ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

腱鞘炎(外上果炎)

2008年08月05日 | 美容、健康

             いだ~い
            あづ~い
       もうこの腕要らな~い

と眠れない日々を2ヶ月近く丸まる過ごしてました。
復活は9月か10月になりそうです。

今回、右手は外上も内上も肩までやられました。こんなにひどい外上(内上も)果炎は実に10年ぶりです。10年前は絨毯の敷き詰められた京都会議所でクセナキスのミスツを7分、PAをリハなしの本番で弾いて2日後、やはり服も着れない、歯も磨けない、お尻も拭けない、箸で里芋を突き刺すと絶叫する、痛くて眠れない、という日々を丸1ヶ月過ごしたのでした。

本来は労災モノでしたが、「これまでの練習の疲れが出たのじゃないんですか?」とコーディネーターに徹底抗戦の姿勢を見せられ、寝不足で泣く力もなく、1ヶ月は1日おきに整体、シャンプーは美容院、お風呂は存命だった母親に体を洗ってもらい、3ヶ月はピアノが弾けませんでした。

コンディションの悪い環境(絨毯が敷いてある、響きの少ない場所、湿気が多い場所、調律と調整のされていないピアノ)でピアノを弾けば、外上果炎には5分でもなる、ということを知らない様子の事務所(又は知らないということにしていた可能性もある)と仕事をする危険さを痛感しました。結局、ギャラの10倍近くの損失となったのですが、裁判にすればさらに時間を取られて損失がかさむので、泣き寝入りしました。その後は弾く場所、環境、調律を必ず聞くようになりました。高い勉強代となりました。ずいぶん仕事もいただいて、精一杯私も応えたつもりの事務所でしたが、お見舞いの言葉一つありませんでした。もう(腕は)使えないだろうから用はないと思ったんでしょうね。

「ここはデッドだからPAを入れてください」と頼んだら、その事務所のアマチュアの合唱団!の指揮をしていたことがある!という人が:「でもピアノ・ソロだからピアノのサウンドが鳴ったほうがいいと思うんですよね。PAとかかけないで」と言ったのです。

ヤザワの前にリハをして、すでに「・・痛い・・」と腕を押さえている打楽器奏者の人を見て、本当に危険だと思ったヤザワは:「これでは腕を壊してしまします!絶対にPAを入れてください!」「・・・分かりました・・」で結局、PAは入らなかったのです。

ち~せ~音で弾くから、みんな耳そばだててお聞き。

という知恵と勇気もその時に身に付きました。無理は禁物。コンディションの悪いところでも精一杯頑張ります!というのは建前だけでいいんです。自分の頑張りと精神論だけではどうにもならないことって沢山あるから。

4~5歳の時から専門教育としてのピアノを始め、何十年もピアノに人生を捧げているのがピアニストというものです。それが、7分の本番1つ、全く演奏家の肉体というものを理解していない人種と仕事をすることで、それまでの全ての人生が壊されることがあるかもしれないのです。しかも演奏家は『商品』なのに、まったく商品価値、機能が分かっていない事務所の人間が多いという事実。

仕事相手が音楽好きの素人、といういことも多々あるので、ひどいピアノにひどい場所(という認識もない)なのに練習通りに弾こうとして腕を壊した、なんてことになったら相手も罪悪感に苛まれるだろうから、相手の立場も思いやって、客が満足する程度には弾く、というのがプロ。今日だけじゃなくて明日もあるんだから。

若くてまだそんなに仕事が入ってない時期とかだと:「私の実力はこんなもんじゃない!」とつい頑張って腕を壊したりするわけだけど。

左手は腱鞘炎。

一口に腱鞘炎や外上果炎(テニス肘)と言っても、ピアノは10本の指を使って「握る」だけではなく「開く」「開いたまま高速で動かす」という過酷なアスリートなため、炎症を起こすと重症になる可能性が高いのです。もともと人間の手にとって「開く」動作というのは、体に非常に負担なのです。

ピアノを弾く人はなるべく爪は短く切ること。1時間弾いたらお湯に腕を浸して5分休憩すること。長袖を着ること。

と気をつけていたのに、こんなにひどい故障となってしまったヤザワ。そのワケは

今回はもう全面的に自分のせい。自家中毒のようなものです。
こんなアホーな理由で腱鞘炎やらテニス肘になるピアニストが他にいるのか

もう1人いた! 案外他にもいたりして?

ということで、少しはお役に立つかもしれないのでお話します。

つづく

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Comments (5)
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