傑作はまだ 瀬尾まいこ 著 ソニー・ミュージックエンターテインメント
瀬尾まいこさんの小説を久しぶりに読みました。小説家加賀野が主人公。その彼の自宅に、会ったことがない25歳の息子智が突然訪ねてきて、加賀野の生活や考え方が変わっていく世界が描かれています。加賀野は自宅でずっと引きこもりながら外との係わりもほとんど経ち切ってずっと小説を書き続けてきた50歳の男性でした。人との繋がりもなるべく持たないようにしてきた加賀野は、世間知らずのところも多々あり、ちょっと偏屈ぽい人柄なのかなあと初めは思いながら読んでいました。そんな加賀野をおっさんと呼ぶ、健やかに育っている青年であった、智との同居生活を送る中で、加賀野の奥深くに潜んでいた温かい人柄が、どんどん開花していく様子や人間関係がどんどん広がっていく様がほのぼのしていました。最後まで読み終えると、瀬尾さんの小説でよく感じることが多い、ほんわかさがじんわりと滲み出ていた小説でした。図書館で偶然見かけて借りて少しずつ読みながら読み終えた本でした。