ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

ニュージー紀行1:NZ Festival - Wellington

2018年04月18日 | 文化・芸術

1993年に大ヒットした映画 ”The Piano” (邦題:ピアノ・レッスン)がバレエ化

 3月が忙しかったので今ごろニュージー紀行を忘備録で書いておきますよ〜

 

なんであの映画(ピアノ・レッスン)がヒットしたのかは世界の不思議というか何かの間違いじゃないかという気がしますが、ひとえにサウンド・トラック、マイケル・ナイマンの音楽が大ヒットしたということじゃないだろうか。

映画は観たことがなくても曲は聴いたことあるという超・有名曲 "The Heart Asks Pleasure"。あの映画はこの曲のためのMTVみたいなものだったのだ。

 

初めて観た時も:「なんでこんな時代背景(19世紀)に合わないミニマル・ミュージック(1970〜)を、しかも・ニュージーランドで弾いてるのだ 」という違和感が拭えなくてナゾの映画だった。

 

世の中のほとんどのヒトというのは:着ているドレスが19世紀のもので、まだパニエやらコルセットを付けて着用する「シャネル以前」の拘束服なのに、音楽は20世紀後半のサウンドでも気にならないんだなーと・軽く絶望した思いがアル:笑。現代的にリメイクされたオペラとか、古い無声映画にフィリップ・グラスが音楽を付けたシネマ・コンサートのようなコンセプトでも完成度でもないから。

その点、ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』は素晴らしかったなぁ。ロックもバロックも使って「新しい視点」を強調して、シューズ・クローゼットにはナイキもあったよね

 

それでもバレエ版のプレミエールをウェリントンで観て来ましたゾ。ロイヤル・ニュージーランド・バレエ団。

こちらの劇場で

ウェリントン最大の劇場、セント・ジェームス・シアター。造りはオペラ座だけど、こじんまりした感じで観やすい。柱の陰で舞台がよく見えない席というのもないし

どの席からも見える!

規模が分かるでしょ?

 

ヤザワ的に:バレエ版は映画より楽しめました

主人公の女性はそもそもmute person(口がきけない)なので、バレエのように無言で踊り、ストーリーと感情を表すことが主人公の女性を美しく見せたと思う。単に女優よりバレリーナの方がキレイだったのかもしれないけど。

 

これがミュージカルとかで、また主人公の女性だけが障害者で無言、周りは喋ったり歌ったり踊ったりしてるとねぇ

てゆーか・ソレが映画は良かったのかな口のきけない女にセクハラして、そのうち女もソノ気になって。というのがイイのかな世の中のヒトの恋愛観ってそんなに歪んでるの

 

まあ映画は置いといて・・

 

バレエ版は:音楽がナイマンだけじゃなくて、シュニトケのほうがナイマンより多く使われていてビックリでした。実に良い。ナイマンを1時間以上聞かされるのはツラいから。他、ドビュッシーとかブラームス、ショスタコーヴィッチまで。ナイマンも3曲ほど使われていたけど、超・有名曲 "The Heart ask Pleasure" は使われてなかったんですよそれも逆にビックリしたけど

 

振り付けは:ミュージカルに近いような感じで、特に32回転とか見せ場があるワケでもなく、そこがまた現代的でとても良かった。衣裳もチュチュじゃなくフツーに踊れるミュージカルのドレスみたいで。

もっとも超絶技巧のバレリーナならロシアとかアメリカか、イギリスかフランスに行ってしまってニュージーには来ないんでしょうね。

 

ダンサーのレベルが悪くなく感じたのは、そういった超絶技巧の場面がなかったこともあるのかもしれない。そういうことを忘れさせるような振り付けと、やはりストーリーがイイのかなと初めて思いましたよ

 

バレリーナのテクニックで魅せるバレエじゃなくて、新鮮でもあり、のどかな国に相応しい芸風。嫌味じゃなく、イイ感じ。ここ(ニュージー)で気合いの入った32回転とか見せられたら:「このダンサーはニュージーを間もなく出てアメリカのバレエ団のオーディションでも受けるな」と感じたでしょうね。

 

ウェリントンではこの他、台湾の太鼓グループ(ほとんど和太鼓。を踊り叩くというパフォーマンス)とニュージーランドの作曲家で構成されたピアノ・リサイタルに行きました。

 

台湾の太鼓は・・まあ・・ノー・コメントなんですが(なんというか紅白歌合戦の合間のパフォーマンスのようで。レベル的には高くてもコンセプト的に『合間芸』というか・・ってコメントしまくりですね)

 

ピアノ・リサイタルはとても良かったです ピアニストは音大のピアノ科教授のヘッドで40歳台前半。というのも日本ではありえない。

 

ところでニュージーのピアニストが弾くニュージーの作曲家。というのは:やっぱり・うっかり・つい・The Heart asks Pleasure 的な・シンプリシティを想像していたんですが、「ココ(ニュージー)はイギリス文化圏なんだ」という、どちらかというと現代音楽。ガゴーンピーッ系で、こちらも納得ながらも不思議な気はしたな〜。(まあナイマンもイギリス人なんだけど。若い頃はガゴーン!系書いてたはず)

 

昼間はトレッキング

Windy Wellington

ガイドブックは正しかった。のどかな風景にこの風圧。

しかし。ああいう現代音楽を書こう!というモチベーションは、この土地のどこから生まれてくるんだろう。どこかパワー・スポットとかがあって、そこを詣でると何かが降りてくるんだろうか?イギリス本国なら分かるんだけど。曇りがちで寒いし。そんなことを考えつつ散歩。なんかアタシ今イギリス人みたい

バラを愛でて

バラとベゴニアのハイブリッド も作られていました。

こんな

こちらは本物

ハイブリッドは厳重に?温室で栽培されておりましたが、蜂が迷い込んで花粉を付けて出て行っても大丈夫なのかな

他にウェリントンで観るべきものは:

巨大イカ!

ココね

南極から来たに違いない

このミュージアムはカフェが1階にも上階にもあるんですが、上階が上品でお料理も美味しくて良かった。ホテルのロビーのようでしたよ。

沖縄以上の紫外線

涼しいのに眩しい。という。沖縄なら涼しい日はさして紫外線も強くないものだけど。

 ちょっと郊外にも足を伸ばして

展示はアヴァン・ギャルド。ミュージアム・ショップとカフェはオシャレ。

 

こじんまりとした街だけど映画スタジオとか録音スタジオがある『ウェリウッド』なので、業界人用の億ションや、深夜まで営業のオシャレな健康志向レストランだらけで、風圧がこんなに強くなければ最高な街。なんたって風が強い日は雨も降ってるので傘もさせないんですよ。

スタジオ撮影を終えた女優さんたちが「撮影メイク」のまま出て来て・・

このあたりで「グルテン・フリー」のヴィーガン・ピザ を食べてたり

この通りのカフェ、レストランのほぼ全てにヴィーガン・メニューあり。

コンパクトな街なので、オーガニック・ショップでその日に採れたイチゴとかプラムを買ったり、トレッキングしてシャワーを浴びてからコンサートに行って、食事に行ってグルテン・フリー&ヴィーガン料理を食べたり。

フリメの本拠地

なるほど。フリメは肉は食べませんからね。人肉以外。

ウェリントン空港

次回はオークランド〜

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