読書が大好きな月島雫と天沢聖司の出会いは中学生の頃でした。雫がいつも借りて読もうとした本の図書カードに自分より先にいつも天沢聖司という名前が書かれていて気になっていたことがきっかけでした。本に付いていた図書カードに名前を書くしくみになっていた頃のお話なので、現在ではもうほとんどの図書館では図書カードにその本を読んだ人の記録は遺さないようになっている図書館が多いので、一時代前の懐かしい図書館での出会い方はノスタルジックですね。今だったらこういう出会い方はもうできない状況なのでしょうと思いました。この映画の中での二人が連絡を取り合うときに公衆電話でテレホンカードを入れて会話していましたし、手紙でやり取りしていたシーンを観ていたらひと昔前の時代の様子を思い出し懐かしかったです。

お互い繋がって惹かれ合っていた雫と聖司の関係が10年以上も会ってないと不安になるときがあるはずなのでしょうが、二人にしかわからない年月の距離感とお互いの信頼感は当時者にしかわからない年月を通り超えたところで確固とした繋がりがずっと保たれていたということが上手に描かれていたように思いました。このような長い年月を超えても、ずっと出会った頃のままの繋がり方ができている人々は世界中にきっとたくさんおられるのでしょうと思いました。また、その繋がりは当事者の二人にしかわからないものだったりするので、他の人がとやかく言うようなことではないのでしょうとも思いました。中学生のときに交わした二人の指切をした約束は雫と聖司にとったら忘れることのない掛け替えのない繋がりだったことがよく伝わった映画だった気がします。

この映画を観ていて、印象的に思ったのは、聖司の祖父が営む地球屋で、大人になっていた雫が「耳をすませば心の声が聞こえてくるんです。」と聖司の祖父に投げ掛けられたこの言葉でした。その言葉を聞いた雫が自分の奥底にあった心の声を振り返り、押し潰されそうになっていた自分の夢や気持ちに気付き、物語を書き続けようと決意したようなシーンでした。また、この映画で歌われていた『翼をください』を雫が聖司の演奏に合わせて心の声を思い切り出しながら歌っていたように感じたシーンもとても印象的でした。10代のときの二人と10年経った二人がリンクしながら歌っていたシーンでした。ジブリアニメでは「カントリーロード」がこのアニメのすべてを語っているような主題的な歌でしたが、この実写版では「翼をください」が主題を表す歌として何度も流れていました。これらの歌からもわかるようにジブリアニメとこの実写版で描かれていた主題はそれぞれが違っていたかのような印象を受けました。この実写版の映画はジブリアニメと原作は同じでもアニメとは違った側面を描いていたような映画だった気がしました。また、この映画を観終えた後、ずっと前にNHKで放映されていたみんなの歌の「ゆびきり」という歌の歌詞やシチュエーションとぴったり合っていたことにも気が付きました。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川っぺりムコリッタ

2023年02月10日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『川っぺりムコリッタ』の感想です。主人公は山田たけし(松山ケンイチさん)。孤独だった山田は新たなスタートを北陸の地ではじめることになり、塩辛工場で働き始めます。その工場の社長から勧められたボロアパート「ハイツムコリッタ」で暮らすことになりました。この「ハイツムコリッタ」で誰にも関わらずひっそりと暮らして行きたいと思っていました。真っ白なご飯を炊き、工場でもらってきた塩辛とお味噌汁と一緒に食べること、風呂上りに冷えた牛乳を飲むことが山田の毎日のささやかな楽しみになって行きました。ある日、隣に住んでいた島田幸三(ムロツヨシさん)がやってきて、自分の部屋の風呂が壊れて入れないので入らせて欲しいとやってきます。来られる度に断ったものの島田は根気よく何回もやってきて、とうとう風呂に入られてしまうことになります。島田も一人でこのアパートで暮らしていました。アパートの前で家庭菜園をして、トマトなどの手作りの野菜を作って時々山田にももってきてくれるうちに、お風呂だけでなく、気が付けば、一緒にご飯をともに食べるようになって行きました。また、大家の南詩織(満島ひかりさん)や子供と一緒に墓石を訪問販売で売り歩く溝口健一(吉岡秀隆さん)らの住人たちとも次第に関わって行く山田の日常が描かれて行きました。そんな中、山田は役所から幼い頃自分を捨てた父親が孤独死していたという知らせを受けます。幼い頃以来父親には会うことがなかったですし、母親にも捨てられたという生い立ちだった山田でした。父親の遺骨を引き取りに行き、その遺骨を部屋の片隅に置いておく暮らしをしていた山田でしたが、夜中にその遺骨が光り、眠れない日が続き、捨てに行こうとしたりと亡くなった父の遺骨のことや父親の死についていろいろ悩んでいたときに、隣人の島田は不器用ながら優しく温かく山田を励まし、山田と島田は少しずつ友情のような関係になって行くといったストーリーでした。ある日、溝口が墓石が売れて、部屋で息子とすき焼きを食べていたときにその匂いに誘われて、島田、山田、大家の南がそれぞれ自分の器とお箸を持ってきて、そのすき焼きの食卓を囲んでいたシーンがありました。このハイツムコリッタで暮らしていた住人たちはみんな貧乏でどこか寂しさを漂よわせながらも、皆それぞれにささやかな幸せを感じながら毎日を送っていた逞しく懸命に生きていた人々と接して行くうちに山田の孤独感が少しずつ小さくなって行くのがしみじみと描かれていたように思いました。その人にとっての幸せは人それぞれなのでしょうが、幸せとはどういうことなのかを暗に描いていたような映画だったなあと思いました。山田が小さな炊飯器で毎日ご飯を炊けた後、蓋を開けて美味しそうに匂いを嗅いでこの上ない幸せを感じていたように思ったシーンが一番印象に残りました。

友達でも家族でもない、でも孤独ではない、新しい「つながり」の物語というフレーズが紹介文で掲載されていましたが、食べることは生きることだったし、人は社会で生きている限り、誰かと繋がって生きているということなのだろうなあと思いました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20歳のソウル

2023年02月08日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『20歳のソウル』の感想です。千葉県船橋市立船橋高校の吹奏楽部でトロンボーンを担当していた音楽が大好きな男子生徒浅野大義さんの実話を基にした映画です。この映画の前半では、特に親しかった斗真(佐野晶哉さん)、秋田豪(前田航基さん)、田崎洋一(若林時英さん)、他の吹奏楽部の仲間たちとともに、吹奏楽部の顧問の高橋健一先生(佐藤浩市さん)の厳しいけれど温かく部員たちを見守る先生に導かれながら毎日青春を謳歌していた姿が描かれていました。吹奏楽部の練習でよさこい踊りとコラボした練習で大義(神尾楓珠さん)が重そうなフラッグを大きく降っていたシーンは印象的でした。また、高橋先生の方針で高校生という二度とやってこない時期を精一杯頑張ることが大切なんだと3年生のすべての部員が全国大会に出場するという目標を掲げて叱咤激励されながら大義や三年生の部員たちがもがき苦しみ練習に励んでいた姿はまさしく青春だなあと思いましたし、若いっていいなあと思った眩しいシーンがたくさん出てきてました。そんな中、大義は野球部のために後に受け継がれて行く伝説の「市船soul」というオリジナルの応援歌を作りました。「市船soul」は勝利を導く応援歌として後々受け継がれて行きました。吹奏楽の全国大会には出場できなかった吹奏楽部でしたが、高橋先生の今という高校時代にしかできないことを全力で楽しんだ大義は高校を卒業し、いつも大義たちに今を精一杯生きることの大切さを教わった尊敬する高橋先生のような「いい音楽」を作ることができる音楽の先生になろうと大学に進学します。大学で学んでいた矢先、大義の身体には病魔が襲ってきました。映画の後半では、高橋先生から常に投げ掛けられていた数々の温かい言葉を思い出しながらも辛い治療に耐えて何度も入退院を繰り返していた大義の姿が描かれていました。生きようと頑張り続けていたけれど、病魔は何度も彼に試練を与えました。大義の悲しさや辛さ、映画の中で描かれていた以上のものだったと思いました。そして、大義は20歳の若さで亡くなってしまいます。大義の人生はたった20年になってしまったけれど、その20年を懸命に生き切り、いい音楽をたくさん作るのに時間はなかったけれど、人々の心に響くいい音楽を遺した大義の短い人生がどれだけ尊いものだったか、仲間たちとの絆が素晴らしかったのがよく伝わり涙なくしては観賞できなかった映画でした。大義の葬儀で164人の仲間や先生、家族、恋人たちに見守られながら大義を真心が籠った演奏で送り出されていた最後のシーンは大義が生き切った証と仲間とともに分かち合ってきたいろいろな絆が凝縮されていたシーンでした。

映画『20歳のソウル』劇場用本予告30秒Ver

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴースト・ブック おばけずかん

2023年02月07日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『ゴースト・ブック おばけずかん』の感想です。小学生の男児3人がある願いを叶えたいと彼らの産休代替担任になった先生と現実世界ではない異次元の摩訶不思議な世界でその異次元の世界で再会した同じクラスメートの女児とともに知恵や勇気を振り絞ってゴーストブックの中に出てくるおばけたちと戦いながらも切なる願いのために頑張る姿が格好よかった映画でした。この映画の中に出てくるおばけたちと最初は戦うのですが、それぞれのおばけたちは彼らの願いをひとつだけは必ず聞いてくれるというルールを運にしながらも彼らの願いを叶えることができたり、おばけたちと仲良くなって行ったり、先生も心に埋もれていた願いが何だったかを最後には自覚して行く姿が描かれていました。あきらめないでやり遂げた子供たちの勇気ある行動力がどこから出ていたのか、その切なる願いが自分たちのためではなかったことなど、ほのぼの感が漂っていた大人でも楽しめた映画でした。白い布を被ったおばけがかわいかったですし、異次元の世界の先生の斜めになったり部屋が回転していたりと変わったへんてこりんな家でみんながいつもカレーを食べていたシーンが楽しそうでした。ちょっと変わった映画でしたが、次はどうなるのとワクワクしながら観ることができた楽しい映画でした。最後に流れていた星野源さんが「おばけが出るぞ・・・・。」と歌われていた「異世界混合大舞踏会」の主題歌もインパクトがあって映画を観終えた後も気が付けばしばらく口ずさんでいました。

主題歌:星野 源「異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする