ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

年末雑感の:備忘録その1

2018年04月11日 | 文化・芸術

05年から愛用のFitヤザワ号。天寿を全う(廃車)。お世話になりました。ありがとう

 

愛用・・とはいっても沖縄に来るまでの5年ほどは、あまりに乗らなくて・たまに乗ろうとするとバッテリーが上がっていて・乗れなかったりで:「もう車は要らないな。売ろうか」と思った頃に引っ越すことになり、HONDAの営業の方が「これでこの車もようやく出番が・・」と喜んでくれてましたな。

沖縄に来てからは正にヤザワの「足」となり、擦り傷、当て傷を作られつつ、ほぼ毎日一緒に過ごしたのでした。バニラ、ノエル、ライトも乗った思い出深い車。

 

新しい「足」は軽にしました。軽自動車は初めてなんですが、沖縄にはピッタリだと思います。なんたって・アクセルを踏み込んでも40キロくらいにしかならないので合理的(無謀)な横入り運転が出来なくなりましたし、踏んでも踏んでも100キロなので、80キロが最高時速の沖縄唯一の高速県道で、スピード違反で捕まるリスクがほぼ解消されました

 

Fitだと、どうしても120とかフツーに出てしまうので、捕まれば免停になってしまうわけです。本土からの観光客のレンタカーが「県道」を「高速道路」と勘違いして150とか出して免停になるケースはけっこうあるそうですよ。気をつけてネ。

軽だとメーターが140までしかないので、100でも横揺れを体感するから、80だと安定して走れる感じ。やっぱり200までメーターのある車で:「80キロが最高速度」というのは軽い拷問だよね

軍需産業のある国に「戦争しちゃダメ」というのと同じなのかな?

 

備忘録その1

去年の11月終わりから12月にかけて訪れた展覧会などのまとめ。まず、福岡のココが案外と良かったです

博多座じゃなくて

手前の「福岡アジア美術館」のほう。ここを11月下旬に観たのは正解だったと12月に東京で「北斎とジャポニズム」展を観た時に思ったのでした。北斎の西洋絵画における影響力というのは、この「福岡アジア美術館」に来るとすごくよく分かる。

この美術館は、アジア地域の絵画をコレクションした常設展示と、アジア現代アートの企画展を開催しているので、アジアの美術史というか絵画史というのがコンパクトに観れるんです。

 

西洋絵画では、宗教画というのが1番ステータスの高い絵で、次いで王族、貴族の肖像画という、アートでありながらもモチーフ選びにヒエラルキーがあるんです。風景画とか静物画(カゴに入った果物とか生け花とか)というのは、ランクが低いとされていたんです。

その西洋思想を開国(植民地化)と共に受け入れた頃のアジア各国の絵画というのは:西洋絵画と同じ材料の油絵で、自国の国王一家の肖像画を、まるで「ルイ14世と家族」のような感じで描いてるんですよ。カンボジア王国の方達が、フランス王朝風にポーズを取ってるわけです。

ちょっとした衝撃でした

 

当然、企画展で展示されているアジア各国のアーティストの現代作品は:「我々アーティストは、この文化的にも植民地支配された我が国の絵画芸術を、西洋支配から解放させなければならない」という意志を持ったもので、西洋支配の『王族の油絵の肖像画』から脱却してアイデンティティを確立していく過程を、絵画を通して鑑賞したのでした。

 

この時は:ルー・ハリソン生誕100年記念コンサートを聞きに福岡に行って、たまたまホテル近くに美術館があったので入ったけど、偶然とは必然なんだよな〜と思いましたね。ルー・ハリソンのガムランとピアノのための曲とか聞いて、この美術館に呼び込まれたような気がする。

 

私もコンサートで日本人の作曲家の曲を弾くようにしてるんですが、それは日本の音楽界に貢献しようと思っているわけではなく(結果・貢献してたとしても)、基本は自分の問題なんです。

 

フランスに留学していた時に、試験やコンサートでドビュッシーやラヴェル、プーランクやフォーレなどを上手に弾いて評価を受けるのは勉強の成果でもあり、これらのフランス音楽が「民族音楽」ではない普遍性を持った芸術音楽である証でもあるわけですが・・

 

それを日本で:西洋クラシックの作曲家だけを弾いてると、上手く弾けば弾くほど、フランスの香りがしたりすると、時々・自分は「ヤポネシア」のピアニストだよな。と自虐的に感じることがあるんです。いつもじゃないけど。

 

これが、フランスでフランス音楽を勉強したこともなく、フランス系の先生に習った事もなく、ロマン派の延長で・べったり、ねっとりと弾かれると:「このドビュッシーはアフリカン・アクセントのフランス語より酷いな」で、なんというか突然変異種というか不思議な生物の発した音。という感じになるんですけどね。奇妙なモン聞いたな〜って。

 

12月に行った北斎とジャポニスム展

ここに立ってると、東京に住んでるような気がする上野公園口

懐かしいというよりはタイムスリップしたような。今日は誰の出番かな?と思う東京文化会館。

この時は『北斎とジャポニスム』展と科学時術館で『アンデス文明展』を観た後、東京文化会館で入野賞のコンサートを聞いたのでした。

 

この『アンデス文明展』も、次の日に観た『澁澤龍彦展』の前に観て良かったな〜

キーワードは・・

「ドラコニア」。竜 とか蛇

「インゲボルグ?」と聞かれたけど、コム・デ・ギャルソンです 珍しくワタシが着てるとギャルソンでもインゲとかピンクハウスに見えるらしい。コンテンポラリーとか弾いてるくせに、ファッションは全然・アヴァン・ギャルドじゃないという。ピンクハウスが好きなのは「ゴスロリ」感覚で、ラブリ〜とは思って着てないんですよ。過剰な装飾で病的に手が込んでる異常な服:笑。澁澤龍彦の世界に通じる感覚。そのせいか、「不思議と似合ってる」と言われるんですよ、ピンクハウス

 竜であり蛇であるわれらが神々〈上〉

人類の起源と闇の支配一族レプティリアンの血流 (超知ライブラリー)

David Icke,安永 絹江
徳間書店

 

 竜であり蛇であるわれらが神々〈下〉

闇の権力を操る爬虫類人の地球支配/管理システム (超知ライブラリー)

David Icke,安永 絹江
徳間書店

 

この本の上巻で主に語られている「神」のシンボルをアンデス文明展で観れて感動しました

人類を古代から支配して苦しめてきたレプティリアンやドラコニア。デヴィッド・アイクのこの本を読んで、澁澤龍彦の描いてる世界が、ファンタジーとしてではなく奥行きを持った歴史として解釈するようになって、ますますハマったのでした。惹かれるってことは、どこかである日繋がって全景が見えてくるものなのかもね。澁澤龍彦本人は気がつかないまま亡くなったにしても、取り憑かれたように執筆で遺しているので、私のように陰謀論と文学、ゴシック趣味から総合して捉えると実に面白い、いや・恐ろしい世界で、抜けられなくなるのです

 

こちらは新宿タワレコ

クラシック/ジャズ売り場が10Fだったかな?になってました。ここに来ると、トーキョーは世界・最先端・都市だとやはり思います。クール・ジャパンが凝縮された売り場。沖縄だとクラシックなんてフジ子さんとか辻井さん、現代音楽だと伊福部昭とかですからねぇ

 

沖縄のクラシック音楽状況は、東京より(控えめに言っても)30年は遅れているので、いまだにメシアンを卒業演奏会で弾くピアノ科の生徒というのはおりません。現代曲といえばバルトークくらいまで。今は西暦何年なんだよという「現代」ぶり。知識としてはセリー(1960年代)まではあるので、「現代音楽、ガゴーンピーッみたいなヤツね」という知識のまま止まってるという。新宿タワレコみたいな場所もないしね

 

新宿のタワレコでは:Electronicaというのが、いわゆるコンピュータ音楽で、early electronicaとか、japanese electronica、post classicalなど、現代音楽でも細かくコーナーが分かれていています。

いわゆるガゴーンピーッみたいなイメージに近いのはコチラ

contemporary

スティーヴ・ライヒとかもあって、一概に:ガゴーンピーッ系とは言えないんですが、「音楽大学を出た作曲家」で「映画音楽やCMで稼いでない作曲家」というのがcontemporaryに分類される傾向。

ロック少年がMacいじってチャラチャラ作ったのとワケが違うんだゾ という心意気への敬意だと思いマス。ちなみにヤザワのCDもこのコーナーなんです・・

 

色々と買い込んで聞き込んでましたが、コレはとてもステキ もう車でもヘビロテ

RE-FAURÉ [GDUB-001]
good umbrella record
good umbrella record

フォーレだけどヤポネシアでない。Geisha Farmの「Cabaret」もこういう感覚で作りました。

超・オススメ〜

「クラシックを現代の音楽へ」というコンセプト。素晴らしい。ヤザワのアレンジしたワイルとかホレンダーも歌っていただきたい

 

思ったんですが:クラシックの演奏家が本場で勉強するのは素晴らしいことだと思うんですが、作曲家がクラシックの本場で勉強すると、ヤポネシアになりがちなのかもしれませんね。

武満徹とか平石博一さんとか佐藤聡明さんも、ノン留学組。まー旅行はしょっちゅうしてただろうけどさ。向こうの学校に入ってみっちり勉強(洗脳)されたということはない人たち。

 

以前、鶴見幸代さんがエジプトでカイロ音楽大学を訪ねた時、ヒジャブを被った女学生が、ショパンのエチュードを「ひと昔前の東京のピアノ科の学生」のような感じで弾いてたのを見て、なんとも言えない感覚がした、と言ってたのを思い出した。

鶴見さんも基本・ノン留学組。今年は彼女の曲も弾きたいなと思ってます

 

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