スイセン

2006-04-14 01:55:34 | 


スイセン(水仙)
ヒガンバナ科

ナルキッソス
水面に映った我が姿に・・・惚れ込む
泉のニンフなら、惹かれてしまうかも知れないけれど
我が姿に惹かれてしまう事など有るのだろうか?

鏡に映る我が姿は、何とも哀れで・・・見るに堪えないと思いながら
自分の顔は自分のこれまでの生き様の反映だと、あきらめつつ付き合っている

まだ、二十歳過ぎのことである
仕事帰りの電車の車窓を眺めていると、窓に映る顔に気が付いた
きれいな顔が映っている
あはっ、私の顔ではない
私の席より三つ隣の客の顔だ
反対側の窓に映る私の顔
そして、目を転じればきれいな顔が映っている
驚いたことに、その目線は私の顔を見ている

まじまじと、目を見詰めあう
・・・・

照れくさくて、目を正面に向ける
今度は、自分の顔を見ることになる
窓に映る私の顔は、仕事帰りの疲れが出た、くたびれた顔だ

気になって、また、隣に映っている「きれいなお姉さん」の顔に目をやる
また、目が合う
・・・
私にはこんな「きれいなお姉さん」の知り合いはいない
頭の中で面識のある人の顔をくるくる巡らせながら
自分の顔と窓の外を流れる町の灯を見て、
そしてまた気になって女の人の顔を見る
見詰められるって照れくさいものだ

そんなことを考えながら、ぼおっと、自分の顔に目をやると
不思議なことに、疲れているはずの私の顔が、生気を取り戻している
人に見られているということは、面白い心の反応と体の反応を促すものなんだな

そうこうしていると、降りる駅である
立ち上がって出口に向かう
驚いたことに彼女もまた、立ち上がり私の横に立つ

「同じ駅なんですね」・・・
きれいな声で話しかけられる
「あのぅ・・どちらかでお会いしましたか?」
・・・・・
彼女は、私の担当のお客様の主任だという
沢山の女性達が働く商社だから、担当替えになったばかりの私には
覚えきれるものではない

後に、この女性には先輩の「愛のキューピット」役を押し付けられて
仕方なく、昼の喫茶店で落ち合うことになる
自分の女友達などいない純な私に、そんな役を押し付ける先輩もまた、
純な人なのである

「先輩のJさんが、お付き合いしたいと・・・」
おずおずと、切り出す
「あらっ、私は貴方がお付き合いして欲しいのかと思ったわ」
「私には、付き合っている人がいるので、先輩には、そう言ってね」
・・・・
だから、嫌だといったのに、・・・
戸惑っている私に彼女は、こう言ったものだ
「貴方となら、付き合ってあげても良いわ」
・・・・・
おひおひ、私の立場を考えてよ
それに、あげても良い?
「きれいなお姉さん」は、嫌いだ

私が水仙の生かじりの解説らしきものを書くより、何時も利用させていただいている
「mizuaoiの植物記(石川の植物 別館)」
は、植物の詳しい解説があり
スイセンについても、認識を新たにした